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異世界を救った高校生  作者: T_Sora
5/9

シエル国王


謁見の間の前でレインは一呼吸し、


「レイン・シーズン!

ただいま異世界より帰還し、

異世界人をこちらの世界に連れて参りました!」


そして扉の奥から声が、


「入りなさい。」


ヘイルさんが扉を開ける。

そこを通り周りを見渡すと、

この国の重鎮達が連ねて居た。


『やべーなこりゃ、、』


心でボヤきながら、

真ん中の椅子に腰掛け、

優しそうに微笑む叔父さんが居た。

そしてその叔父さんがレインに話しかける。


「おかえり、レイン。

このたびの働きぶりには大変感謝している。

良く異世界より彼を連れ帰ってくれた。」


「いえお父様、、

それは私だけの功績ではありません。

私の計画を支え、協力してくれた

皆様の力があって成せたことです。」


「わかっている。

ただ娘の頑張りを褒めたいだけさ。」


「ありがとうございます。」


レインとの会話が終わると、

今度は俺に視線を移した。


「君がレインが連れて来た少年だね?

私はシーズン王国の国王、

シエル・シーズンだ。」


「初めまして。俺は神崎蒼空、蒼空でいいです。」


「では蒼空、この世界で起こっているだいたいの事はレインから聞いているかね?」


「レインからはこの世界を救って欲しい、

としか聞いてないですけど。」


レインはそっぽを向いて、

何やら焦っている。

そんなレインの事を俺やシエル王、

その他国の重鎮が痛い目で見て、

シエル王が溜め息をついて語り始めた。


「ウチの娘がすまないね。

決してバカな娘じゃないんだが、、」


「あぁ、気にしないでくれて大丈夫ですよ。

俺は俺で好きでこの世界に来たので。

それで、この世界を救うとは何なんですか?」


「話しが早くて助かるよ。

この世界は今危機に見舞われている。

その原因は世界の暗黒圏に住まう、

12の魔王が人々を虐殺、簒奪を繰り返し、

尋常ではない被害者が出ている。

魔族内でも魔王同士の小競り合いが続き、

星が悲鳴を上げているのだ。」


「話の途中申し訳ないんですが、

一つ確認させてください。、

国と呼ばれる場所、軍を抱えている場所はこのシーズン王国しか無いんですか?」


「軍を抱えている人国は我が国を含めた5カ国、

種族別の国家もあるが、、

同盟を結んでるのは4種族の国だけだ。

武力と言う意味では魔物を狩る事を生業とするギルドも20箇所ある。」


「素人意見で申し訳ないんですが、

他国やギルドと共同戦線を張れば、

魔族だって押し返せるんじゃないんですか?」


「確かに君の言うことも一理ある、

でもそれは軍事に置いては不可能なのだよ。

君はこの国が転移魔法そのものの産みの国なのは知っているね?」


「えぇ、レインから聞いてます。

クラウド王の妻、

ネーヴェ様って人が作ったって。」


「公にはされてはいないのだが、

このネーヴェが作った転移魔法は、

欠陥がある魔法だった、

転移はできても危険な場所や空間に飛んでしまい、

城中パニックになった事も良くあったらしい。

そこで転移魔法の完成系を成功させる為、

ネーヴェが作った魔法が2つ、

空間固定と座標固定の魔法。

この2つを転移魔法に組み込む事で転移魔法は、

完成系となったのだ。」


「転移魔法の経緯はわかりましたが、

それと他国との共同戦線はできないって事がどう繋がるんです?」


「ネーヴェが作った空間固定、座標固定の魔法。

この2つの魔法だけはどうあっても他国に知られる訳にはいかないのだよ。」


「その魔法を他国に知られるとこの国にとって不利益になると?」


クラウド王は明らかに何かを恐れているのだろう。

それが何なのかハッキリするまでは、

話を続ける必要がある。


クラウド王は少し考え観念したように話し出す。


「先に話しておくが、

決して5カ国や種族別の4カ国と

敵対しているわけでは無いのだ、

ただ我々シーズン王国と違い

攻撃的な魔法に特化した国が多い、

そんな魔法を空間や座標を抑えられた状態で使われでもしたら国など簡単に滅んでしまうのだ。」


「確かにそれを考えたら無闇に共同戦線を張り、

国が秘匿とする魔法を見せ、

情報を提供する訳にはいかないって事ですね。」



「そういう事だ。すまないね。

長話も疲れたろう?

ユリイカ、彼を客室に案内しなさい。」


「はい。かしこまりました。」


ユリイカと呼ばれる獣人族のメイドが脇から現われ

俺の前まで来た。


「では神崎蒼空様、こちらへどうぞ。」


そうして俺は客室へと案内された。

その後の謁見の間では、


「なぁ兄上、あの少年は中々やるぞ?

身体強化魔法を使ってなかったとはいえ、

この私に一撃を見舞ったのだからな!

ガハハハ!」


ヘイルは上機嫌でシエル王に語る。

ヘイルの言葉を聞いた騎士達は、

驚いた顔をした者が多い、

ヘイルは普段はおチャラけているが、

こう見えてこの世界で3番目に強い剣士なのだ。


「ほぅ、お前が一撃を貰うとはな。」


シエル王も驚いてはいたが、

特別動揺したりはしなかった。


「お父様、明日より蒼空さんには、

剣術と魔術の修行に当たってもらいますね。」


レインはシエル王に告げると、

謁見の間から出て行った。


「レインも少しぐらい休めば良いのだが、、

レインの事はベルに任せるとしよう。

それと、ヘイルよ。

先の伝令にあったもう一人の異世界人の捜索、

及び身柄の保護を命じる。

パラレルナイツを動員し事に当たれ。」


「了解だ兄上。それで気になるのだが、

蒼空の剣術は誰に指導させるのだ?」


「元剣聖リュカに頼もうと思っておる。」


「げ、、あのジジィ、、

いや、先生に頼むのなら大丈夫だろうな。

それでは、兄上私は準備があるので失礼するぞ。」


ヘイルはあからさまに引きつった笑顔を見せ、

逃げるようにこの場から立ち去った。



一方その頃俺はというと、

バカみたいに広い客室に通されて唖然としていた。


『何つー部屋だよ!

高級ホテルのロイヤルスイート顔負けしてんぞ!』


心で呟きながらも、

せっせと身の周りの物を揃えてくれている、

ユリイカが怪訝そうな顔して話し掛けてきた。


「あの、、?何か問題でも?」


「イヤ、大丈夫だ。ちょっと驚いただけで、、

ユリイカだっけ?今日からよろしくな。」


俺は握手のつもりで手を伸ばした。

ユリイカは俺の手を見て嬉しそうに

フサフサなシッポを振っている。


「はい、こちこそよろしくお願い致します!」


そう言うなり俺の手を両手で握った。


「ユリイカは昔からこの城で働いてるのか?」


俺は、手を放しユリイカに尋ねた。


「私は今の国王様に拾われたのですよ、

まだ私が幼い頃の話しですけどね。」


ユリイカは少し悲しそうな顔をし、

これ以上何も語らなかった。

そして部屋からの去り際に、


「では、これで失礼しますね。

それから、明日は蒼空さんの剣術や魔術の修行になると思いますので、ゆっくり休んで下さい。」


『は?剣術と魔術の修行!?なんだそれ!』

俺は、またしても心でボヤくのだった。

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