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クラスの女の子を全員落とすっていう、ふざけたゲームをしています。

作者: 冬森 伊南
掲載日:2018/01/22


 初めまして。桐谷隼人きりたにはやとといいます。僕は小学生の時、あることに気が付きました。どうやら女の子にもてるようなのです。

 中学生になっても、あいかわらずモテモテで、バレンタインには制服に匂いがつくまでチョコレートをもらいました。


 そして今日から高校生。僕は心に決めました。

 「クラスの女の子を全員おとす!」

 と。


 僕はきっとゲスでしょう。いいえ、ゲスです。しかし、考えてみて下さい。目的もなくモテ続けても、邪魔くさいだけでしょう。ここはいっそ、目的を作ってしまったほうが、かえって気が楽かもしれない。

 ということで、このゲームのルールを発表します。

 

 ・ターゲットから愛の告白、もしくはそれと同等なものを受け取ったとき、ターゲットが「おちた」とみ   なす。

 

 ・自ら愛の告白、もしくはそれと同等なものをターゲットにしてはならない。

 

 ・ターゲットはあいうえお順に決定する。

 

 ・いかなる時、誰であっても、交際もしくは体の関係をもってはならない。


 ・上記のルールが破られたり、このゲームの存在が他人に知られた場合、ゲームオーバーとなる。


 僕はこのルールにのっとって、高校生活を満喫することを宣言しよう!




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




出席番号1  有川美里ありかわみさと



 最初のターゲットは、有川美里さんです。高校に入学してからまだ一週間ですが、有川美里さんについて分かったことがあります。

 一つ目は、とてもまじめだということ。制服は校則を一つも破ってない、正しい着かただし、日直の仕事も、さぼりませんでした。

 二つ目は、頭が良いということ。ある数学の授業で、誰も答えれなかった問題を解いたのも、彼女でした。

 三つ目は、まだ同じクラスに、仲の良い子がいないということ。もしかしたら、ほかのクラスには仲の良い子がいるのかもしれませんが、僕が彼女を見かけるときはいつも一人でした。

 

 

 ・・・。わかっていることは少ないですが、やらなければいけないことは多いです。

 まずは、話しかけてみようと思います。



 放課後、僕は有川さんのところに向かいました。目的はもちろん、有川さんに僕を認識してもらうことですが、6時限目にあった数学を教えてもらう、という理由で話しかけたことにします。

「有川さん、聞きたいことがあるんだ。今、時間大丈夫?」

 僕が自分の席に座っていた、有川さんに声をかけると読んでいた本を閉じ、きょとんとした顔を上げ

ました。

「わ、私?」

「うん。ここが授業聞いてもわからなくて。有川さん、教えてくれないかな?」

 僕が何人もの女の子をおとした笑みを浮かべると、有川さんは恥ずかしそうにうつむきました。

「桐谷くんだったら、ほかに聞ける子たくさんいるのに、どうして?」

「どうせなら、やさしい子に教えてもらいたいじゃん」

 僕がそう答えると、有川さんはますますうつむいてしまいました。


 それから僕は、有川さんに教えてもらい、終わった後は有川さんを家まで送り届けました。

 

  「桐谷くん」

 有川さんに話しかけ始めてから7日が過ぎました。最近では有川さんから僕に話しかけてくるようになりました。また、グロスを塗っているのか、唇がプルプルになっています。

 「どうしたの?有川さん」

「えーっとね。このあと一緒にスイーツでも食べに行かない?」

「いいね。甘いもの、僕好きなんだ」

 ここにポイントがあります。「僕好き」というフレーズを入れると、女の子はどうやらドキッとするらしいのです。有川さんに効果があるかは、わかりませんが。



 有川さんとスイーツを食べ終えた後、僕たちは夕日に照らされた公園にいました。

「おいしかったね」

「うん。おいしかった。有川さんセンスいいね」

 女の子はほめておけば、勝手にときめいてくれる。

 僕たちの間を風がサァーと流れました。その瞬間、有川さんが唇をキュッと結ぶのが見えました。

「桐谷君。私、あなたのことが」

 有川さんが小さくほうっと、息を吸いました。

「好きです」

 有川さんはうつむきました。僕は有川さんについて分かったことがありました。とても、恥ずかしがり屋なのです。

 「つきあってください」

 僕が待ちに待った言葉でした。ここまで真剣に女の子と向き合ったのは初めてでしょう。だから、僕は有川さんに、感謝を込めて言うのです。

「ごめんなさい」

 有川さんは泣き笑いのような顔で、わかった、というと走ってどこかに行ってしまいました。

 暖かいとはいえ、まだ4月です。頬に触れる空気は、心なしかさっきより冷たいです。


 僕が作ったこのゲーム。ようやく一つのミッションをクリアしました。

 さあ、次のミッションに取り掛かりますか。                     おわり


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