第53話 入学
いつもよりちょっと早い投稿です!
そして、久々のラブコメ回!
「ってことで、私も入学することになりました!」
私は言う。
『えー!?』
3人の、多分、カムレアのクラスメイト? は言う。
「よ、よろしくお願いしますわ!」
ナミは目を輝かせる。
「うん、よろしくね、ナミ!」
「!」
“ナミ” と呼ばれたことが相当嬉しかったのか、ナミは目を輝かせる。
「ぼくはサペだ!」
「うんうん、よろしくね、サペ!」
すると、殺気を感じて振り返る。殺気を放っていた人は、なんだっけ、確か、『ハズキさん』とか言う……。
「ど、どうしたのかな? ハズキさん?」
私は聞く。
「……別に、なんでもありません……」
ハズキさんは頬を膨らませて、少し涙目になりながらそっぽを向いて言う。
「……」
絶対なんかあるでしょ!? 私知ってるよ? 『なんでもない』って言う人ほど、何かあるんだから!
「それで、私はカム……ごほん! ノアの話すことに信憑性を持たせて、クラスの人たちを説得するために入学するんだけど……」
「はい……?」
「私もさ、カムレアとは幼少期からの付き合いだから、騎士団の人も知ってるのね、だから、私も名前と顔を変えていこうと思ってるの。急に知らない人が来ても困惑しないでね。私だから」
「あの……少し思っていたのですが、名前はともかく、顔はどのように変えるのでしょうか?」
ナミは手をあげる。
「あ〜ね、それは、えっと……私……魔法、使えるんだよね……」
私は小声で言う。
『えー!?』
「ちょっと、うるさいうるさい! もっと声のボリューム下げて!」
私が言うと、3人は同時に口を押さえる。
ちょっと面白い……。
「ど、どういうことだ!? あの、少数しか使える者がいないとされている魔法を、使えるのか!?」
サペは言う。
「あーうん、ね……」
というか、私しか使えない魔法みたいなイレギュラーなやつしか使えないんだけどね……。
「あのレイラ様、そのような魔法なんて、存在しましたか?」
ナミは考えている。
「なかったような……」
と、ナミは続けてつぶやいた。
「……!」
まずい! 『みんなが使えないやつも、私は使えるんだよ〜』的なこと言ってたら、確実に怪しまれる……!
「そ、それはね……えっと……」
私が解答に困っていたところに、カムレアが割って入ってきた。
「レイラは魔法道具で補助しながら、魔法を使うんだ。だから、普段はないような魔法でも、補助系の魔法道具さえあれば、簡単に作れてしまうんだよ」
「そ、そうなんだよね、しかも、今はちゃんと、たくさんあるよ!」
私は言う。
「まあ!」
「すごいなぁ……」
「……ええ、すごいですねー(棒)」
……なんか、まだハズキさんには嫌われている気がするんだよね……。何かしたっけ……? つーか、そもそも初対面じゃん……。
うーん……。
「まあいいや、ノアが倒れていたのが祝日の木曜日だったわけで、今日は一日経った金曜日の放課後。つまり、土日は授業がない。から、次の授業はその、騎士達がくる、月曜日」
私は言う。
「じゃあ、クラスメイト達に話すのは日曜日でいいかな?」
カムレアは言う。
「……うん。明日言うと皆に広まる可能性とかもあるし、案外、急に言った方がいいと思う」
私は言う。若い子は対応力が高いからね〜。
「……じゃあ、その、私が校長先生に入学を許可してもらうのって、今日の方がいいよね? だって泊まる場所ないし……」
私は言う。
「あ……そういえば……」
カムレア以外の3人は顔を見合わせる。
「?」
「そういえば、今日は校長先生、不在なんです」
ハズキさんは言う。
「え!? じゃ、じゃあ、今日、私の泊まる場所がないってことじゃない……?」
「というか、女子寮にも、空きがなかったと思いますわ……」
ナミは言う。
「な……」
私は絶句する。どうしよう。野宿する……? いや、でも……。
すると、カムレアが私の肩を叩いた。
「オレの部屋に泊める。それでいいか? サペくん」
「なっ!?」
私は顔が赤くなるのを感じた。だって、カムレアと同じ部屋で寝たことなんて……初めてかも……
「いや、それは流石に……!」
サペは断ろうとする。後ろのハズキさんも、首がもげるようなスピードで頷いている。
「……だ、大丈夫です……! お願いします、泊まらせてください!」
私は頭を下げる。
「え、いや、それは、レイラさんがいいなら……」
サペはしどろもどろしている。
「ごめんな、サペくん。レイラの布団とかはオレが何とかするから、気にしないでくれ」
カムレアはそう言って、私の頭をぽんぽんした。
な、なんか、もとのゲーム内の性格みたいになってない……?
「お、おう……」
サペは言う。
***
夜 男子寮 カムレアとサペの部屋
サペはもう、寝てしまった夜。私は出ていったカムレアの帰りを待っていた。
まだかなぁ、遅いな、カムレア……。さっき、部屋を出て行ったきり、帰ってこない……。
少し、やな予感(?)がした。すると、
「ごめん、リーン、布団とか、見つからなかった!」
カムレアは部屋に入ってき次第言い放った。
「……え?」
私は驚く。
え、じゃあ、もしかして……いや、もしかしなくとも……
「だから、オレと同じベッドでも大丈夫?」
「……な、に……?」
「そうだよね、やっぱりやだよね……。どうしようか」
カムレアは頭に手を当てる。
「え、いや、別に、いいよ!」
私は必死に弁明した。
「……え? いいの?」
「う、うん!」
私は勇気を振り絞った。
「本当に?」
「うん……カムレアなら、大丈夫……」
私は恥ずかしがりながらも言う。
「……そ、そっか……」
私とカムレアはソワソワしだした。
「じゃ、じゃあ、寝ようか……」
カムレアは言う。
「う、うん……」
私たちはお互い、外側を向いて横になる。
ベッドはもちろん、1人用なので狭い。だからか、さっきから、ずっと、カムレアの背中が当たっている。
恥ずっっっ!
きっと、私の顔は真っ赤だろう。煙も出ているかもしれない。…………恥ずかしすぎて、消えたいけど消えたくない……。
すると、不意に、カムレアがベッドから立ち上がった。
「……!」
私は思わず、寝たふりをする。
細く目を開けてカムレアを見ると、机の下に立てかけてある、剣を手にとっている。そして、白い手袋をはめた。
……こんな時間から剣の練習?
私とサペを起こさないようにと、音を立てずに準備をすると、急いで寝たふりをしたため、掛け布団がずれていた私に、しっかりとかけ直してくれた。
そのまま、音を立てないように、扉から出ていった。
……優しいなぁ……。
私はゆっくりと目を開ける。
やっぱり、私はカムレア・ミルトレイが好きだ。改めて、そう思った。
それはそうと、緊張で目が冴えまくってしまった私は、何か差し入れでもしようかと思いつき、おもむろに立ち上がった。
簡単に作れて、水分補給のできる飲み物あたりがいいかな。
私は食堂にある材料を物色する。
……うん。これなら、冷やしたジンジャードリンクかな。
生姜を削って茶漉しで濾すだけ!
うんうん、できた! あとは、お好みで蜂蜜か砂糖……。蜂蜜があるね、じゃあこれと、氷氷……。あった、冷やして……完成!
よし、あとは持っていこう! ……って言っても、どこで練習してるの? カムレア……
明後日は20時ぐらいに投稿になってしまいそうなので、ご了承ください!