12月15日 大画面
私は、大画面を埋め尽くす映像が、意識をスクリーンへと引きずりこんでいく。きらめく星々が瞬き、漆黒の宇宙空間が果てしなく広がっている。しかし、映画の内容はイマイチ入ってこない。なんでだろうか?おそらく、横にいる翆も同じだろう。他の遠山くんたちは、何を思っているのか。私は、暇で仕方がなかった。
私 「翆、ごめん」
翆 「どうしたの?」
翆は、少し驚いている様子だった。
私 「ちょっとトイレ行ってくるの」
翆 「わかった。大丈夫?」
私 「うん」
私は、目立たないようにゆっくりと立ち上がった。みんなは、映画の魔力に引かれるように、次のシーンの幕開けを見逃すまいと、息もつかずに駆け上がった。暗闇の中、私は、静かに歩みを進めた。周りの観客たちは静かに座っている。巨大なスクリーンに映し出される映像だが、私にはあまり理解できなかった。私も、みんなと同じように映画に集中できたらどれくらい楽だろうか。映画館を後にして、私は、少し休憩することにした。ここにいても、私はダメな気がする。エスカレーターを降りることにした。私の目の前には長い廊下が広がっている。いろんな人々が行き交う中、私は、すり抜けるように進んでいく。何してんの?振り向くと、そこには遠山がいた。なんでだ?
私 「なんで、ここにいるの?」
遠山「だって映画飽きたしね」
まさか、ここにいるなんて。理解できない。
私 「映画つまんなかったの?」
遠山「まぁね」
遠山くんがそんなキャラだと思っていなかった。てっきり、映画を楽しんでいるのかと思っていた。
私 「せっかく男子たちに合わせたのに?」
遠山「無理矢理合わせなくてもいいから」
まるで、自分たちのせいにされるのが納得いかないといった様子だ。
私 「じゃないと映画一つ決められないでしょ」
遠山「そんなことないから」
男子たちに合わせなかったら決められないと私と翆は考えていた。
私 「遠山くんって付き合ってるのよね」
遠山「付き合ってるよ」
いきなりこんでみた。
私 「歳内さんだよね」
遠山「うん。今度会ってみる?」
まかかの質問だ。いきなりどうしたんだろうか?
私 「会ってみるって、何でよ?」
遠山「せっかくだしね」
私 「歳内さんは、会いたがってるの?」
遠山「それは知らないけど」
なんで、こんなことを提案したのだろうか?




