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【漫才】サッカー選手になりたい

作者: てこ/ひかり

二人「はいどうも〜」


A「僕子供の頃サッカーやってましてね、将来の夢はサッカー選手だったんですよ」

B「嘘つけ。お前が子供の頃サッカーなんて無かったよ」

A「あったわ。適当なこと言うな。だからサッカー選手になりたいなぁって話ですよ」

B「サッカー選手? 大変よあんなの」


A「そら大変やけど……だから憧れるってことやろ?」

B「だけどお前、サッカーのルールとか分かんの?」

A「分かるよ。分からんでやってたら、単なるヤバい奴やんけ」

B「難しいよアレ。例えば『オフサイド』とか……」


A「『オフサイド』はアレや。何かこう前線に……守備の人超えてパスしたら『オフサイド』なんや」

B「ホンマか? 本当にちゃんと理解してる? なんか曖昧やなぁ」

A「してるしてる。『オフサイド』は、基本中の基本だから」

B「怪しいわぁ。じゃあ今から俺がサッカーのルール言うから、それちゃんと説明してな」

A「ええよ」


B「じゃあまずは……『オーバーシュート』」

A「『オーバーシュート』……?」

B「え? お前知らんの? 『オーバーシュート』。知らんでサッカーやってたの??」

A「し、知ってるよ! 『オーバーシュート』やろ」


B「じゃあ説明してください。『オーバーシュート』とは何ですか?」

A「『オーバーシュート』は……オーバーヘッドみたいなことや。体を回転させながら、頭の上でボールを蹴るんや」

B「違います」

A「えっ?」

B「正解は『感染経路が分からないまま、一気に感染が爆発する』でした」


A「サッカーちゃうやんけ! 関係ないやん!」

B「関係あるよ! サッカー選手だけ感染症関係ない思ったら大間違いやからな!」

A「そりゃそうやけど……『オーバーシュート』言われたら、サッカーの専門用語かな? って思うやん」

B「じゃあ次は……『アウフヘーベン』」


A「アウ……なんて??」

B「『アウフヘーベン』」

A「ホンマにサッカー用語なん? 『アウフヘーベン』……? ドイツのクラブか何か??」

B「違います。正解は『対立する考え方や物事からより高い次元の答えを導き出す』でした」

A「サッカー関係ないやん!」


B「関係あるよ! サッカーそれ自体が『対立する考え方や物事からより高い次元の答えを導き出す』ゲームやん!」

A「分かるか! そんな哲学的な……聞いたことないよ! じゃあお前、ドリブルしながら『あー俺、今めっちゃアウフヘーベンしとるな』って思うんか!?」

B「うん」

A「どんな選手やねん!」


B「じゃ次。『ワイズ・スペンディング』」

A「聞いたことない」

B「『ワイズ・スペンディング』」

A「え〜……。何かこう……幅広くスライディングする。スライディングの応用技、みたいなの」

B「正解は『不況対策として財政支出を行う際は、将来的に利益・利便性を生み出すことが見込まれる事業・分野に対して選択的に行うことが望ましい』でした」

A「黙れ!!」


B「黙れ、て」

A「今度こそサッカー関係ないやろ! いつ使うねん!?」

B「関係あるよ! サッカーそのものやろ!! お前はクラブを赤字にしたいんか!?」

A「そんなこと言われても……聞いたことないもん」


B「じゃあ次は……『ロックダウン』」

A「ちょっと待って。『オーバーシュート』だの『ロックダウン』だの……お前さっきから、都知事のカタカナ語言うてるだけやん」

B「都知事はサッカーお好きなんやねえ」

A「知らんよ。良い加減にしろ」


二人「どうも、ありがとうございました〜」

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです! オーバーシュートで方向性が提示されたのがありがたかったです。 確かにアウフヘーベンは岐路になりそうです。 決して知名度は低くない用語ですが、それでも万人が知っているわけで…
[良い点] 口調。テンポ。本物みたい。臨場感もありました。芸人か作家の卵さん? [気になる点]  アウフヘーベンあたりから微妙。ワイズ・スペンディングで、シラけました。構成はちゃんと出来てると思うんで…
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