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100年後の世界で。  作者: 田村 オクト
【東京】:白い竜との再会
5/10

お宝を発掘しました。

 その後も日々、着々と砂に埋もれたフロアを開放していく。

 ガラスは必ずと言って良い程割れているのでその都度、砂を超高温に熱し作成していくが、未だ強化ガラスの作り方は一切わからないので毎日どこかしらのフロアのガラスを修復している。

 そして、フロアを開放していく中で時雨は面白いものを発見する。


「エロ本だぁぁーー!!」


 フロアから飛び出し太陽の下に高らかと持ち上げて、その表紙から香り立つ強烈なエロスに心躍らせる、童貞の時雨。

 魔法使いのようなものになった彼は、そろそろ卒業の時だ、とエロ本に向かって胸の内を打ち明ける。


 そして時間は半日を過ぎ、いよいよ情熱本を御開帳する時がやってきた。

 半日を過ぎたのは喜びのあまりフロアの窓ガラスを全て割るという所業を犯したからだ。


「さていよいよだ。」


 自然と上がってしまう口角に、それを抑えることもせず表紙の淵を手に持った。

 そして、めくった。


「読めねぇぇーー!!」


 時雨の大絶叫が響き渡る。


「表紙はこんなにも綺麗なのにどうして…どうして中身は白紙なんだよぉ。」


 時雨の目から涙がホロリホロリと零れ落ちる。


「というか、なんで一冊だけここにあるんだよ。もしかしてあいつのだったのか。まぁ、誰のものでも読めないものは仕方ないか。」


 はぁ、と時雨はため息をついて、表紙だけを切り取りブロンズ像の一部とガラスを使い額縁を作り、そこに丁重に飾ることにした。

 ブロンズ像の記念すべき最初の使い道だった。


「表紙を楽しむのは今度にしよう。発掘すればまた新しい衝動本が出てくるかもしれない!」


 気合を入れた時雨だった。


 後日、その表紙を眺めようと棚を覗くとガラスが割れており表紙は東京の砂丘の中を行方不明になったことが判明した。

8月6日0時に第6話です。

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