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死にたがりヒーロー


*芽依子が一人暮らしをはじめたら本条には毎晩安否確認をしてほしい


pm9:30

「もしもし」

『家か』

「いえ、外です」

『ハァ!?』

「ひっ」

『てめぇ……夜道を一人で歩くとか襲ってくれっていってるようなモンだろうが!他のやつならいざ知らず!』

「ま、まだ九時半ですし、大学生なら……」

『大学生だろうが高校生だろうがてめえが死にかけんのはかわんねえっつうの。お前が遊び歩いてどんな事件に巻き込まれようが知ったこっちゃねえがなあ!お前が!死んだら!誰が俺を殺すんだよ!』

「ころしませんんん」

『連絡しろ』

「ふえ?」

『何かある前に!迎えに行くっつってんだよ!』

「えっえええ、い、いいですよ、大丈夫ですよ!」

『お前の大丈夫は信用ならねえ』


そして動き出すでんしんばしら!千切れた電線が町を闇に落とす!

切れた電話に本条は走り出す!芽依子は歩き出すでんしんばしらに囲まれて逃げ出せず、仕方なく歩を合わせてどこかへ進むのだった……。




*失敗カップケーキ


ぐしゃりと鞄から音がして、はっとした芽依子は中身を覗いた。案の定、平たくなった袋が見える。溜息を吐いて取り出した。

「あーああ、つぶれちゃった」

「あ?なんだそれ、カップケーキか」

「……いいんです、どうせ焦げてるし生だし、捨てるつもりだったし。オーブンが壊れてて、ひどい失敗作なんです。」

「じゃあなんで捨てずに持ってんだよ」

「捨て辛かっただけです」

「じゃ、寄越せ」

「はい?」

「俺が食う」

「おいしくないし、体に悪いです。おなか壊しますよ!」

「それで腹壊して死ぬならラッキーだな」

持っていた袋が取り上げられて、取り出されたそれはカップケーキにも見えない。しかし本条は気にすることもなく口に放り入れた。砂糖と塩は間違えなかったんだな、などと言いながら。


一方、大量のカップケーキを山のように入れた袋を自室の机に置いて、成宮は項垂れた。袋の中を細い手が漁り、適当なものを取り出して幸乃が開ける。料理上手が好き、変なものをいれるなんて信じられない、と先んじて発言していたおかげで、異物の混入はおそらくない。ぱくりと口に入れるとバニラ香料が香る。

「き、菊池さんからもらえなかった……」

落ち込む成宮を幸乃は鼻で笑った。

「なんでもらえると思うの、失敗したんでしょ?そんなん渡さなくない?よしんば成功してたとしてもカノジョあんたのこと好きなわけじゃないんだから、期待するイミがわかんないプークス」

ぱくぱく。二個目はキャラメル風味が付いている。もう一度溜息を吐いて、成宮は立ち直った。もともとたいして期待もしていなかった。そうして頬杖をついて、従姉を見やる。

「ゆきは?オレにないの?」

「あると思うの?貰ったの食えよ」

「ゆき料理上手じゃん」

調理手順通りに作るカップケーキにそう差ができるとも思えなかったが、幸乃は仕方なく自分のカバンを開ける。そうして二つの袋を出して、ニヒルに笑う。

「ふっ、仕方ない。赤い袋と青い袋、好きな方を選びな!」

「赤と青……」

「どちらかはカスタード、どちらかはマスタード入りとなっています」

ちなみにこれは幸乃の兄と父にやるつもりの遊びだった。




*全創作の登場人物で最強はたぶん本条

(芽依子 本条 幸乃 成宮)


