10月20日 畔上翆
私は、光宝高校3年の小野田深雪。そして、今、私の横にいるのが同じく光宝高校3年の畔上翆。私たちが知り合ったのは、中学1年生の頃。私は長野、翆は福島とそれぞれちがうところから東京に来たこともあり、一気に意気投合したのを覚えている。
私たちがいる賀東区には、光宝高校、花柳高校、加東第一高校、加東第二高校、柏第一学園、5つの学校がある。その中でも、私たちがいる光宝高校は、区内で最も賢い学校と位置づけされていた。そのため、私は、部活に入らず塾と家の往復ばっかりだった。でも、ずっと勉強ばっかりはつまんない。私は、オンとオフがはっきりしていたいタイプだった。今日は、久しぶりに、翠と会う約束をしていた。私たちは、16時頃に駅近くのカフェで集まっていた。
私 「翆、今日、遊びに行こうよ」
翆 「どこ行くの?」
私 「そうね。ショッピングモールは?」
スマホで検索したショッピングモールの画像を見せた。
翆 「最近できたところのやつ?」
私 「そうそう。前から気になってたんだよね」
翆 「私も、気になってたー」
私が見せた画像が気になっている様だった。
私 「行こうよ」
翆 「おっけぇ」
翆は、カフェオレを一口飲んだ。
私 「最近、翆はどうなの?」
話題がなかったので、恋愛の話をしてみた。
翆 「何が?」
私 「恋愛だよ」
翆 「恋愛?全然だよ」
私たちは、あまり恋愛の話をしない。それも、お互い彼氏がいないからだ。
私 「だめじゃん。フフ」
翆 「深雪は、どうなのよ?」
私 「私も全くだよ」
疑いの目で私の方を見てきた。
翆 「深雪は、人を選ばなかったらいけるんじゃないの?」
私 「いやいや、無理だよ」
翆 「でも、長野の時はモテてたんでしょ?」
私 「自称だけどね。ハハ」
中学生の時は、そんな話もしていた気がする。
翆 「今でも、連絡とったりしてないの?」
私 「全くだね」
翆 「いいなと思う人もいないの?」
翆は、真剣な様子で私を見てくる。
私 「どこに?」
翆 「学校」
私 「いないかな」
翆 「長野には?」
私 「うーん、、」
私は、口を濁した。
翆 「絶対、いるでしょー?」
私 「どうかな?」
翆 「教えてよ」
私 「じゃあ、ゲームで勝ったらね」
翆は、食いつくように私の方を見た。
翆 「何のゲーム?」
ここから長い一日が始まったのだった。