表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/92

第58話 学園長室

1時間早い投稿です!

 私の頭には雷が落ちたような衝撃が走った。


「……あ、」


「どうしたの? リ……レイラ」


「どうしよう……傭兵さんとの約束、すっかり忘れてた……」

 自分の言っていたことが脳内でフラッシュバックする。




『……えっと、多分……8日後……でしょうか?』


 そう。8日後に着くと約束してしまったのだ。あの約束をしてからもう、4日目。つまり、後4日でガルシア邸に行き、妖精と交渉して、あの街に戻らないといけない。


「や、やば……」


「?」

 カムレアの頭の上にははてなマークが浮かんでいる。


「あぁ、えっと…かくかくしかじかで……」

 私は傭兵さんという仲間ができたことと、行きたいところがあるから一旦別れて待ち合わせをしたことだけ、カムレアに伝えた。


 え、闘技場のことは言わないのかって? カムレアに話すのはちょっと恥ずかしいかな……。


「それでね、傭兵さんに迷惑かけちゃうなぁって……」

 私は言う。


「……ふ〜ん、そうなんだ。迷惑……ねぇ……」

 カムレアは少し怒るように言う。


「……? カムレア? なんか、怒ってる……?」

 私はおそるおそる聞く。


「別に。リーンはそんなに、その男に迷惑かけるのが嫌なんだって思ってさ……」

 カムレアはそっぽ向いて言う。


「?? そ、そうかな……?」

 怒っているって言うより、拗ねてる感じだなぁ……。


「というか、カムレアみたいに身内に迷惑かけるならまだしも、他人だし会って間もない人だからなぁ……まじでどうしよう……」

 私は頭を抱える。


 すると、

「……なんてね! ふふふ、びっくりしたかい?」

 カムレアは笑顔で言う。


「あ、え、あー! よかったぁ〜、ガチで怒らせちゃったかと思って焦ったよ〜!」

 私は言う。


「はは、オレが理由もなく、急に怒ったりするわけないじゃん!」

 カムレアも言う。


「だよねぇ〜、……ってか、マジでどうしよう」


「そうだね、やっぱりガルダさんに運んでもらうとか」

 カムレアが言う。


「うん、私もそれが一番いいって思ったんだけど、ちょっと最近、ガルダさん酷使し過ぎてない……? 可哀想じゃないかな……?」

 私は言う。


「た、たしかに……」


 すると、どこからともなく声がした。

「その必要はございません!」


「誰!? つーか声的にも場面的にもガルダさんだー! どうしたんですか、ガルダさん!」

 私は声のした、窓の方に顔を向ける。


「ねえ、リーン……。ガルダさんの声、窓の外から聞こえたじゃん。でもさ、ここ、2階なんだよね……」

 カムレアの顔が青ざめていく。


「……っ」

 私の顔も青ざめる。もしかして、窓の下にしがみついているとか、そんなことないよね!? 大丈夫だよね、ガルダさん……。


 私は急いで窓を開ける。そして、下を見ると……


 普通に、ガルダさんは窓の下に位置する、校庭の芝生に立っていた。


『ほっ……』



 ***



 私たちは校庭に降り、ガルダさんと合流する。

「と言うか、どうしてここにいるんですか? ガルダさん」

 カムレアは言う。


「それは……カムレア様が倒れられて、リーン様をここに届けた後、結局、リーン様をもう一回送らないといけないと思ったものでして、昨日の時点でまだ滞在されるようだったので、一旦村に戻り、先程、戻ってきた次第です」


「そうですか……」

 ガルダさん、有能すぎる……!


「ありがとうございます!」

 私たちはお辞儀する。


「あの……わがままを言って、申し訳ないのですが……」

 私は言う。


「はい?」


「あの……実は私、明日までここに滞在しようと思っていまして……」

 私は言う。


「大丈夫ですよ。明日の何時ごろまでですか?」


「! ありがとうございます! えっと、明日の15時ぐらいまではいると思います!」

 よかった〜!


「なら、明日の15時にまたここに来ますね」

 ガルダさんはそう言うと、『では』と言い、帰っていった。


「……一瞬だった……」

「や、やっぱりガルダさん、めっちゃ有能だね……」


 私たちは呆然と立ち尽くす。


「っていうか! 私、結局まだ、入学手続きしてないんだけど!?」

 私は言う。


「……あ、そういえば……。でもさ、オレ、少し思ったんだけど、1日だけ入学って、許可されるのかな?」

 カムレアは言う。


「た、たしかに……」


「それってもはや、体験入学みたいな感じゃない?」

「うーん……じゃあ、どうする?」


「無断入が……」

「流石にバレる!」


「じゃあ、どうしよっか……」

 カムレアは言う。

「……それこそ、体験入学させてもらうとか。んで、やっぱやめます〜みたいな?」

「なんか、それだけ聞くと凄い性格が悪い人だね……」

「だよね……でも、背に腹は変えられないっ! 行くよカムレア!」

「学園長室に……?」

「もちろん!」




 ***




「失礼します」

 私たちはボロボロになっている学園長室に入る。

「こんにちは、貴女が入学希望者の方ですね?」

 学園長は座っていた。


「は、はい……というよりか、明日だけ授業を受けたいのです……。お金はお支払いしますので……だめでしょうか……?」


 絶対ダメですよね!


「そうですね、本来ならダメなのですが……貴女もグラウ様のお知り合いということですよね……?」

 学園長は急に小声になる。


「は、はい……」


「なら、はい。お金も要りません。明日だけ、授業を受けていただいて結構です。というよりか、毎日来ても問題ありません……」

 学園長は言う。


「あ、ありがとうございます……」

 無料で授業を受けさせてもらえるとか、大丈夫なのかな……?


 私たちは一礼して、学園長室を出る。


「いやー、なんかグラウの凄さが改めてわかったね……」

 私は言う。


「うん、グラウさんって、何者なんだろう……」

 カムレアは言う。


「た、たしかに、何百年も生きているってことしか知らないよね」

 私はグラウと初めて会った時のことを思い出す。なにか、()()()()()を言っていたような……




 ※ 詳しくは38話 『北の魔女』で!




 確か、『やっと来たのね……リーン』的なことを言っていた気がする。『やっと』って……?


 カムレアに聞いてみようと思ったが、サペたちがやってきたので一旦やめた。


「おつかれ!」

 サペは言う。


「サペ君もハズキさんもナミさんも、ありがとうございました」

 カムレアはお辞儀をする。


「はは! ええってことよ!」

 サペは言う。


「……ごめん、少し疲れちゃったから、先に部屋に行って休んでるね……」

 私はそう言うと、カムレアの部屋に向かった。


「ちょ、レイラちゃん!? また今日もノアと同じベッドで寝るの!? ぼくが気まずいからやめてー!!」

 サペは叫んだが、どうやらもう、聞こえていなかったようだ。


「……なっ、それは? どういうこと……?」

 ハズキは言う。

「どう言うことなんですか!? ちょっと! 教えてください、サペさん!?」

 ハズキはサペの服の襟を掴んで揺する。


「ちょっ、ハズキ……やめ、気持ち悪くなってきた……」

 強く揺すられているサペは言う。


「……ごめん、オレもちょっと先に寮に戻ってるね」

 カムレアはそう言うと、リーンの後を追った。


「はぁ!? ちょっ、サペさん〜!!」

 ハズキは相変わらず、サペの服の襟を強く揺すっている。


 ナミだけは、いつも通りにニコニコしていた。

次はまた明後日です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