元大魔道士ベル(前編)
俺とレインは朝食を済ませ、
元大魔道士ベルの待つ修練場へ向かっていた。
「なぁ?ベルって人はどんな人なんだ?」
「ベル様はとても優しい方ですよ、
そしてこの世界中何処を探しても、
ベル様より強い魔道士は居ないと思います。
それに行けば分かりますが、
ベル様は時空間魔法と全属性の魔術を極めた人、
大魔道士の名は伊達ではないんです。」
「でも元大魔道士がベルって事は、
現大魔道士も居るのか?」
「うふふ、、それは私何ですよ?」
「お姫様で大魔道士って、、
とんでもない肩書き持ってるだな、、」
なかは呆れながら会話を続けてると、
修練場への転移門に辿り着いた。
「わざわざ転移門なんて使わなくても、
レインの転移で行けたんじゃないのか?」
「それもそうですが、
こうやって一緒に歩く時間があった方が、
蒼空さんの気も紛れるかと思いまして、」
『俺の緊張モロバレかよ、、』
「はいバレバレですね。」
レインは笑いながら俺のボヤきを軽く返し
転移門を起動させた、
「さぁ、、蒼空さん。
行きましょう」
レインは俺に手を差し伸べ、
俺は一瞬躊躇ったがその手を取り、
引っ張られた形で転移した。
周りが白い光に包まれた、
次の日瞬間には俺の居た世界とも、
レインの居る世界とも違う空間に来ていた。
「ここが修練場なのか?」
「そうです、、
ここは大魔道士ベル様が構築した特別空間。
この修練場ではどんな事をしても
周りに一切の被害も出ません。
なので多少無理をしても大丈夫です。」
明らかに次元が違うのを感じつつ、
レインのあとを歩いてると、
一際大きな屋敷が見えてきた。
「ベル様は時空間魔法の一部を使い、
この亜空間を作って住んで居るんです。」
「でも修練場なんだろ?
住むには向かないんじゃないのか?」
「ベル様の住まいはあの屋敷ですが、
あの屋敷はただの門です。
ベル様はこの亜空間の中よりも
深い亜空間に住んで居ますので。」
俺はいまいち理解しかねたが、
屋敷の入り口に辿り着き、
レインは何の躊躇なく扉を空け奥へ進んで行く。
俺も黙ってついていった。
屋敷の中はまた一段と違う世界が広がっていた、
どちらかと言うと俺の居た世界に似ていた。
「ここは、、日本なのか?」
「いいえ、、ここはベル様が作った世界、
古い文系から創造魔法で構築した世界です。
蒼空さんの世界に少し似てますが、
全くの別物何です。」
こんな世界を創造できるほどすごい魔道士が、
現役じゃないなんてな、、
そんな事を思いながらレインのあとをついて行くと、
東京を模した街並みに、
絶対にありえない建物があった。
「東京にこんな中世の城があるなんて、、
しかも東京タワー前に、、本来芝公園だったよな?」
「蒼空さんの言う通りです。
ですが、ここはあくまでも空間魔法と
創造魔法の世界なのでこう言っては何ですが何でもありということですね!」
レインは何時に無くテンションが上がってる、
元大魔道士ベルって人の事心底好きなんだろうな。
そんなこんなで俺達は城の前までやって来た。