第34話 謎の集落
夏休みで暇になったため、この一週間(7月9日〜7月15日)だけ、毎日投稿をしたいとおもいます!
また、時間がありましたら、毎日投稿するかもしれないので、よろしくお願いします!
それから、1日がすぎて、今日は作戦の決行日となった。
「……準備はよろしいですか?」
『はい……』
私たち3人は緊張した面持ちで頷く。
「では、行きます!」
また、ガルダさんは右手の杖を少し上にあげる。『ピカっ』と周りが光り、反射的に目をつぶると、そこはもう、見知らぬ草原だった。
「では、これで失礼します……」
そう言うとまた光り、眩しさが消えた時にはガルダさんはいなかった。
「どうする……?」
周りを見回す。少し行った正面は壁のようなもので囲まれている。門のようなものがあるため、おそらく我が国にあったような、城壁というやつだろう。
「おそらく、あそこがこの辺りで一番大きい街、『ヒィオレ街』でしょう」
私たちは城壁の前までやってきた。門の前に兵士が二人、検疫をしているようだ。
「そこの者たち、止まれ!」
私たちのことだろう。私たちは立ち止まる。
「どこから来た者だ?」
「ええ、私たちはヴェルソビア村の者ですわ」
ヴェルソビア村とは、一年前からつい先日まで暮らしていた、あの村のことだ。
「……ふむ、いいだろう。通れ」
「ありがとうございます」
私たちは門をくぐる。そして、前を見ると、一気に、活気に満ちた街の光景が広がった。
「うわぁ……」
「すごい街だな」
「皆さん、楽しそうですね」
街の人々は、井戸端会議をしたり、家の外に出て火を焚いていたり、子供たちは走り回っていたり、地面に絵を描いていたり、皆が笑顔の街だった。
「さて、どうやって聞き込みするの?」
私は聞く。
「……そうだね……」
「うーん、難しいな」
決まってなかったんかい!
「とりあえず、大人とかに聞いたら、怪しまれると思うし、子供に聞いてみる!」
私は少し走り気味に、近くで絵を描いている少女に声をかけた。
とりあえず、この街の人に信頼されて、話を聞き出すのが先決!
「あの……ごめんね、今いいかな?」
「はい?」
女の子は顔を上げる。
「えっとね、私はレイラって言うんだけど、最近あったお話とかを聞かせてくれる?」
「はい、いいですよ! ワタシはターシャです!」
「えっと……あ、じゃあ、 ワタシ、最近まで、学校に行っていたんです。ここから少し先のところの山奥にある、古びた小屋で、10人ぐらいの生徒と、先生と、ほぼ毎日、そこに行っていたんです」
「うん」
「そしたら、一番仲が良かった女の子が死んじゃって……」
「……え。それは悲しかったね……」
「はい。とても悲しくて、最近あったことは、それぐらいですかね」
「そうなんだ……」
「お姉ちゃんはどこから来たんですか?」
「ああ、ヴェルソビア村っていうところから来たんだよ」
「あ、知ってます! ヴェルソビア村!」
「へぇ、そうなんだね、」
「はい! その、死んじゃった友達が住んでいました」
「っ、」
「その、死んじゃったお友達は君と同じぐらいの年かな……?」
「はい。そうですよ?」
それは……。それなら……。
「な、名前は……?」
「レベッカちゃんです!」
少女は満面の笑みで答えた。
***
「いやぁ、あの後、ターシャちゃんの家にまで行かせてもらって、情報収集ができたんじゃないか?」
アーノルドは街を歩きながら言う。
「うん、流石リーンだね」
カムレアもニコニコしている。
「……」
「どうしたんだ、義姉様、浮かない顔だな」
「……いや、別に……」
「でも、こうして有力な情報が掴めたわけですし……」
カムレアは言う。
「まあそうだよな。この街の一番西にある集落。辺境の土地という訳でもないのに、他の地域との交流が完全に途絶えている集落とか、怪しすぎるっつーの」
「はい……あ、着きました。ここが西の集落です」
カムレアは前を見る。
