第85話 勝利
すみません! 昨夜、前話の最後にちょっとした付け足しをしたので、まだ見ていない方はそちらから見てください!
反乱軍が勝利を収めた戦いから、丁度、1年が経った。
私は瞳を閉じる。
……アリアナ、ルーク様、今、私たちは平和に暮らせています。たまに喧嘩はしたりするけれど、それでも、幸せに、楽しく……
すると、
「失礼するよ」
私の部屋に誰かが入ってきた。
「か、カムレアか……びっくりした、どうしたの?」
「あ、あのさ、今日のパーティーのことだけど、オレやることあるから先に店に行ってるね」
「あ、おけ! じゃあ私が後で、アーノルドも連れていくわ!」
「ありがとう」
***
「失礼するわ!」
誰かがまた、入ってきた。どうやら美咲さんとグレースさんのようだ。
「お2人とも!」
私は言う。
「ミルドがね、うるさいのよ! あいつ、どうすべきかしら……」
美咲さんはため息をつく。
「ま、まあ、ミルド様も美咲さんたちのためを思って言っているのでしょうし……」
あの大魔法使いであるミルドお爺様も、2人も、今まであの城の牢屋に閉じ込められていた。なので当然、危害は加えられていなかったようだ。生きていて本当によかった。
「聞いて下さい、キャスリーン様! いいクッキーの作り方を発見してしまったのです!!」
グレースさんは食い気味に言う。
「あはは、グレースさんもすっかり料理好きだよね〜」
「でも、わたくしは食べられるからありがたいわ」
美咲さんは笑う。
***
あ、みんなで話し込んでたら、もうお昼じゃん!
「ごめんなさい、私、この後予定があるので、ここら辺で……」
私は部屋を出て、階段を数階上がり、『コンコン』と、扉をノックする。
「入れー」
と言う声が聞こえたため、私は扉を開く。
「やっほー!」
「おー、久しぶりだな」
そこにはアーノルドが座っている。
「あはは、久しぶりって、毎日会ってるじゃん!」
私は言う。
「はは、そうだな、最近公務が多すぎて疲れたのかもしれん……」
アーノルドは頭を抱える。
「まったく……そんなことを言って……まだまだ残っているのだぞ?」
アーノルドの横にいる、アイラは言う。
「もう、あーちゃん、そんなにせかしちゃダメだよ……」
ユリアはおどおどしている。
「アイラさん、なんか国民から依頼が来ていたから、持ってきましたよ〜。はい!」
私は書類をアイラさんに渡す。
「う、おお、ありがとうございます」
(相変わらず、アイラさんは私のこと、まだ苦手というか……怖いと思っていると言うか……)
「ね、アーノルド、たまには息抜きも必要だよ? そうでもしてないと、一国の王なんて務まんないって!」
「……そ、そうか……?」
そう。自国とサルバドール国が同領土になり、その国を治める人が誰か問題が勃発した時、カムレアが王位継承権をアーノルドに譲渡したため、王様はアーノルドとなったのだ。
「うん! しかも、今日は国の一周年の創立記念日! 一緒に行こーよ! カムレアたちも店で待ってるよ!」
私は言う。
「……姉さん……奢ってもらう気だろ……」
「あはは、バレてる!」
「まあいいけど……悪い、ちょっと席外していいか?」
「ええ、大丈夫ですよ〜」
ユリアさんは言う。
***
「いやぁ、私も城住まいだし〜? 久しぶりに外に出たわ!」
私は伸びをする。
「姉さんなぁ……あ、そういえばカムレアたちは?」
「カムレアたちなら先にお店に行ってるって」
「そっか」
私たちは城下町の外れの方の原っぱに一軒、そびえ立っている建物の前に立つ。そこは一階が喫茶店になっており2階が宿の、お爺さん店主が癒しだと評判の店だ。
「まあ、王様が来るわけだし、今日は貸切にしてあるから!」
