第1話 転生
初投稿です。よろしくお願いします!
皆さんおはようございます。18歳の大学生、彼氏なし歴は年齢の隥神麻里咲と申します。
よく、名前かっこいいねとか、苗字かっこいいねとか、言われてきましたが、ずっと女子校だった私は出会いすらありませんでした。
だから、男の子との交流がなかった私は、気がつくと、オタクになっていたのです。
……自分語りが長くなってしまいましたね。さて、本編へどうぞ!
***
今日も、いつものようにアパートでスマホのアラームがなり渋々起きる……ようなことはなかった。
久しぶりに自然に起きたのだ。驚いて、スマホを探す。
今何時だろ……。でも、昨日確かにアラームはつけたはず……。
あたりを見回すと、そこはよくわからないところだった。お城みたいな綺麗な凄い広い部屋の中に、私一人だけ。しかも、ベットもとても広くて、お姫様が使うような天蓋付き。
なんかよく分からないけど、怖い。
もしかして、私、寝てる間に攫われたりしちゃったのかな!? どうしよう、やばい……!
……ん? このベット、反発が凄いな。ちょっと楽しいかも。
少しして、自分がベットの上でビヨンビヨン飛び跳ねていると気づいた。子供か!
すると、飛び跳ねた時に、自分の髪が視界に入った。ショートのはずの髪が長い。それに茶色のはずが白髪のように見えた。
……え? どういうこと?マジで怖い……。
髪を確認しようとすると、木で出来た扉が開いた。
「おはようございます、お嬢さ、ま……?」
入ってきた人はメイド服を着ていて、そのまま硬直していた。
(え……あの、お嬢様が、ベットの上で飛び跳ねてる……?!)
め、メイドさん……!?
「メイドさんだぁ〜! 可愛いですね〜!」
「っ! お嬢様!?」
私はメイドさんの服装を眺めまくる。
「ふむふむ……この服、よく出来ていますね……。
分かった! ここ、アキバのメイドカフェでしょ?! 朋美とかが私のためを思って、寝てる間にサプライズで連れてきてくれたんだ!」
私は早口で言う。
怖かったから、思考がおかしくなっているのかもしれない……。だって、絶対こんなことありえないって私だってわかっている。
ちなみに朋美は中学からのオタ友だ。
「おっ、お嬢様?」
お嬢様……?
「ん? 今、私のことお嬢様って言いました?」
私は聞く。
「はい? そうですよ。キャスリーンお嬢様」
「……は?」
ん、まてよ、キャスリーンとか言うどこかで聞いたことのある名前は置いておいて、とりあえず鏡を見てみよう。それで万事解決するはずだ……。
私はおそるおそる、広い部屋の隅に置いてある化粧台の鏡を覗き込んだ。
「っ!」
なんと、そこには、とても綺麗で長く、下だけウェーブがかかっている白髪に薄紅色の宝石のような眼。肌は透き通るように白い、華奢な美少女がいた。10歳ぐらいだろうか。
「……え、待って、これが私……?」
手を顔に当てる。
鏡に映る美少女も手を顔に当てた。
「いやぁぁぁぁあ!」
「お嬢様!?」
***
メイドさんが出て行ったところで、一旦化粧台の椅子に座り、考える。
さて、一旦落ち着こう……。この外見には見覚えがある。白髪に薄紅色の瞳でしょ……それにさっき、メイドさんが、キャスリーンって……。
もしかして……いや、まさかしなくとも、この子は、私が最近ハマっていた乙女ゲームの主人公の姉ではないだろうか……?
私はまた、鏡を見つめる。
しかも、それもただの姉ではない。
妹であるこの乙女ゲームの主人公に、虐めの日々を送り続ける、愛称は『リーン』。まさか、そんな人になってしまうなんて夢にも思っていなかった。
「……嘘でしょ…………」
ちょっと、もう一回確認しよう。
キャスリーンもとい、リーンと主人公のアリアナは公爵家(たしか、お父さんは財政とか、商業とかの最高長官だった気がする)の娘だ。
なので当然苗字もある。確か、『ガルシア』だったと思う。メイドさんに聞いてみよう。
私はさっき、メイドさんが入ってきた木の扉を開けて廊下に出る。すると、目の前にメイドさんはいた。
うわ、こういうのって、ずっと待機しているんだ……
「メイドさん、ウチの苗字ってなんだっけ?」
だめだ! こんな軽い感じで聞くのは絶対にリーンじゃない! もっと……お嬢様みたいな感じで行かないと!