「いちばん強いのって、本条さんなんですって」

「そうかよ」

「うっわぁつまんない反応!でもこの人が最強って、なんか、ええーって感じ」

「 (あの赤髪を前にブレない幸乃つええ)」

「ええーって?」

「ラスボスっぽさなくない?気品ってか、なんかこう」

「ああ、えっと、ストレートに強そう?ですよね?」

「そうそう、強さ隠してないっての?初めから全力!物理で倒す!猪です!みたいな」

「 (猪……)」

「てめえの語彙の方がよっぽど馬鹿っぽいけどな」

「馬鹿だなんて言ってないじゃん。ああ、良く言えば敵を侮らないかんじ。獅子は兎を殺すのも全力出してオーバーキル!みたいな」

「 (馬鹿っぽい)」

「兎なんて殺さねえよ」

「そうですよね、守ってますもんね」

「……。」

「守ってる?」

「 (菊池さんかわいい)」

「 (うわーほんめい)……ほんめい……」

「本命?」


→成宮しゃべれ




*成宮の名前を忘れた


「いちおう学校でも評判のイケメンなのに名前忘れられてチキン扱いされて肩ポンされたつらい」

「m9 (^Д^)プギャー! 」

「つらい……おれのてんしはきくちさんだけ……」

「まあ菊池さんも多分名前覚えてないけどねwwwww」

「もうちょっとイトコに優しくしようみたいな気持ちないのか」

「あたしの優しさ大人気でもう売り切れちゃったわ、新作ゲームで再入荷します」




*本条の普段


「本条さんってさー、普段なにしてんの?」

「あ?それ聞いてなにになんだ、どうでもいいだろ」

「興味興味。答えにくいならー、そうだな、昨日の夜は?」

「昨日……は、酒を飲みに」

「お酒?一人で?」

「いや」

「誰かと!?友達!?」

「えっ!?」

「オイその驚きはなんだ」

「いっ、いえ、べつに」

「本条さんって友達いたんだあ」

「なっ成宮さん!?」

「ほう、それを菊池も驚いたと?」

「ままままさかっ、でも、あの、えっと」

「友達っていくつ?同い年?若い?」

「あー三十幾つだったか」 (芽依子の頭を鷲掴みつつ)




*本条が風邪


「本条さんも風邪ひいたりするんですね、ゼリーとか買ってきたので食べれそうなら……」

「チッ」

「ひっ!あああの、邪魔でしたよね、ごめんなさい!すぐ帰りますので!」

「うぜえ帰るな」

「えっ (本条さんでも風邪のとき寂しくなったりするのか)」

「止めをさしてからにしろ」

「こっ殺しませんー!」

「ああん?お誂え向きに弱ってんだぞ、チャンスじゃねーか」

「弱ってても元気でも!わたしはぜったい殺したりしませんから!帰ります!」

「っだよ、だったら一人じゃ帰せないだろうが」

「大丈夫です!」

「俺を殺す前に死なれちゃ困るんだよばか」

(しかし本条は風邪ひかない)




*仏像好きな芽依子だけど (確定した)、あまり旅行には行けてないので、毎年「そうだ、京都行こう」CMを羨んで、本屋で旅行雑誌立ち読みしてる


という前提で


「京都?」

「うひゃっ!ほ、本条さん」

「出かけんなら早めに日程用意と現在地報告しろ」

「いえ……旅行は、ちょっと」

「あ?枕が変わると寝られねーとか言うのか」

「枕はなんでもいいんですけど、あんまり遠出すると……何が起こるかわからないので」

「はァ?気にすんな」

「しますよ!」

「どーせ『周りに迷惑かけるからー』とかだろ。お前がなんか起こすわけでもあるまいし、お前のことは俺が死なせてやらん」

「本条さん……」

「いや、やっぱり京都旅行より先に俺を殺してけ。なんかある前に」




*殴らないと出られない部屋 (ほんめい)

「お前が殴れ」

「うぅ、はい…… (ぽす)」

「……」

「……?」

「今ので殴ったのか……?」



*殴らないと出られない (なりゆき)

「ハイ歯ぁ食いしばってー!」

「待って待って」

「何よあたし殴る気?」

「いや殴られるのに異存はないんだけどさ」

「じゃあいいじゃない、いくわよ」

「だから待てなんでそんな本気で、っわー顔は!顔はやめろ!やめて!」

「腹なら?」

「鳩尾はダメ」




*うわき

「本条さんが浮気したらどうする?」

「……べつに、関係、ないです し」

「…………」

「……………。」

「……………………しない。」

「……はい。」






~2014

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