棘がついている囲いの中は、荒れていて、整備されていない土地。その中に藁でできた様な、簡素な作りの家がたくさんある。
「うわ、カラスが鳴いてそうだな……」
「はい、不穏ですね……」
二人は息を呑む。
「よし、じゃあ、俺が1人で行ってくる!」
アーノルドは言った。
「え、アーノルド様!? それは危険です!」
カムレアは驚く。
「いや、俺、戦闘では役に立たないし、なんか役に立つことっつったら、これぐらいしかねぇだろ」
「で、ですが……」
「いいってことよ! そんな気にすんなって! な、リーンもいいと思うよな?」
「……え、あ、はい。そうですね、いいと思います」
私はニコリとする。
「だろ! じゃあ、行ってくるぜ!」
アーノルドは手をひらひらさせながら集落の囲いの中に入っていった。
「……大丈夫でしょうか……」
カムレアはため息をつくと、こちらを見た。
「リーン」
「……? なに、」
「なにか、あったでしょ」
カムレアは真っ直ぐ前を見る。
「え……、あ、いや、なんでも……ないよ?」
私は笑う。
「……そう。それならいいけど、もう少しシャキッとしなね」
「う、うん……」
***
すると、アーノルドが帰ってきた。
「どうでしたか?」
カムレアは不安そうにしている。たしかに、全貌が明らかになっていない集落に、戦闘力皆無を一人で行かせるのは不安だ。
「大丈夫?」
私も聞く。
「あーいや、すっげーフレンドリーだったぞ」
そう言うアーノルドの後ろには、少年が隠れていた。隠れていた少年は、恥ずかしそうにこちらを見ている。
『……え?』
「ちょっと待って、え、そんな感じなの?」
思ってたのと違う……。
なんか、『集落に一歩でも踏み入れば槍で襲撃される』みたいな感じだと思ってたんだけど……。
「え、ああ、なんか、入ったらすぐに女の人たちに囲まれて、『イケメン! イケメン!』って言われ続けて、そのままその人たちに押されて、村長みたいな人の家の中に入らされて……」
「……え? 何そのギャグ漫画みたいなの……」
つーか、完全に忘れてたけれど、アーノルドって、イケメンだったな……。
「うん、で、村長に、祈祷? みたいなのしてもらって、その後、入れ墨を入れられそうになったから、『大丈夫です』って言って帰ろうとしたら、この少年についてこられた感じ?」
「な……なんですかそれ……」
「やっぱり怪しい宗教みたいなのやってたのね……」
「でも、みんな優しそうだったぞ」
「それは優しそうに見えただけでしょ!? 分からないじゃない!」
「まあそうだが……」
「では、アーノルド様に引き続き、集落に行ってもらいます。よろしいですか?」
カムレアは言う。
「ああ、いいぜ! ほら、行くぞ坊主」
アーノルドは少年と手を繋いで、集落に戻った。
「アーノルドって、コミュ力鬼だね……」
「コミュ力?」
あ、やべ、コミュ力とか知らなかったか……。
「えっと、私のいた、もとの国の言葉で、コミュニケーショんと能力が高い人のことを『コミュ力おばけ』とか、『コミュ力が鬼』っていうんだよ」
「ああ、その、オレたちがその、ゲームの住人だって言う話だよね?」
そんなことを話していると、もう、辺りは夕暮れ色に染まり、アーノルドが帰ってきた。
と言っても、何故か、とても走っている。
「……え?」
よく見ると、後ろからさっき私がイメージしたまんまの、槍を持って入れ墨を入れている男たちがアーノルドを追いかけてきている。
「な、に、あれ……?」
カムレアは驚いている。
「……はは、あいつ、なにしたんだ……」
私は呟く。
「おい、そこ! 見てるだけじゃなくて、助けろ!!」
アーノルドはこちらに向かって大声で言う。
「あー、呼ばれちゃったわ。助けに行きますか」
私は立ち上がり、静かに剣を抜いた。
「……峰打ちだよ、リーン」
「はいはい」
今日から夏休みなので、部活の都合上、もしかしたら昼に投稿したり、色々時間がずれるかもしれません。すみません!
あと、10万文字達成です! ありがとうございました!




