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第63話 ユリアの相談

少し早めの投稿です!

 アーノルドは目を覚ました。呼吸が荒く、朝をひどくかいていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……なんだったんだよ……」


(もしかしたら……いや、もしかしなくとも、アシヴァルの幼少期……だよな。でも、本人から聞いたわけでもないのに、なんで俺がこんな夢を見たのか。詳細に夢に再現できるってことは、詳細にその時のことを記憶していないとできないよな……)


「ま、いっか、どうせ、正夢ではないよな」

 アーノルドは着替えて、城の人が運んで来てくれた朝食を食べて、そのまま資料管理室に向かった。



『ガチャ』

 と、音がなって、厳重な扉が開く。アーノルドはカウンターに向かい、カウンターにある椅子に座った。


 そのまま、ぼーっとしていると、ふと、先程の夢を思い出す。

「……どっかで、アシヴァルって聞いたことあるんだよな、調べてみるか……」




 ***





「うわ、マジか……」

 アーノルドは一昨日に見た家系図の資料を手に持っている。なんと、聖騎士団というこの国の『鉄壁』と呼ばれている部隊の一番隊の隊長の名前が、アシヴァルと同名だったのだ。


「ってことは、あいつ、めっちゃ強いってことじゃん……」


(んー、『お前って聖騎士団の隊長なの!?』 とか、言うべきなのかな〜、でも、向こうから言わなかってってことは、知られたくないのかもしれないし……。本当のことなのかは知らんが、あれ(あの夢)が本当のことなら、だいぶあいつの家は複雑だしな……)


 そんなことを考えていたら、お昼の時間になってしまった。


「……あ、飯行かないと……」

 立ち上がると、ちょうど、扉をノックする音がした。


「? はーい」

 アーノルドは扉を開ける。すると、そこには丸い眼鏡をかけたおとなしい少女、ユリアがいた。


「え? ユリアさん……?」


(俺、なんかしたっけ……。何気に、この人と2人で話すのは初めてなんだよな。彼女、俺なんかとはわざわざ関わりたくないのかと思ってたんだが……)


「あ、あの! お昼、ご一緒してもいいですか!?」

 ユリアは顔を真っ赤にして言う。


「おっ、おう??」

(え、マジで俺なんかやらかした??)




 ***




 暗いグレーのおさげを風になびかせて、外を歩くユリアと何故誘われたかが分かっていないアーノルド。


(いや、マジでなんか問題起こしちまったんだな、俺……)


「あ、あの、じ、実は……」

 ユリアは突然足を止める。


「ん? どうしたんですか?」

 アーノルドは困惑する。


「あ、えと、実は……相談があって……」

「相談?」





 ***




 近くにあった喫茶店に入り、とりあえずサンドイッチとコーヒーを頼むアーノルド。

「さて、ユリアさんは何にします?」

「あ、えっと、じゃあ同じものを……」


(ていうか、この人こんなに喋らなかったっけ……結構アイラと一緒に喋ってたイメージが……あ、)


「そういえば、アイラはどうしたんですか?」

「あ、あーちゃんは、今日は休みなんです……」

「そうなんですね……」


『……』


(はい会話終わったーーー! やばい、めっちゃ気まずいぞ……!)



 ***




 2人は無言でサンドイッチを食べて外に出た。


「そ、それで、俺に相談って……?」

「そ、その……」

「はい」


「あーちゃんについてなんですけど……」

「はい……」


「あーちゃんは今、お兄様と二人暮らしなんです。お父様はお兄様が殺してしまって、お母様は王様に殺された……とか……」


「……! それって……!」

 アーノルドは思わずテーブルに身を乗り出す。


「……!? な、なにか……?」

 ユリアは驚く。

「あ、いや、なんでもないです」

(ってことは、アイラはアシヴァルの妹!? それで、昨日見た夢は現実だということに……)


「あ、すみません、俺には構わずに続けてください」

「は、はい」


「それで、お母様が王様に殺された時、あーちゃんはその場所にいたそうです。だから、そのまま、王様に殺意を抱くようになったとか……」


「それは……」

(俺と一緒じゃないか……)


