歴代都知事の顔をグシャッとする。
「やっぱり割れてる…。」
ガラスの修復を行った次の日、案の定ワイングラスのような軽やかな音がした窓ガラスは割れていた。
「厚くしても窓枠に入らないからなぁ、あぁ、マジで強化ガラスの作り方知りたい…。」
時雨は昨日と同じように項垂れる。
「はぁ、直すか。」
床に散らばる粉々になったガラス片を集める。
そして割れた箇所に結合していく。
ひびの入っている所も綺麗にしていく。
「よし、直った直った。」
パンパンと手をはたきガラス修復を終える。
ここからはまた日々の日課を開始する。
チューブ状にした砂を窓から外に放出してさらに下のフロアへ掘削を行っていく。
ちなみに昨日発掘したフロアは壊れた椅子と壊れた長机しかなく、特に役立つようなものはなかった。
「今回は何かあると良いんだけど…。」
過度な期待はせず掘削を終えてフロアの中に入る。
「こ、これは…!」
時雨は驚きの声を上げる。
それは広い空間の中に人がいたからだ。
だが、それは人には程遠い姿だった。
その人は表面がツルツルで、色も褐色で、おまけに下半身は喪失していて、同じ褐色の台座の上に胸から上を置かれた状態であった。
そう、それは程遠いというより人ではなかった。
「って、ブロンズ像かよ!おどかすなよ!」
思わず数体あるブロンズ像の顔面をグシャッと潰してしまう。
後で確認すると、グシャッと潰されたのは2010年代の数人の知事だった。
「はぁ、ブロンズ像とか何に使えば良いんだよ…。」
グシャッとされた知事を見ながら悩むが結局結論は出ず保留にすることにした。
8月5日0時に第5話です。