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元カノを支えるキューピット  作者: ごうやナス椎茸
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元カノとの記憶






 俺が、彼女と恋人関係になったのは中学3年生のときだった。


 高校に進学する際、彼女と別の高校になってしまう可能性を考慮した俺は、玉砕覚悟で後悔を残さないように彼女に告白した。



 彼女のことは、小学生の低学年の頃から大好きだった。でも、彼女とつり合うスペックを持ち合わせていない俺が、彼女の恋人になり得るはずがないとずっと思っていた。


 

 彼女は本当に可愛かった。


 初めて彼女のことを見たときの衝撃は今でも覚えている。



 彼女に対して一目惚れして、告白する男子生徒は数多くいた。だが、それらは全て玉砕に終わっており、彼女が告白を断る度に内心ではガッツポーズをしていた。


 告白は完全に記念みたいなものだった。ずっと好きだった彼女に告白をして、後悔だけはしないようにしようと決めていたこともあり、本当に付き合えるとは微塵にも思ってはいなかった。



 「……まじですか?」


 

 「は? どういう意味……?」



 「あ、いやその……俺なんかの告白を受けたりしなくても、嫌ならこれまで通り断ってくれてもいいんですよ。」


 

 「え? い、嫌なんて言ってないじゃん!」



 「……なら、俺のこと好きなんですか?」



 「え? まぁ、他の男子よりは……嫌いじゃないって言うか……てか、なに? 告白して来たくせに付き合って欲しくないの!?」



 「あ、いや……付き合って欲しいです。」

 


 「な、なら、大人しくオッケー貰っとけばいいじゃん!! ったく……」



 「そ、そうですね。よろしくお願いします……」



 「……ん。」



 こうして、何故か付き合って貰えたのが中学3年生のの2月。それから、俺達は別々の高校に進んだが、よくメールでのやり取りをしていたし、偶にデートに行ったりもした。



 好きな人と一緒に出かけて、美味しいものを食べて、隣を歩けることは本当に幸せだった。



 釣り合っていたとは思わない。彼女の隣を歩くパートナーが、俺でいいのか? と日々疑問はあった。彼女は、俺に“好き”とは言わなかったからだ。

 


 もしかしたら、彼女が俺に抱く感情は「愛」ではないのかもしれない。長年一緒にいることで発展した信頼の積み重ね。そして、彼女のふとした気まぐれによるものを「愛」と錯覚しているのかもしれないからだ。



 彼女が本当に恋をしたとき、俺はすぐ振られてしまうんじゃないか、そんな不安は常に俺の心の隅に密かにあり続けていた。



 でも、それはそれで仕方ないことだし、彼女の幸せを尊重するのであれば、俺でなく彼女の本当に好きな人が隣にいるべきなのではないか?



 大切なのは、俺の気持ちではなく彼女の気持ち。俺が今パートナーとしてやるべき事は、俺の欲求を満たすのではなく、彼女の本心を引き出してあげること。



 それが、俺が一瞬でも彼女の隣にいる理由であり、使命なのではないだろうか?



  




 高校1年生の冬。俺は、交通事故で死んだ。 


 彼女と付き合ったのは約1年。彼女の色々な一面を見ることが出来たし、本当に楽しかった。



 まぁ、心残りがあるとすれば……彼女の「愛」を引き出すことが出来なかったことか。



 だが、今回のターゲットに彼女が恋心を抱いているというのであれば、彼女は「愛」を見つけることが出来たっぽいな。



 それなら俺は、“別の形でパートナーとして彼女を支える”のみだ。



 姿や立場は変われど、やることは変わらない。今も昔も変わらず、それが俺の使命だ。






 読んでくれてありがとうございます!


 もしよければ、次のお話も読んでくれると本当に嬉しいです。


 是非、次のお話でまたお会いしましょう!


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