表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

即興短編

立戸コロニー

 広島県大竹市、世界遺産で有名な厳島神社から車で10分くらい行ったところにあるその町には今、猛威を振るう新型の爆悪ウィルスから逃れ、日本の全人口が身を潜めていた(フィクションです)。

 この町には日本で唯一ウィルスが繁殖しない区域があるのだ。そこは立戸たちどと呼ばれる界隈で、そこの地下に作られた巨大コロニーは「立戸たちどコロニー」と呼ばれていた(そのまんまじゃん)。


 ぎゅうぎゅうに詰め込まれた人間の中、青年と老人が会話をしている。


「僕は本格的SFが書きたかったんですよ」

 青年が懐かしい昔を振り返るように言った。


 老人は答えた。

「書けばいいんじゃね?」


「萩尾望都『銀の三角』みたいなのが書きたかったんです」


「だから書けよ」


「そんな簡単そうに言わないでくださいよ」

 青年がフッと笑う。

「高度な科学知識がないとあんなものは書けません。適当な科学知識なんか入れようものなら賢い読者はすぐに見抜きますよ。そして攻撃されます。怖いんです。それに膨大な数のSF小説を読まれ、教養満ち溢れる萩尾望都さんだからああいうのが書けるんです。何より、難しくてなんのことだかさっぱり意味がわからないのに面白いんですよ。意味がわからないけど面白いんです。そんな凄いもの、簡単には書けませんよ」


「じゃあ、諦めればいいじゃん」


「はい、やめます。どうせ人類滅亡するし」


 青年はたちどころに夢を諦めたのである。



 青年の名前はシーココ・しげる。


老人が言った。

「おしっこみたいな名前やね」


青年が言った。

「よく言われます」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