2 一人称視点
一人称視点について。
一人称視点で執筆した作品を小説家になろうへと投稿する場合。
「主人公が心の中でつぶやいている」ことを念頭に置きつつ、地の文(会話・心象表現以外の部分)は口語などを織り交ぜて書くと良い。
理由を書く前に前提を提示する。
まず、一人称視点で書くことによって生じるメリットは二つある。
一つは作者にとって書きやすいということ。
心の中の声を書き起こせば文章になるため、執筆する際の思考量が減る。
よって、俯瞰的・客観的に説明しなければならない三人称視点などと比べ、作者の負担が減る。(個人差はある)
もう一つ(こちらが今回のテーマ)は読者が感情移入しやすいこと。
主人公視点で文章が進むため、文章を自分の心の声として捉えることができる。
それにより、あたかも自分がその場で行動し、主人公として活躍しているかのような感覚が得られる。(注意:個人差はある)
この前提を踏まえた上で、理由を説明する。
一人称視点で書いている場合、どうしても説明口調になってしまいがちである(個人差はある)。
これは主人公視点だけで情景描写や戦闘描写をすることの難易度がかなり高いためである。執筆が進めば進むほど、説明口調になってしまうのは仕方のないことでもある。
しかしこれは、一人称視点の大きなメリットである「感情移入」を潰してしまう。
感情移入という要素は文章の読みやすさに直結する。
説明的で堅い文章は、一人称視点の小説としては読者に負担のかかるものとなってしまう。
心の声として自然に読めることが一人称視点の強みであるからだ。
また三人称視点との差別化ができない。人称が曖昧であればあるほど、一人称視点で書くことで生まれるはずの本来のメリットが薄れる。
(もちろん、客観的に説明する文体を一概に否定はできない。が、ここでは一人称視点で書いて小説家になろうに投稿することを想定しているため、それ以外のケースについては想定しない)
そこで、地の文でも口語などを織り交ぜる。
意識してそうすることで、一人称視点を強め、読者にとって負担の少ない文章を目指すことができる。
普段何も意識せずに書くよりは、幾分か読みやすい文章になるはず。