「このままだと、あーちゃん、この国を出て行ってしまう! どうしたらいいのでしょうか!」

 ユリアは言う。

「……すみません、出会って少ししか経っていない貴方にこのようなことを話すのはおかしいですよね、でも、なにか、貴方の、その眼が、復讐に燃えているようで……あーちゃんに似ている気がして……」 


「……っ、」


「貴方は、この国が嫌いですか?」

 ユリアはまっすぐ前を見つめて言う。


「……あ、ああ、俺は、この国が憎い。この国のせいで俺の両親と兄は死んだ。弟も未だ行方不明なんだ」


「……そんな……」

 ユリアは言う。


「……でも、嫌いではないと思うんだ」


「? そ、それは……?」


「だってな、この国にはいいやつがたくさんいたんだ。もちろん、嫌なやつもいたけどな」

 アーノルドは笑う。


「……で、でも、貴方はこの国を憎んでいるのでしょう? 矛盾しています!」

 ユリアは叫ぶ。


「……はは、そうだなぁ、でもな、俺は『憎む』と『嫌い』は違うと思うんだ」

 アーノルドは笑顔で言う。


「にくむときらい……? だ、だって、2つとも……」


「憎む原因って環境からだったり、自分から憎むことはできないと思うんだ。『憎みたいから憎む』みたいなやつな? ……でも、嫌うか好きになるかは自分の気持ち次第。だから、2つはきっと違うものなんだ」


 アーノルドは言う。


「……そ、それなら……貴方は憎んでいるけれど嫌ってはいない……と?」


「ああ、俺はこの国のやつらが気に入った。お前もな、ユリア。だから、それとこれとは別なんだよ」

 アーノルドは少し笑う。


「! あ、えと、その……」


「? どうした?」

「あ、いや……なんでも、ない、です」

 ユリアは顔を赤くする。


「まあいいや、とりあえず、アイラは俺が説得してみるよ、とりあえずもうすぐ、昼休憩も終わっちまうし、戻ろうぜ」

 アーノルドは言う。


「は、はい……」


「?」




 ***





 そのまま城に着き、ユリアと別れて資料管理室に入る。そのまま2時間程度経ったころ、またノックが鳴った。


(おっ、アシヴァルかな……)

「はーい」

 俺は扉を開ける。するとそこには、予想通りアシヴァルがいた……わけではなく、太ももの下まで伸ばした薄いグレーの髪をしたアイラがいた。


「はっ、お前、なんでここに……」

「うるさい! 暇だから来てやったのだ。感謝しろよ!」

 そのまま、アイラは中に入ってくる。


「???」


 そのまま、アイラはカウンターにあるアーノルドの席に座って足を組む。

「お、おい、そこ、俺の……」

「いいだろ、それぐらい! というか、ユリアから聞いたぞ! お前、勝手にアタシの過去を……!」


「それは……ユリアから相談を受けてだな……お前が勝手に暴走するかもしれないって、彼女、心配していたんだぞ!?」

 アーノルドは言う。


「っ、それは! 余計なお世話だって言っているのよ! アタシはあいつになんて言われようと、絶対に、絶対に復讐してやるんだから!!」

 アイラは立ち上がる。


「……そうか……じゃあ教えてやるよ」

 アーノルドはアイラの目の前までやって来る。


「っ、何がだ……」


 アーノルドはアイラの肩に手を乗せる。

「ちょっと! なにをする気だ!」


「……あのな……」

「ちょ、嫌、なに!?」

 アイラは瞼を閉じる。


「俺はな、……反乱軍の一員なんだ!」


「……は? はぁぁぁぁぁあ!?」

 アイラは叫ぶ。

「う、嘘だろう!? お前が、反乱軍の一員だと!?」


「ああ、だから俺は、お前を勧誘する。お前も俺と一緒に来い」

 アーノルドは手を差し出す。


「……あ、アタシは……」

 アイラは戸惑う。きっとまだ、少し迷っているのだろう。今ならばまだ、踏みとどまって、元通りの生活ができるのだ。


 アーノルドは手を引く。

「そこで迷うなら、少しは今の生活に未練があるってことだ。だからきっと、お前はそのままの方がいいな」


「……それは!」


「ん?」

「……いや、その……少し、考えさせてくれないか……?」

 アイラは言う。


「いいぞ、もちろん、他言無用でな」

「……ああ、感謝する……」

ありがとうございました! 次は明後日です!

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