月見草の咲く頃に 前編
ホラー小説のなんたるかを知ってから初めて書いた物です。
存分に叩いて貰って結構です。
ただし、やる気がなくなった場合は後編の投稿を見合せるのでご留意下さい。
「ゆうやーけ小焼けーの赤蜻蛉ーおわれーてみたのーはーいつのーひーかー」
夏だ真っ盛りで日が伸びきった頃、七時前になっても空は明るい。
住宅街にこだまする蝉の輪唱がどこか心地良い。
僕は、今日も一人帰路についている。
確かに僕は少し大人びていると大人たちは言うが、まだ僕は小学五年生。
大人たちが利口だなんだと褒め称えようと、できるだけ長く遊びたい。
だからわざと時計を居間のテーブルに置いてきて、日が暮れるまで遊び回った。
で今はその帰り、公園の時計は今さっき午後6時57分を指した。
夏は痴漢とか不審者が増えるって聞くけど、そういう人間の目当ては大概女性、それも適齢期の人だ。
熟れるどころか第二次成長期も来てないガキンチョに興奮するようなペド野郎はそうそう居ないはず。
僕みたいな子供は痴漢よりも水場に気を付けろって先生も言っていた。
僕は何も気にせずに、ペダルを踏む。
近くには児童館があって、その脇には池がある。
毎年何人か落ちたって話を聞く池だ。
溺れたと言う話は年に一件ない程度だ。
今も、上級生が柵の内に入って釣りをしている。
ああ言うのが年に何人か落ちて夏休み明けの学校で恥をかくんだ。
「ん?一雨来るのかな?」
池に居るやつらに雨が降るかもしれないと言うべきかもしれないけど、どうせ無駄だからそのまま通り過ぎることにしよう。
そして間もなく雨が降りだす。
あっという間に雨の奏でる音はポツポツからザアザアに変わった。
いわゆる夕立ってやつだ。
で僕は自転車を持ったまま近所のスーパーの駐輪場で雨宿りすることにした。
近年の地球温暖化のせいで今年は去年より暑くなってる。
雨量も増えている、つい先日も豪雨で何人か死んだってニュースで言ってた。
「早く止まないかなー」
「坊や、雨は嫌い?」
いつの間にか僕のとなりには浴衣の女性が立っていた。
高校生ぐらいだろうか…
そういえば隣町でお祭りがあるってカッチャンが言ってたっけ。
「嫌いではないけど、今は困るかな」
「そうよね、私もそう思うわ」
「浴衣って事は祭りにでも行くつもりだった?」
「そうよ、どうせなら浴衣が良いでしょ?」
「災難ですね。綺麗な浴衣なのに雨に降られちゃって」
彼女の浴衣には夜空をそのまま写したような黒い地に綺麗な黄色い花が描かれている。
「綺麗でしょ?頑張って選んだもの」
「誰と行くつもりだったの?まさか一人でって訳じゃないでしょ?」
いつの間にか辺りはすっかり暗くなっていた。
「ええ、あなたと行くのよ。楽しいお祭りにね」
驚いて彼女の顔を見た。
がしゃんっ
支えを失った自転車が倒れた。
いつの間にか夕立は止んでいて、空には煌々と輝く月が浮かんでいた。
翌朝、俺の家にお巡りさんが来た。
なんでも、昨日一緒に遊んだケイチャンが昨夜から行方不明なんだそうだ。
「じゃあ本当に樋山 圭介君がそのあとどこに行ったのか知らないんだね?」
「ああ、あんまり考えたくないけどもしかしたら途中で池に落ちたのかも」
「そこは今調査中だけどこれと言った報告はきてないからそれはないと思うよ。見つかったらお巡りさんに教えてくれるかな?勝弥君」
「110番でいい?」
「ああ、よろしく頼むよ。三浦さんの方からも何か情報があったら共有をお願いします」
「はい、わかりました。こちらこそよろしくお願いします」
「ご心配なく、それが仕事ですので」
お巡りさんは自転車に乗って走っていった。
「ケイチャンのことだから大丈夫だと思うけどな~」
ケイチャンは五年生随一の秀才、いや天才だ。
運動神経も悪くない。
そこらの痴漢に掴まされるような事はないと思う。
一番ありそうなのは昨日の夕立でハンドル操作をミスった可能性だ。
「まあ、一応チャットで聞いてみるか」
俺はネットでクラスメイトに尋ねてみる。
『圭介見てない?』
『あー、失踪のヤツね』
『見てない』
『スーパーで自転車見たよ?』
『じゃあ買い食いでもしてるんじゃない?』
『w』
『まあ、見つかったら一報くれ』
『りょ』
『オッケー』
『おk』
『桶』
『桶ってなんだよw』
『桶知らないの?水を張る器のことだよ?』
『知ってるわ!』
どうやら皆まともに知らないようだ。
とりあえず、自転車があると言うスーパーを見に行く事にする。
今日もすこぶる暑い。
昔から湿気の少ない地域で、今は上下水道が整備されたから必要なくなったけど、昔は雨水池が幾つもあったらしい。
そのほとんどは埋め立てられたけど、まだ幾つか残っている。
スーパーへの道中にある池も雨水池だ。
その水は今も時々農業用水として農地の脇の水路に流れているって社会で先生が言っていた。
そして特徴として時折出土するミイラが挙げられる。
この地域には毎年初夏になると山の神への捧げ物として少年を生け贄に捧げると言う風習があったらしい。
もちろん今は少年を捧げてはいない、少年を模して作った人形を捧げる。
だが、当時埋められた少年達のミイラが際限なく続々と出てくるのだ。
それは総じて痩せこけていて、皆なんとも言えぬ幸せそうな顔をしているのだ。
俺はお巡りさんが何人も水に入って長い棒で底を突いている池の前を通って、スーパーに向かう。
昨夜の夕立が嘘のように地面は乾いていてる。
で件のスーパーにたどり着いた。
駐輪場に無造作に放られた自転車は確かにケイチャンのそれだった。
「うーん、でもなんでスタンドも立ってないんだ?まるで乗り捨てたみたいな…」
近くを通った不審者がケイチャンを襲い、自転車を奪って、スーパーに乗り捨てて…どうするんだ?
