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中章

 捕らえられた私は鳥かごに閉じ込められ、車でどこかに運ばれていた。

 時々、ガコン、と車体が揺れた。それに合わせて鳥籠も危なっかしく揺れる。だが、私はそれに全くの興味を持たなかった。薄暗い車の中、私はただ考えることで精一杯だったのだ。

 いったいどこへ向かっているのか。その後どうなるのか――そんなことは些細なことだった。私にはそれをはるかに上回る、気がかりなことがあった。

 こんな閉じ込められた、明日も分からぬ状況の中、私のなかで新たなる物語が想像された。

 これを誰かに伝えたい。この物語をまるではじめから存在しなかったかの如く、私の中だけで飼い慣らし、受けるはずの栄光を奪い取ることはしたくない。そんなことをする権利は私にも無く、物語もそれを望んでいない。


 これを誰かに伝えないと――


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