10月27日 前髪
私は、朝から母と帰省のため実家の長野へ向かっていた。久しぶりに戻ってくる実家までの道のりは、懐かしさで胸がいっぱいにだった。
母 「この後、どうするの?」
私 「おばあちゃんに顔を見せてから、友だちに会いに行くよ」
いろいろ、あったがやっぱり、寺崎に会うことに決めた。
母 「友だちって誰なの?」
私 「うーん。お母さんしってるかなぁ?」
母 「だれだれ?」
お母さんは、とても興味をもっているようだった。
私 「寺崎って子?」
母 「寺崎、、、、」
私 「知ってるの?」
寺崎は、今でこそ派手だが、昔はあまり目立ちたがらない性格だった。でも、中学生頃からガラッと変わったらしい。それも、とても可愛い子と一緒にいたからとか。
母 「うーん。知ってるような知らないような」
私 「たぶん知らないと思うよ」
母は、電車に乗りながら、考えている様だった。
ー10月20日ー
私は、トイレで翆が髪の毛をセットし終わるのを待った。
私 「どうキマった?」
翆 「うーん。どう?」
私の方にふりむき、答えを求めた。キマってなくても、キマっているとしか言えない状況だった。
私 「うーん。もうちょい、顔こっち向けてよ」
翆は、私の方を力強く見てきた。
私 「うん。おっけい」
翆 「ホント?」
私 「うん。前髪、めちゃくちゃキマってるよ」
髪型なんて、男子はあんまり気にしていない。私の経験上。そんな男子と付き合った経験も少ないんだが。
翆 「あー、心配だな」
私 「そんなに緊張するの?」
翆 「当たり前じゃん」
私 「ハハハ」
私は、スマホを見ながら、時間をチェックした。時刻は、18時52分になった。
翆 「あー、もう。深雪が余計なこと言うから」
私 「じゃあ、今から用事できたって言うよ」
翆 「そんなこと言ってないよ。もう!!」
会いたいけど、自信がない。それが、彼女の本音なんだろう。わかるようなわからないような。
私 「それより、スポーツ何すんだろな」
翆 「あー、私スポーツ苦手なんだよな」
私 「ずっと体育2だもんね」
翆 「うるさい」
翆は、運動音痴でいつも成績が低かった。
私 「じゃあ、そろそろ行く?」
翆 「うん」
翆は、再び手を洗った。そして、私と一緒にトイレを出て行った。