10月26日 切符
青色で長方形のカード。朝から、母にもらった長野行きの切符を眺めていた。昨日、母に帰省することを伝えると、この切符を渡された。寺崎とも連絡をとり、時間があれば会うことになった。期待と不安が入り混ざった修学旅行の前日の様な気分だった。
ー10月20日ー
翆 「もう、ビックリするよ」
翠の声を聞いて、普段の自分に戻った。
私 「ごめん、ごめん。でも、来てくれるでしょ?」
翆 「勝手に暴走しないでよ」
私 「わかったよ」
私たちは、遠山がいるショッピングモールの5階に行くことになった。
翆 「何時に行くの?」
私 「19時に待ち合わせだって」
時刻は、18時50分だった。
翆 「もうすぐじゃない?」
私 「うん」
翆 「遠山には、なんて言ったの?」
相当、遠山のことが気になる様子だ。
私 「友だちと一緒に行くねって」
翆 「あぁ、心配だな」
後ろ髪を直すように話していた。心配になると、髪の毛を触る癖は、変わっていない。
私 「翆は、遠山くんとどの程度話したことあるの?」
翆 「全然、話したことないよ。塾であった時に1回だけしか話してないから」
たった1回。であれば、そんなに緊張することもない。
私 「そうなんだ。向こうは、覚えてるの?」
翆 「うーん。覚えてないかも」
私 「そうなの?」
翆 「だって6月とかだし。あの時、初対面だし」
6月といえば、まだ、引っ越して来たばっかりの頃だろう。
私 「じゃあ、覚えてないていで行ったら?」
翆 「そうしようかな?」
ただ、遠山が翠のことに気づくかもしれない。
私 「まぁ、私はどっちでもいいけどね。フフフ」
翆 「何笑ってんのよ」
私は、これからの展開に心を弾ませていた。
私 「まぁまぁ」
翆 「他の男の子たちなんて言うの?」
私 「遠山くんは、片山と長内って呼んでたよ」
一人は、180cmほどある長身の男の子。もう一人は、少し太めの男の子だ。
翆 「二人とも知らないや」
私 「あっ、歳内っていう人の名前聞かれたから、もしかしたらその人が彼女じゃないかな?」
翆 「そうかも。それよ「、さっきのスマホケース買うの?」
私 「そうね。買おうかな」
私は、さっきまで見ていたスマホケースをとり、レジに持っていた。買い終えた後、私たちは、5階へと歩き出した。