ケイチャンなら解ったかも知れないが生憎頭も体も並な俺にはわからなかった。
「スーパーの中に居たりして?」
俺はスーパーに入る。
うぃーん
古ぼけた自動ドアがワンテンポ遅れて開く。
そっから俺は片っ端で探す。
ありがちなお菓子売り場、アイスコーナー、飲み物関連、雑誌コーナー、ケイチャンならあり得るかもしれない生鮮食品コーナーと清掃用品コーナーも見て、トイレも見に行ったが、ケイチャンは居なかった。
そうしてエアコンの効いた店内をうろうろしてると背後から声を掛けられる。
「君、店内を走らない!危ないだろ?」
「はい、すいませんでした」
「で?さっきから何かを探してるみたいだけど何を探してるのかな?」
「ちょっと友達を探してて、自転車があったのでここに居るのかな?って」
「お友達か~でも今日は君ぐらいの子はまだ見てないけどな…その自転車ってどれかな?」
「倒れてたヤツですけど」
「あー、アレは昨日からあるヤツだね。君のお友達の自転車だったのか、できたら自転車をお友達の家まで届けてくれないかな?」
「いや、それがそいつ今行方不明で…」
「あー、さっき警察の人が聞き込みしてたヤツだね?誘拐がどうって言ってたから心配だね」
「誘拐!?もう犯人見つかったんですか?」
「どうだろうね、ここには聞き込みに来ただけらしいからそこまでは…でも自転車がその子、えーと圭介君だっけな…の物なら自転車を乗り捨てたあとどうしたのか監視カメラで解るかもしれないから見てみようか?」
「良いんですか?」
「乗り掛かった船だからね、でも監視カメラ見るだけだからね?」
そう言うと店員のお兄さんは裏から脚立を持ってきた。
「このスーパーの監視カメラは安いカメラだから、無線で確認とか出来ないんだよ」
俺は黙ってお兄さんについていく。
お兄さんは外へ出ると駐車場の隅にある外灯の前に脚立を立てる。
「この監視カメラが駐輪場の辺りを録ってる筈だよ」
お兄さんは脚立に上ってカメラを弄り、SDカードを引き抜いて降りてくる。
「これを事務所のパソコンで確認してみようか」
「お願いします」
再び店内に戻って、お兄さんが言うに事務所に入る。
入るのはもちろん初めてだ。
お兄さんは机の上のパソコンにSDカードを差し込んで、パソコンを操作していく。
残念ながら僕にはよくわからないけど…
パソコンの画面に監視カメラの映像が映る。
画面の景色はまだ明るい
「昨日の夕方から見ていこうか」
午後四時、人通りが多い
午後五時、タイムセールに駆け込む人が多い
午後六時、人は徐々に減ってきて、終わり掛けに駆け込む人がチラホラ居る。
このスーパーは七時で閉店だからだ
「ここからは人が減ってくるよ」
午後七時二分、夕立が降り始める。
午後七時五分、ケイチャンが来て駐輪場に入る。
そしてこっちを見ている。
夕立が強まり視界が悪くなる。
そして画面が真っ白になる。
「ん?おかしいな…」
「でも下の棒は普通に動いてるよ?」
「ホントだ」
暫く、十分程の時間が経つと画面は元に戻り、夕立も止んでいた。
既に自転車は倒れていて、ケイチャンは居ない。
「何があったのかは解らなかったか…」
「でも犯行時間は解った、警察に連絡しなきゃ」
午後七時六分から午後七時十六分までの十分間が犯行時間と言うことらしい。
間もなく警察が自転車を確認しに来た。
ケイチャンの自転車は警察が調べるそうで、俺がケイチャン家に持ってく話はなくなった。
ここで俺にできる事はもう無さそうだから俺はスーパーを出た。
「うーん、どうするかな…とりあえずクーチャンの所行ってみるか」
クーチャンこと真田 海月姫、クラゲヒメと書いてミヅキと読む難しい名前の友達、ケイチャンとは一際仲が良かった。
と言うより、ケイチャンの人当たりが異常に良いから引っ込み思案なクーチャンも気を許したんだろう。
家も近所らしいからね。
そうと決まれば自転車を漕ぐのみ。
照りつける太陽は天高く昇るほどに強烈に背中を照りつける。