私は頭を押さえる。
「えっと……あの、メイドさんではなく、
アリサとお呼びください、キャスリーンお嬢様」
「あっ、ごめん、アリサ」
「はい、苗字ですね、苗字は……」
やめて!ガルシアはやめて! 私は心の中で叫ぶ。
「ガルシア様ですよ、忘れてしまわれたのですか?」
アリサは微笑む。
なっ……
「なあぁぁぁぁぁぁあ!」
私は頭を押さえる。
「きゃっ! お嬢様!?」
アリサはとても驚いたようだ。
***
どうしよう……。やっぱりここは、ゲームの世界らしいのだ。少し内容を整理しよう。冷静になれ、私……。
この乙女ゲームのストーリーの前置きは
『主人公のアリアナは幼少期を姉(つまり私)とともに過ごし、虐められていた。
段々、それがエスカレートして、森でアリアナが一人で遊んでいた時に偶然見つかり、殺されかけた。(それが、アリアナが10歳の時)
瀕死のアリアナを森の妖精が気に入り、助けられてある力を授かる。
その力はヒールする力。この世界において、アリアナしか持っていない魔法の力だった。
が、その力のせいで、14歳になった時、アリアナは王宮に仕えることになる。(確か負傷兵を癒したりするためだった気がする。)
そこで、攻略対象たちに出会う。』
確かこうだったはず、
私は自分の推しである、主人公のアリアナを酷い目に合わせたリーンがあまり好きではなかった。
まあ、顔はすごい可愛いなとは思ってたんですけどね。多分、リーンはアルビノなのかな?
……え? 主人公が推しなのはおかしいって? だってさ、アリアナはまず、薄い茶色の綺麗なロングに青い綺麗な瞳。
これだけでも美少女すぎるけどさ、性格も優しくて、神なんだよ!
部屋にアリアナのポスターとフィギュアが何個かあるね。っていう、それほど推していたのですっ!
って……あれ? そうえば、アリアナを瀕死にさせた後の行動を、リーンは何も言及されてない。
……おかしい、だって、リーンはアリアナのことを嫌っていたから、瀕死にさせた後も、何かしらするはずじゃない……?
けど、たしかに、リーンは過去回想以外でゲームの中にも出てこなかったし、
とくにリーンに興味があったわけじゃないから、ゲームでも深くは出てこなかったけれど、何も疑問に思わなかった。でも現実で考えるならこれはおかしい。
リーンはどうなってしまったのだろう。
朋美(友達)が、
『全部の謎は、隠しルートで明かされるんだよ〜、まだ麻里咲、そこまで行ってないでしょ? 楽しみにしててね!』
って言ってたような……。隠しルートって誰を攻略するんだろう。聞いておけばよかったなぁ……。
これだけゲームを早く進めておけばよかったと思うのは初めてだ。
たしか、交通事故かなんかで、母親がアリアナを庇って死んでしまったのよね、だから、リーンがアリアナを虐めるようになったとか。
それが、リーンが9歳の誕生日なのよね。
あれ? 今が、リーンの9歳の誕生日より後ならば、もう、アリアナをリーンが虐めている可能性があるということじゃない……?!
それなら、私はアリアナに嫌われちゃうじゃない! むり! 推しに嫌われるとか、生きていけない!
そうだ! メイドさんに……
「アリサ! いる?」
「はい。何事でしょうか、お嬢様」
アリサが部屋に入ってきた。
「きょっ、今日って何日かしら?」
私は少し、令嬢っぽい言葉遣いをしてみる。
「まあ、ご冗談を、お誕生日、おめでとうございます」
!これは……。
「アリサ、クイズを出すわね!私は今、何歳になったでしょう?」
私は人差し指を立ててニコリと笑う。
「9歳です! もちろん、分かっておりますとも!」
なら……
「……アリサ、お母様とアリアナってさっき、出かけたりした……?」
「? はい。先程、誕生日の買い出しに行ってくると、私どもが行くと伝えましたが、『姉のために、私たちが行きたいのです』と、アリアナ様がおっしゃっていましたよ!」
アリサはニコニコしている。
「……なっ」
もう、私の足じゃきっと間に合わない……。今日、アリアナを庇って、二人のお母さんは死ぬんだ。
「じゃあ、もう、間に合わないじゃん……」
私は呟く。多分、もう、お母さんは……。
「お嬢様?」
すると、玄関の方から聞き慣れた声がした。きっと、アリアナの声だ。
「お母様が! お母様が!」
やはりもう、事は起きた後らしい。
「どうされたのですか!? アリアナ様!?」
使用人たちが駆け寄る音がする。
「……私がもう少し早く、事態を飲み込めていたら……」
私はしゃがみ込んだ。どうすれば……どうすれば、彼女達の母親を救えたのだろうか……。
時間は巻き戻らない。だから、後悔なく生きるしかない。ただ、途方もなく暗い気持ちが私を飲み込んだ。
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