第74話 後2日
遅くなってごめんなさい!
これにて最終章に入ります! クライマックスです! よろしくお願いします!
少し空が暗くなってきた時、私たちは一足先にガルダさんと一緒に村に帰ってきた……と思ったら、まさか、残りの皆も帰ってきていた。
「え!?」
私は驚く。だって、まだ期間はあるはずだし、なんで一番早く帰ったはずの私たちが一番遅くなってるの!?
「カムレア、学校は……? アーノルド、アイラさんは……?」
私は聞く。
「……なんか、あんまり授業らしい授業をしてくれなかったから、退学してきちゃった!」
カムレアは笑う。
「俺も、正体明かしたのにそこにいるわけにはいかないだろ。だから戻ってきたんだ」
アーノルドが言う。
「ひぇ……」
「ああ、そうだ。カムレアにはもう話しておいたんだが……」
アーノルドは言う。
「なに?」
「あのな、5日後、城にいる兵士たちが遠征を開始するそうだ」
「遠征……?」
「ああ、王とその家族と多少の護衛を置いて、新たな国に戦争を仕掛けるために下見をしに行くそうだ」
「なるほど……もしかして……」
「ああ、もしも俺たちが奴らを叩きに行くなら、その日しかない……!」
アーノルドは言う。
「……っ! それは……」
すると、グラウが顔を出した。
「おかえりでしたか、皆様。長旅、ご苦労様でした」
と言う。
「ありがとう、グラウ……」
「我からの口出し、失礼します。リーン様。我もたたみかけるならこの一週間後が最適だと存じます」
グラウは言う。
「……そう、だよね……」
私は息を呑む。多分、これが最終決戦。私たちの最後の復讐……!
「分かったよ……やってやろうじゃん……!」
私は言い放った。
***
翌日 夜
私は皆の前に出る。
後4日で城に攻め込む。ならば1日前にはこの村を出て準備をする必要がある。つまり、あとこの村にいられる時間は2日。
「後4日で決戦だ。3日後、ここにいる戦えるメンバーでこのまま城に乗り込む! いいな!」
『うおぉぉぉぉお!!』
歓声が鳴り響く。
皆も戦ってくれる。例え強くなくても、別のことで戦ってくれているんだ。食事を作ったり、家事をしたり……。それも立派な“戦い”なんだ……!
***
翌日 朝
決戦の日まで、後2日。
私は久しぶりにご飯を作った。
「……よし、あとはスープを作るのと……」
***
「てきた!」
「朝、起きてこないなぁと思っていたら、ここにいたのか、リーン」
急に自分以外の声がして驚く。
「あ、カムレアか……。びっくりした〜」
「はは、手伝おうか?」
「んーん、別に大丈夫〜。これは私の趣味だし」
「そっか」
「そうだ、カムレアとアーノルドの分も作っておいたよ」
「そうなんだ、ありがとう」
「うん!」
***
『いただきます』
「美味しい〜!」
私は頬張って言う。
「うん、美味しいね」
「うわ、うま!」
2人も口々に言う。
「ふふふ! でっしょ〜?」
私はドヤ顔をする。
「……あれ、そういえばグラウとローガンはどうしたんだ?」
アーノルドは言う。
「ああ、なんか2人で話してるよ。ローガンさん、過去に色々あった人だから……ね」
私は言う。
「……そうなんだね」
カムレアは悲しそうにする。
「……そういえばさ、グラウって過去謎じゃね?」
アーノルドはふと、言う。
「た、たしかに……」
「オレも知らないかもです……」
「だろ!? あいつがなんで不死身なのかとかも、俺たち何も知らないじゃん、気になるよなー」
アーノルドは言う。
「そうだね〜、でも言いたくないことだってあるし、ずかずか聞きにいっちゃダメだよ?」
私は言う。
「わかってるっつーの」
「あはは」
こんなに笑って暮らせるのも今日が最後。明後日には戦いが始まる。グラウやローガンさん、ガルダさんにアーノルド。それにカムレアや私だって、命を落とすかもしれない、そんな最終決戦……か。
「……あのさリーン、少しいいかな」
カムレアに言われて、なんだろうと2人で外に出る。
「オレって、魔法が効かないだろ?」
「……うん」
「なんでかわかる?」
「分からない」
「……そっか」
そう言うと、カムレアはこちらに振り向く。
「………………あのね、オレ……オレは『カムレア・ミルトレイ』ではないんだ」
そう言って笑った。
「…………え?」
ありがとうございました!
続きは明後日ですのでお楽しみに〜