立ち漕ぎして涼もうにも吹き付ける風はドライヤーの如く温かい。
ペダルを踏む度に顔から汗が吹き出る、既に張り付いた背中にTシャツがずれる、膝の裏を汗が垂れて気持ち悪い
外出注意も納得の暑さだ、池で棒を突いていたお巡りさんが羨ましくなってくる…
で十分程自転車を漕ぐと県営団地が見えてくる。
耐震化も兼ねて建て直してる真っ最中
俺は白い建物をエレベーターで三階まで登る。
「サンマルヨン、サンマルゴ、サンマルロクっと」
クーチャン家は307号室だ。
この棟は建て替えたばかりだからまだ新しい、インターホンも最新のヤツだ。
俺はインターホンを鳴らす。
リンゴーン
電子音の割りに重厚感のある音が鳴った。
やたら古めかしい感じだが、ホントに新しいのだろうか…
『はーい、どちら様ですか?』
「オレオレ、カツヤだよ。今ヒマ?」
「うん、ヒマだけど…どうかしたの?」
「ケイチャンの事でちょっとね」
「う~ん、今朝警察の人にも言ったけどさ。昨日の夜に雨が止んでから私、隣町のお祭りに行ったんだけど、行く途中でケイチャン見たよ?」
「誰かと一緒じゃなかった?」
「うーん、確か黒い着物のお姉さんと一緒だった」
「そいつが誘拐犯か、どの辺で見た?」
「スーパーからちょっと北に行ったところかな、ミイラ山の近くだよ。もしかしてカッチャン、ケイチャン探してるの?」
「ああ、絶対助けて見せる。ケイチャンは親友だから」
「私、なんか手伝える?」
「女子の方の聞き込み頼む、俺連絡先知らないからさ」
「うん、やっとくけど期待しないでね?」
「じゃあ、俺はミイラ山の方を見に行ってくる」
「うん、頑張って~」
で俺は炎天下で自転車のペダルを踏む
もう汗として出す分の水分ももうなくなった。
視界が朦朧としてくる。
地面が歪んで見える…のはカゲロウか、トンボがどうなったら地面が歪んで見えるのかわからないがケイチャンが言っていた。
遂に頭が重くなり、ペダルを踏む足にちからがはいらなく…
ガチャーン
「うっ俺どうなったんだっけ?」
「カッチャン大丈夫?」
聞きなれた声がした。
「キッチン?」
杵島 菊花、あだ名はキッチン。
俺たち友達グループの縁の下の力持ち。
文字通り力持ちだ。
男勝りで、腕力なら俺より強い。
「カッチャン、道で倒れてたんだよ。こんな暑いのに外でたら危ないよ?」
「ここは…キッチン家?」
「そう、カッチャン家の前で倒れてたからさ。夕方まで家で休みな?クーチャンから連絡あったから事情は知ってるからさ」
「ダメだ、黒い着物の女を探さないと…」
「きっともう着替えてるよ…諦めて警察に任せよ?」
「ダメだ、警察は池とスーパーで手一杯だから俺が行かなきゃいけないんだ…」
「でもまだ、ダメだよ。顔色悪いし、まだお昼食べてないんでしょ?せめてお昼だけでも食べてきなよ?」
ふと時計を見ると短い針は二時と三時の間を指している。
「もうこんな時間か、急がないと…」
「ダメだって、次こそ死んじゃうよ?それにその気になればカッチャンを閉じ込めることもできるんだから、大人しく待ってて」
「わかった、でも急いでくれよ?」
「急いでも出さないからね」
「はいはい、待ってればいいんだろ」
こんなことしてるヒマないのにな。
俺はこの間に状況を纏める。
ケイチャンが浚われたのは昨日の午後七時六分から十六分までの間、黒い着物の女と北に向かっていた。
警察は誘拐と見ている。
黒い着物の女の目撃情報を探している頃だろう。
「簡単な物しか作れなかったけど」
キッチンは素麺とめんつゆを持ってきた。
「暑いから、冷たいもので塩分も取れる物がいいと思ったから。あと、エネルギー補給で卵焼きね」
「ありがとう…」
「あとクーチャンから連絡あったけど、女の人とケイチャンは七時半ぐらいに歩いてたんだって」
「七時半に徒歩か…それ以外の目撃情報は?女の人の特徴とか」
「髪が長かったらしいよ?顔は見えなかったけどそこそこ背が高かったって」
「うーん、情報が足らないな」
「だね」
