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第65話 街

遅くなってごめんなさい!

「初めてきた……この街」

 アーノルドは言う。

「ふふ、僕も久しぶりだな。でもやはり、人の賑わっている街は好きだ」

 アイラは笑顔で言う。


「……あのさ、ここで何するんだ?」

「そうだ、お前には言っていなかったな。明日からはここで兵士たちの質を調査するようにお兄様に命じられたのだ!」

 アイラは得意げに言う。


「……おい、アシヴァルに命令されたものをやるのか?? やだなー」

 アーノルドは言う。友達に命令されるというのは、何か癪だったからだ。


「……ん? まてよ、兵士たちの質って?」

「ああ、定期的に行うんだ。兵士の態度やらを図るものだな」


「……ふーん、」

(どうやって図るんだろ……)


「今日一日は……といっても、ここに来るまでに時間を使ってしまって、今は夕方で夜に近いのだが、今日は宿を取って休むだけだ」

 アイラは言う。


「わかった、じゃあ宿、探すか〜」



 ***


 その日は簡素な宿に泊まった。


 1日後 昼


「まさか、アイラを起こすのに、こんなに苦労するなんて……やっぱり、ユリアさんと変わるべきだった……」

 アーノルドには疲労感が漂っている。


「……なぁ、その、兵士の質とやらはどうやって図るんだ?」


「なんと、だな! 僕たちが犯人役をするのだ!」

 アイラは言う。


「は、犯人役……?」

「そうだぞ、いつもならユリアが男装をして僕を襲う役をしていたんだ。それで、ユリアが捕まるだろ?」


「ああ」

(変なこと押し付けられたな……ユリアさん……)


「僕は被害者側から、ユリアは加害者側から、対応を見て、悪かったら上に報告するんだ!」


「……は? 捕まってるんだろ? ユリアさん。どうやって都に戻ってきてたんだよ」


「もちろん脱走だが……?」

『なんでこんなに当たり前のことを聞くんだろう?』と言うような顔でアイラは言う。


「は!? それって、やばいんじゃ……」

「だって実際、アイラは悪いことをしているわけではないんだから、いいじゃないか」


「いや、だからそう言うわけじゃなくて、アイラさん、よく脱走なんてできるな……」

 アーノルドは言う。


「……え? もしかして、僕、お前に言ってなかったか?」

「な、何がだよ……」


「ユリアな、聖騎士団の一番隊の副隊長」


「……は、はぁぁぁあ!?」




 ***




「驚きすぎだ。全く……」

 アイラは言う。

「え、いや、だって、え? ってことは、ユリアさんはアシヴァルの直属の部下……? え?」

 アーノルドは言う。


「そうだが?」

「やっぱそうなのか……」


(やべぇ、ユリアさん、想像以上にやばいやつだった……俺的に、これ以上この国大好きなヤバい連中と関わるのはやめた方が……)


「……なら先に言っておくが、俺は聖騎士団の副隊長のように動くのは無理だぞ……?」

 アーノルドは言う。


「……本当か!?」

 アイラは驚く。


(……いや、どう考えても無理だろ……!!)


「無理だ無理! 脱走なんてもっての外だぞ!?」

「……そんな、じゃあ、どうやって調査すればいいんだ……!」

 アイラは頭を押さえる。


「いやいやいや! どう考えてもわかるだろ!」

「……そ、そうか……」


「……じゃあそう言うお前はできんの?」

 アーノルドが聞く。


「脱走か? ああ、できるとも!」

 アイラは自信満々に言う。


「……本当か?」

「ああ! なぜなら僕は名門、シュリデン家の出身なのだから!」

 アイラは言う。


(……不安だ……けど、代々聖騎士団の隊長を輩出している家系だし、案外こいつも強かったりするのか?)


「ここら辺は治安が悪い。すぐに事件が起きる筈だ。だから、そこで僕の力を証明しよう」

 アイラは言う。


「おう……」




 ***




 そのまま、事件が起きないかと2人がカフェに入り、見張っていると、すぐに事件が起きた。事件と言っても、ナンパされている少女がいただけだが。


「やめろ! こんなところで女性に声をかけるなど……恥を知るがいい!」

 アイラはその中に飛び出していく。


「なんだてめぇ! 今はこの、可愛い嬢ちゃんに話があるんだよ!」

 男たちは口々に言う。


「おい、大丈夫か?」

 アーノルドは少女に言う。


「え!? あ、はい……え?」

 長い金髪に紅色の目をした少女だった。たしかに美少女と言える類いだろう。


「え、え!、え?」

 少女はずっと、アーノルドの顔を見て、『え』を繰り返している。


「怖かったのかも知れないが、今、少し静かにしててくれ。あいつが男どもを追っ払ってくれるからな」

 アーノルドは言う。


「あ、はい……」

 少女は黙る。


(さて、そこら辺にいるゴロツキだけど、アイツ勝てるかなぁ……。最悪俺も助太刀に入らないと……)


 すると、瞬きする程度の速度で、なんと、アイラは……秒で負けた。


「……なっ」

(もしかしてこいつ、見栄張ってたのか!?)

「おい、大丈夫か、アイラ!」


「おー、弱い弱い、女如きが俺たちの邪魔してきたぜ」

「よし、じゃあお嬢ちゃん、さっきの話の続きだけど、一緒にどこか行かない?」

 男たちはまた、こちらに向かってくる。


(やべぇ、どうしよう! 俺もあんな奴ら、勝てねぇ……!)


 すると、少女が口を開いた。

「……最低ですね、貴方達」


「…………は?」

「おい、今こいつなんて言った?」

 男たちは怒り始めた。


(ちょっ、何言ってんだこの子! 明らかに相手を怒らせるだけじゃねぇか!)


「女性にまで暴力を振るうとか、そういうことはしちゃいけないって、小学校で習いませんでしたか!?」


 その瞬間、少女は1人の男の顔を、素手で殴る。すると男は気絶して倒れてしまった。


「………………え?」


「全く、これだから質が悪いやつらは嫌になります。せっかく、剣闘場を潰したのに、これでは意味がないじゃないですか……」

 そのまま、少女は腰に据えている剣を抜かず、力だけで男たちを圧倒した。


「……死ぬまで戦いたいなら、真剣を使って差し上げますけど、どうします?」

 少女は言う。


「っ、なんだコイツ!」

「つか小学校ってなんだよ!」

「化け物だ!」


 男たちはあっさりと逃げていった。


「……おお、ありがとうございます、」

 アーノルドは言う。


 すると、少女はクスクスと笑っていることに気づいた。


「?」

(なんで笑ってるんだこの人……)


「あはは! まだ気づいてないの? おバカだね、アーノルド!」

 少女は言う。


「……? ……………………あ、あああ!」

(ようやく分かった。素手で男を圧倒するっていうか、こいつ、『身体強化』してたのか! つまりこいつは……)


リーン(義姉様)!?」

「ふっふっふ! せいかーい!」

少女が魔法を解くと、いつものショートヘアの白髪に戻った。

「やっ、やっぱりかーー」

明後日です!

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