100 「チェンナイの夜」
はいこんにちは。
なんとこちらのエッセイもいつのまにか100話!?
インド映画だけで、よくもここまで語ることがあったもんですなわたくし(苦笑)。いやいや、それだけインド映画が奥深く面白いものだからですとも! はい!
ということで、今回ご紹介するのはこちらの映画!
すでにご存じの通り、これまで何度か名前を出している尼崎の映画館、塚口サンサン劇場様にて一週間限定で上映されていた作品です。
脚本が本当によくできていて、隙がない……!
〇「チェンナイの夜」(原題:「Maanagaram」)
2017年製作
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:シュリー(「スリ」とする記事もあります) / サンディープ・キシャン / レジーナ・カサンドラ / チャーリー / マドゥスダン・ラオ ほか
インド タミル語・テルグ語(バイリンガル映画) 137分 G
こちらの映画、まずは監督さんが「絶対みたことある名前!」と思ったのです。調べてみると、1986年生まれでまだお若いかたでした。なんとこちらの作品が監督デビュー作なのだそうで。驚き……。
その後、すでにご紹介した「囚人ディリ」や、あの「大将」ヴィジャイさん及びヴィジャイ・セードゥパティさんのお二人とタッグを組んだ名作「マスター 先生が来る!」などを製作。もう素晴らしい才能! 間違いなし!「マスター 先生が来る!」はすでに円盤をゲットしましたが、「囚人ディリ」ももう一回は観たいなあ……!
さらに、この5月、6月で日本でも公開されることが決まっている同監督による「ヴィクラム」とヴィジャイさんの「LEO」(邦題「レオ:ブラッディー・スウィート」)もこちらの監督さんだそうで。もうもう、今からめちゃくちゃ楽しみ……!
ということで、「チェンナイの夜」のストーリーを簡単にご紹介しておきましょう。
チェンナイにある、とあるバー。そこにたまたま居合わせていた3人の人物が物語の中心になっています。
このまったく顔見知りでもなんでもないこの3人それぞれの問題が複雑に絡み合い、事件に発展していく様が非常に見事。関係性や時間の流れが緻密に計算されていて、複数の物語をいっぺんに見せられているような臨場感があります。
中心の3人はこんな感じの人たち。
まず恋人との結婚を夢見て、いい仕事のない故郷の村から都会であるチェンナイに出てきた若者、パラニ(スリ)。面接はけっこういいところまでいっているのですが、その夜、バーを出たところで人違いで街のならず者たちに殴られ、大事な身分証や卒業証書などの入ったカバンを奪われてしまいます。このままでは就職できない。一大事です。
実は本当に狙われていたのは2人目のジーヴァーという青年。彼には心から惚れている女性がいるのですが、あまりの美しさのためギャングの男からも狙われており、彼女を守るために男を殴ってしまったのでした。
で、なんとこの女性がパラニが面接を受けた会社の面接官!
最後のひとりは、中年のタクシー運転手ナタラージ。ひどい喘息をもつ息子がいて、そうとは知らずに街のギャングのボスが経営しているタクシー会社に就職してしまったという人。タクシー運転手としては完全に初心者で、チェンナイの町のこともさっぱりわかっていません(苦笑)。なんだかんだでパラニを乗せることになるのですが、まー迷走につぐ迷走をするという……(大笑い)。
パラニが奪われたカバンは、ギャングがぽいっと放り込んだタクシーの中へ。もちろん、その運転手はナタラージ。とてもよい人であるナタラージは、気が付いて慌てて警察へもっていくのですが……。
ジーヴァーはジーヴァーで、ギャングがまだ女性を諦めない上、「俺のものにならないなら顔に酸をかけてやる!」と言ったのを知って脅してやろうと男をつけ狙う。その現場にたまたま居合わせたパラニは巻き込まれ、疑われて警察に引っ張って行かれ……。
で、その警察の所長をやってるのが、なんとジーヴァーの叔父さん。
もう人間関係がめっちゃ絡み合ってる!
そんな感じで、ギャングには狙われるわ、そのギャングのボスの息子を他の子どもと間違って誘拐しちゃうおバカな悪人グループはいるわ、もうどんどんどんどん話がしっちゃかめっちゃかに。
ほんの二、三日の間の物語を本当に緻密に隙なくくみ上げて、ダレるところなどまったくなく、最後まで突っ走る。もうすごい。すごいしかない。
いや~見ごたえありました~。
これもとってもお勧めです!
ではでは、ドスティ!