「ごちそうさま!山に行ってくる!」
「じゃあ、私も行くよ」
「いや、キッチンはクーチャンからの情報を警察に伝えてくれ」
で俺はキッチンの家を飛び出して自転車にまたがって山に向かう。
山って言ってもそんなに大きい山じゃない、精々標高800m程度、中は雑木林で古い小屋がポツポツ、殆ど手入れされていない獣道のような登山道が申し訳程度にあるだけだ
仮にもご神体の筈なのに酷い話だ。
流石に自転車で登るのは不可能だから歩いて登る。
山は鬱蒼と繁っていて、割れんばかりの声で蝉が鳴いている。
はっきり言って不気味だ。
「これなら、誘拐犯が出てきても不思議じゃないな」
山は鬱蒼と繁る木々のお陰で、全体的に陰っていて幾分涼しい。
そして体感で一時間半程で四角い杭と小さい祠のある場所に辿り着いた。
要するに登りきったって事だ。
日は既に傾いてきている。
「居なかったな…今日は帰るか」
俺は来た道を引き返す。
日はどんどん落ちていき、森の中はどんどん暗くなる。
そんな中で俺は足場の悪い道を下っていく。
日が落ちる、暗くなる、冷や汗が背中を垂れる。
そして俺は石につまづいた。
バランスを保てず前屈みになって、砂利の坂道を腹這いで滑る。
「イテテ…」
そして森の中に黄色の模様を見た。
よく、道端とかに生えてる黄色い花だ。
見るときはいつも蕾で咲いてるところは殆ど見たことない。
その花が着物の柄だと気づくのに少し時間が掛かった。
「えっ、黒い着物の女…」
俺はポケットからスマホを取り出して写真を撮る。
しかし暗くてよく写らなかった。
さらに運悪く女がこっちを見る。
「あら?こんなところでどうしたのかな?」
その女は大きな白い布づつみを抱えている。
「もう暗くなるから、はやくお家に帰りなさい」
「うっうん、ありがとう」
「足下が悪いから気を付けてね」
足下が悪いのになぜあの人は着物なんだろうか…普通はもっと動きやすい服で…それに何か臭い。
土とは違う何かの匂いがする。
「あの、ソレ何ですか?」
「これ?これは、ミイラよ?この町では有名でしょ?月見山のミイラ」
「そうですけど…随分と動きにくそうな格好で掘ってるんだなって思って」
「動きにくそうに見えるけど意外と動きやすいのよ。ほら、もうお帰り?お家の人が心配するから」
その時ふっと風が白い包みの頭の部分を捲った。
それはミイラ等ではなく、カリカリに干からびて居る人、顔には血の気がなく青い。
眼はなく、本来眼があるべき場所にはポッカリと穴が空いている。
腐敗臭とは違う薬品のような匂いと土臭さが鼻孔を刺す
「うぐっ」
あまりの嫌悪感に形のなくなった素麺を撒き散らした。
「あら、見られちゃったわね。それにバレちゃったみたいだし、あなたには私と来てもらおうかしら」
俺は恐怖で震える手でスマホを打つ
女からおかしな臭いが漂う。
死体の臭いで気づかなかったが、この女変な匂いがする。
なんか香水とはまたちがうけど甘ったるくて、癖になる。
俺はじりじりと距離を取りながらなんとかメールアプリを起動する、いきなり表示されたのはクーチャンとの個人チャットだった。
さっきの写真を送ろうと思って開いて居たのだ。
カランコロン
女が近寄ってくる。
カランコロン
心臓が早鐘の如く鳴る
カランコロン
思考が引き伸ばされて、恐怖が背筋を走る。
俺は震える手でなんとかその一言を打つ
カランッ
女が俺のスマホをはたき落とす。
スマホは砂利道に叩きつけられて、坂道を転がっていった。
恐らく壊れただろう。
しかしなんとか送れたと思う。
頭はそこまで良くない俺だけど今から助けを呼んだ所で間に合わないのは、解った。
だから送った『ミイラ山女月見草』と
俺は意識が遠くなる、これは今日二回目だ…
『あら…いけ──子ね。最───後に遺─を残───てね』
女の言葉はよく聞き取れなかったが、反応から察するに俺のメッセージは無事に送れたのだろう。
薄れる意識の中でどや顔をかましてやる。
そして俺は…意識を手放した。