第41話 盾
「おっ、俺は……」
アーノルドがそう言おうとした時、グラウが帰ってきた。
「ただいまです」
「おー、グラウ、早かったね〜」
私は言う。
グラウは、どうやら手に何か持っているようだが布が被せてあって、良く見えない。けれど、今で言う、スマホ一個分より一回り大きいくらいの大きさだ。
「こちらを……アーノルドに」
その、手に持っているものをアーノルドに手渡す。
「おお、ありが……なんだこれ……?」
アーノルドは手に取る。
「これは、盾でございます」
『盾?』
「はい。先程、アーノルドが我と戦った時に、彼は機動力が良かったので。我としたことが、彼の戦闘スタイルを見誤って、槍にしてしまいました。不覚です」
「たしかに、アーノルド様は凄い小回りが聞いていたね」
カムレアは言う。
うんうん、魔法を避けるのってなかなか難しいもんね。
「では、差し上げます」
「え、俺のためにずっと作ってたってことか?」
「はい。そうですが」
「ありがとう!」
アーノルドはグラウの手を取って言った。
「……はい」
「いやぁ〜しかし、すごいなぁ……」
アーノルドが言うと、グラウは強引に手を離し、
「お先に失礼します!」
と言って、自室に走っていった。
「……あれ?」
アーノルドはきょとんとしている。
私たちはニヤニヤしていた。
「っていうかさ、この盾ってどうやって使うんだ?」
アーノルドが言う。
「ちょっと見せて」
私は盾を受け取って、カムレアとじっくり覗き込む。
「……これは、腕につけるんだと思います」
カムレアが言う。
「うで?」
「はい。ここにこうやって、巻きつけて……」
「できたーーー! どうだ?! かっこいいだろう!」
とてもごつい盾を右手につけたアーノルドが言う。
「はい! とてもかっこいいです!」
カムレアも目輝かせる。
うーん、男の子の感性は分からん。
「なんか、今日は、疲れたなぁ……」
盾が机の角にぶつかる。すると、急に盾が大きくなった。
「うわ!? なんだこれ!?」
盾は床からアーノルドの肩ぐらいの高さまで伸びた。
「!?」
「……ど、どう言うことだ!?」
「わっ、わかった! きっとこの、盾の裏側にある、この赤い模様。これ、ボタンになっているんだよ!」
私が言う。
「……え?」
アーノルドも確認すると、赤く丸い模様は、少し窪んでいた。
もう一度、そこを押すと縦が元の大きさに戻った。
「な、なるほど! これは面白いな!」
「うん、そうだね!」
……でもさ、グラウ、今度からはしっかり説明するんだよ?
「これで、もしも3人で戦う時が来たら、どういう風に戦えばいいんだろうか……」
アーノルドは言う。
「えっと、まず、カムレアが敵を攻撃して、攻撃を受けそうになったら、アーノルドが守って、後ろから私が支援。みたいな感じかな?」
私は言う。
「うわ、タイミングが難しそうだなぁ……」
「あはは、たしかに、盾は大変だね。明日また、手合わせしてもらう?」
『もう結構です!』
「だよねぇ」
***
翌日
「ねみぃ……」
アーノルドはあくびをする。
「昨日、夜遅くまで、何処か行っていましたよね、どうしたのですか?」
カムレアが聞く。
「なんで知ってるの?」
「足音が聞こえたからね」
「あ、いや、あの、その……」
(盾を上手く使うための練習をしてたとか、恥ずかしくて言えねぇ……)
「まあいっか、じゃあ、ガルダさん呼ぶ?」
「よろしく!」
「おっけぃ!」
「……『伝達魔法』」
そう言うと、その後に続けて、
「ガルダさん、もうそろそろ帰りたいです。場所は北の森です。よろしくお願いします」
と心の中で言った。
「よし、伝えたは伝えたから、もう少ししたら来るかも」
私は言う。
「じゃあ、その間は、今日で帰るから、グラウにお礼言いに行こうぜ!」
アーノルドが言う。
「そうだね」
『コンコン』
グラあの部屋の扉をノックする。
「はい。なんでしょう」
「あの、私たち、これで帰るから……」
「昨日はありがとうな!」
「ありがとうございました」
「そ、そうですか……」
「やっぱり、グラウも一緒に来ない?」
私は聞く。
「いえ。遠慮しておきます。私が言っても、きっと、村人が怖がるだけなので……」
今、私って……。
すると、急に、周りが光った。
「え、なに!?」
光がなくなり、目を開くと、そこにはいつも通りのガルダさんがいた。
「あ、」
そういえばこの人の魔法、無駄に目眩し能力があったな。
「さて、帰りましょうか、リーンさ、ま……?」
ガルダさんは言う。
「どうしたんだ?」
アーノルドは聞く。
「あ、貴女は……!」
ガルダさんはグラウを指さす。
「……ひ、久しぶりだな……ガルダよ……」
ガルダさんは、目に涙を浮かべながら
「師匠!!」
と言った。
『し、師匠!?!?』
明後日に投稿です!




