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第2話 婚約者

よろしくお願いします!

 とはいえ、私がリーンになったことにより、リーンがアリアナを虐めることはなくなった。


 というか、私のこのゲームの推しはアリアナだから、推しを虐めるなんてできるはずがない。


 まあ、そう言う趣味の人もいるかもしれないが、私にそう言う趣味は断じてない!


私は部屋を出て、螺旋階段で下に降りてアリアナに駆け寄る。


「アリアナ、どうしたの?」

残酷なことをした。きっと、彼女に話させることは辛いこと。知っているのに聞く私は、もっと酷い人。



「ごめんなさい……お母様が、お母様が!」

「大丈夫だよ……」


 私はアリアナを抱きしめた。彼女は泣きじゃくっている。

『ごめんね。私が貴女達のお母さんを救えていれば。もっと早くに気づけなくてごめんね』

と言う言葉が喉まで出掛かったが、ぐっと堪える。


やっぱり、アリアナを虐めるなんて絶対に嫌だ。攻略対象とかと結ばれて幸せになってほしい。


そう、心から思った。




「…………あ……だめじゃん……」


 矛盾に気づいてしまった。

 そうだ。私が、彼女を殺し損ねないと、話が始まらないんだ。


 王宮に呼ばれるのは、彼女が森でヒールを授かったからだ。ヒールを授かったのは、森で瀕死になって、妖精に助けられたから。


 森で妖精が助けたのは、虐められている境遇でも、それでも強く生きようとした、アリアナの姿勢を妖精が好いたからだ。


 私が彼女を殺し損ねなければ、いけない……。


 私は息を飲んだ。


 それでも、私は、彼女に暴力を振るうなんてしたくない。いやだ。


 彼女の顔を見る。アリアナはまだ泣き止んでいない。


 彼女に暴力を振るわず、そのまま育ったら、どうなるのだろう。

 そのまま、没落公爵家の2番目の娘になるだろうか。こんな父も母も他界していて、守ってくれる人が誰もいない令嬢なんて、いい結末を迎えるはずはない。


「……」


 その時、急に玄関の扉が開いた。


「!?」


「おはようございます、キャスリーンお嬢様、お誕生日ということなので、祝辞に参りました」


 そう言い、同い年ぐらいの金髪碧眼の美少年が入ってきた。


タイミング! 少しは空気読んで、イケメン君!


「あっ、貴方は……?」

誰だろう…?

「何をおっしゃっているのですか? 全く、リーン様はお変わりがないですね、」

男の子はクスッと笑った。

 ショタだ……! いま、めっちゃシリアスだったけど、ショタは大歓迎!


 てか、ほんとに知らないんだけど、誰だろう、けど、聞くのって絶対、失礼だよね……?

 

よし、ここは知っているふりで乗り切ろう!


「あぁ、はいはい、こんにちは、ようこそいらっしゃいました!」

 アリアナは大丈夫かとチラッと見ると、やっと泣き止んだようだ。


泣いていた顔を見せるのが恥ずかしいのか、そっぽ向いている。


「どうされたのですか?」

 少年は、すぐにアリアナの方に近づいてタオルを渡した。


「あ、ありがとうございます」

 アリアナは顔を赤くしながらお礼をし、タオルを受け取る。


おやぁ……?


 なんか、いい感じじゃない!? も、もしかしてこれは、アリアナに好意があるとみた! すると、婚約者とか?! そういう展開ですか……! いいね〜若いね〜!



 あれ、でも、ゲームでそんな設定……


私がニヤニヤして、浮かれていた時、アリアナの言葉で雷が落ちたような衝撃をくらった。


「大丈夫ですわ、ルーク様はお姉様の婚約者様なのですから、お二人でお話など、してきたらいかがでしょう」

 アリアナは微笑む。


「……ん?」

 え、聞き間違い? 婚約者……? 私の?


 マジか……


「……そうですか。分かりました。ありがとうございます。では、リーン様、行きましょう」


「いや、でも、アリアナ……!?」

え、え??



***



 彼は、少し世間話をしたらすぐに帰って行った。どうやら名前はルーク様と言うそうだ。


 名前知らないのバレなくてよかった〜。


 と言うか、絶対政略結婚でしょ……と思わずにはいられないぐらいの態度の冷たさというか、優しいんだけどね!

 

 なんか、表は良い人なんだけど裏がありそうというか、怖いなぁ……。


 ルーク様はどれくらいの位の家柄なのかは知らないけどあまり上すぎると堅苦しくて困るからやだな。


っていうか、『ルーク』って言う名前とか、聞いたことないなぁ……。乙女ゲームには出てきてないよね。誰なんだろう……。


 それと、ヒールの件はタイムリミットが10歳だから、それまでになんとかしよう〜!

読んでくださりありがとうございます!

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