「姉さん、食客って言う立ち位置を存分に利用してるな……」
「まあでも、余裕でOKしてくれたからね!」
そのまま、その店に入る。
「いらっしゃいませ!」
ガルダさんが言う。
「やっほ! ガルダさん!」
そう。ここは店主ガルダさんともと叛逆軍の村に住んでいた人たちで切り盛りしているのだ。
私たちは席に座る。
「あれ? カムレアたちは?」
「さっき、何か外に出て行かれましたよ」
ガルダさんは言う。
「ああ、そうだ。お待ちの間にお水をお出ししますね」
ガルダさんは言う。
「ありがと!」
すると、机に水が置かれる。
『ガンっ!』
「びっくりした……水置くのくらい、優しくやれよ……なぁ、グラウ」
アーノルドは言う。
「……申し訳ありません、キャスリーン」
グラウは私に向かって謝る。
「おい! なんで俺は無視するんだよ!」
「いや〜、でもさ、グラウもローガンさんに負けず劣らずの重症だったじゃん? 2人とも完治してよかったよ〜」
私は言う。
「はい。ありがとうございます」
「……まったく、結局無視かよ……」
すると、カムレアとローガンが帰ってきた。
「あ、おかえりー!」
「リーンとアーノルド! もうきていたんだね」
「じゃ、はじめよっか!」
私たちはご馳走を頬張る。
「あ、そういえばカムレア、サペたちはどうしてるんだっけ?」
「あの学校を後1年で卒業できるって息巻いてたよ」
「そうなんだ!」
(あの子たちも元気そうで何よりだ)
「ガルダ様……このロールキャベツ、とても美味です……」
ローガンさんは目を輝かせている。
「それは何よりです」
ガルダさんもニコニコしている。
「これ! わたしが調味料を買ってきたんです!」
グラウは言う。
「わ……わぁ、すごい〜」
(ローガンさんが気を使ってるわ……)
平和だなぁ……
「イザベラさんはどうしたんだ?」
アーノルドは言う。
「ああ、母様なら、もうすぐ来ると思うよ」
「全く……お前と姉さんとイザベラさんは城に住んでるんだから、皆一緒に来いよ……」
アーノルドは言う。
「それを言うなら、アーノルドも一緒に住んでるじゃん」
私は言う。
「ま、まあ、それは……そうだが……」
そんな、他愛ない話をしていると、食事を全て平らげてしまった。
「しまった……」
私は言う。
「まだイザベラさん来てないのに……」
アーノルドも言う。
すると、扉が開いた。
「遅くなってごめんなさい!」
イザベラさんだ。
「あ! すみません!」
私たちはご飯を全て食べてしまったことを言う。
「あはは、全然大丈夫ですよ」
イザベラさんは言う。
相変わらず、イザベラさんはお美しい……
私はそんなことを思っていると、皆で外に出ることになっていたようで、私も急いで外に出る。
「オレさ、ここの景色好きなんだ〜」
「わかる! いいよね〜」
私も言う。
(澄み渡った青空に緑色の草原。そんな場所を目にすると、わたくしはある場所を思い出す……)
イザベラさんは目を閉じた。
数十年前
ある町に、てとも美しいことで評判の美少女がいた。その町のそばには内乱出てきた独立国があり、その様子を視察に来た第一皇子は少女に案内を受けた。その時、第一皇子は少女に恋をした。
「き、貴様! 名はなんと申すか!」
「え? 名前ですか? 私はタシと申します」
「タシ……苗字はなんだ?」
「苗字? あはは! そんなのありませんよ!」
少女は笑う。
「そ、そうなのか……」
その後も、独立国への視察として、たびたび、皇子はこの町に現れた。
独立国は未だ、なにもしてこないことから、安全だろうと判断した国の方針だった。
ありがとうございました! なんと、次回で最終回です!
このまま、午後くらいに投稿して、完結を迎えようと思うのでよろしくお願いします!