第59話 二番隊隊長
久しぶりの時間通りです! ごめんなさい!
「……はぁ、」
私はカムレアの部屋に入る。いつもならベッドで横になるのだが、今日はすぐに足から崩れ落ちた。足を抱え込むように座る。
流石に、『カムレアの』ベッドに、許可なく横になるのはちょっと……。
そのまま、瞼を閉じる。
明日からは授業を受ける→ガルダさんと街へっていう感じでハードスケジュールだから、早く休んでおこうと思ったのだ。それと、
「流石に、ラールドの相手は疲れたなぁ……」
そうつぶやく。
「しっかり休んでいいよ。オレが見張っておくから」
カムレアの声が扉の外から聞こえた。
「カムレア……?」
私は驚く。
「ごめんね、ラールドと会った時、オレ、何もできなくて……」
「そんな、カムレアはラールドに捕まってたんだし、しょうがないよ……」
私は言う。
「そうかな……でも、君を守れなかったから……」
カムレアは言う。
「でも、私もこうして無事なんだし、」
私は笑う。
「そうだね、じゃあ、オレのベッド使っていいから、ゆっくり寝るといいよ」
カムレアは言う。
「うん、ありがと……」
私はカムレアのベッドの中で眠った。
***
起きた。なんせ、夜ご飯を食べずに寝たから、めっっっっちゃお腹減った。
けれど、私が起きたと気づいていない青年2人は何か小声で喋っている。
「おい……大丈夫か……?」
サペは言う。
「べ、つに……いや、嘘。体めっちゃ痛い……」
カムレアは言う。
「きみ、レイラさんにベッドを譲ったからって、床で寝るのは痛いでしょ……」
「!?」
カムレア、床で寝てたんだ……罪悪感……。
「もうそろそろレイラ、起こさないとね」
カムレアの声と共に立ち上がる音がした。やばっ! 私は反射的に瞼を閉じる。
「起きて、レイラ……」
カムレアが言う。
「おはよう……」
私は今起きたフリをした。
「おう! おはよう!」
サペが言う。
「うん、……まだ眠いなぁ、」
私はのびをする。
「寝ちゃだめだよ……?」
カムレアは言う。
「はいはい! わかってますって。だって今日は『騎士が来る日』だもんね!」
私は笑う。
「じゃあ、朝食行くぞー!」
サペは言う。
「おー!」
***
私たちは食堂で朝食を食べ終えると部屋に戻ってきた。
「いくよ……?」
私は杖を出してカムレアの前にかざす。
「目の色が!?」
どうやら、サペは魔法を使う前に目の色が変わることを知らなかったようだ。とても驚いている。
「はは、知らなかったんだ〜、『デギズマン』!」
これはフランス語で「変装」という意味らしい。
私がそう唱えた直後、カムレアの顔はみるみるうちに変わっていき、赤毛に翠眼の少年になった。
「うおっ、すごいな……」
サペは驚く。
「ふふふ! じゃあ私も、『デギズマン』!」
私は腰まで髪を伸ばし、金髪にして、瞳の色は変えずに行くことにした。
もちろん幻覚なので、1日も経てば効果は切れて、髪も元通りになるのだ。
「まず、この服に着替えるんだけど、レイラ持ってる?」
カムレアは動きやすいような青色のストライプの入った制服を見せる。
「あー、それ、学園長に貰ったよ」
私は赤色のストライプスカートの付いている制服を出す。
「女子はこれなんだね。可愛い!」
私は言う。
「じゃあ、オレたちは出て行くから、先にここで着替えてて」
カムレアはそう言い、サペと一緒に部屋を出て行った。
「あ、ありがと〜」
***
「はじめまして。私は聖騎士団2番隊隊長、ヴァラン・シュリデンと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
黄緑色の長い髪を腰あたりまでたらしている青年。ただ、体が大きく、筋肉もすごい。めっちゃ強そう。
「!? せ、聖騎士団の隊長だって……」
カムレアは驚いている。
「……? どうしたの?」
私は言う。
「リーン。この国にはね、『鉄壁の要塞』と呼ばれている絶対的権力を持つ、サルバドール国最強の軍隊がいるんだ……」
「そ、それが……?」
「……それが、聖騎士団。聖騎士団には3つの隊があり、一番隊をソレイア家に。二番隊をシュリデン家、三番隊をレーンワイズ家にと、代々その家の当主が団長を務めているんだ。つまり……」
「この人は、最強の軍隊の中で二番目の実力者……?」
私は言う。
「ああ、正確には、今代の最強はレーンワイズ家のシルビィアだと言われているが、それでも彼は2番目の実力を誇っている、最強の戦士だ……!」
カムレアは言う。
『なんでそんなに詳しいの?』と聞こうとしたが、ヴァランとかいうやつがやってきたので辞める。
「さて、じゃあ皆、まずは俺と組手をするぞ!」
ヴァランは笑顔で言う。
『!?』
「い、いきなり戦うんですか!?」
「無理ですよ! 聖騎士団の隊長になんて勝てるわけがありません!」
生徒たちは反論している。
「……」
私は不意に笑顔になる。
……うん、これくらいしてくれないと、わざわざここに残った意味がない……!
「じゃあ、先ずやりたい奴、いるかな……お、君!」
ヴァランは私を指さす。
「!? わ、私ですか!?」
私は言う。まさか初手でやらされるとは……。
「うん! 君、殺意がダダ漏れだったぞ〜! よし! ここに立つんだ!」
ヴァランは言う。
「……はい」
私は息を呑む。この人には絶対に、私の心の内をバレてはいけない。だって、絶対に犠牲なしでは勝てない。勝とうとするなら、腕ぐらいは当たり前に覚悟しないと……。
「頑張って、レイラ……」
カムレアは私に自分の剣を渡してくれた。まあ、魔法なんて使ったら、それはそれで『君、聖騎士団に入らないか!?』とか言われそうだし、魔法は使わない縛りでいくしかないなぁ……
「……うん」
「で、では、始めっ!」
誰かの合図と同時に、私はカムレアの剣をヴァランにぶつける。
「うん! 君、見込みがあるね!」
ヴァランは余裕そうに剣で受け流すと、笑いながら言う。
「……っ!」
一旦後ろに戻り、間合いを空ける。そのまま、向こうが斬り掛かってくるのを待つ。すると、案外早くに行動を起こしてたヴァランの太刀を、受け流そうとする。すると、
「!」
重い……!
とても、重い太刀だった。まだ手に衝撃が残っていて、手がジリジリしている、
「……」
このままじゃ負ける……! 力もスピードも、圧倒的に彼の方が上だ……。
体制を立て直す。
***
「おっ、終わりっ!」
1人の生徒が叫ぶ。
私とヴァランは手を止めた。
「うん、なかなか良かったじゃないか。フットワークはよかったから、あとはもう少し力をつけることだね、それと、君には狡猾さがない。もう少し、ズルくなってもいいんじゃないかな?」
ヴァランはそう言って笑う。
「……ありがとうございます! そうですね!」
私は笑顔で言う。ただ、内心は、
悔しいーーーーー! 時間内に勝てなかったーーーー!
と、思っていたのだが。
「……さて、次の相手は……君だ!」
ヴァランは1人の少年を指さす。
『!?』
皆に衝撃が走った。だってその少年は……サペだったのだ。
「……え? ぼくぅ!?」
サペは叫んだ。
ありがとうございました! 次は明後日です!




