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プレゼントは従者?短編投稿後小話

従者になってすぐのこと。




セラフィーナは驚愕していた。


従者になったとはいえ、ネヴィルはちゃんとした貴族の令息である。歳は一つ下の11歳(にしては少し背が低いが、この程度なら個人差の範囲だろう。成長の早いセリーとはいくらか大きな差ができている)。

背のことはともかくとしても、ネヴィルはまだ子供で、かつ人に仕えた経験など当然ない。

それなのに。


「セラフィーナ様。紅茶の用意ができました」

「あ、ありがとうございます」


優雅に注がれた琥珀色は、へたな侍女よりよっぽど香り高い。食器同士のぶつかる音も聞こえず、流れるような動作で刺繍に勤しむセリーの側にそれを置いた。口をつけられ、飲み込まれる液体を、ネヴィルはうっとりと見つめる。

セリーの父は彼が貴族だろうが使用人だろうが興味ないが、初めに友人と告げたので、従者兼友人としてまだ少ない仕事を与えた。ネヴィルは、その全てを完璧にこなした──セリーを見つめながら。

仕えた経験はないが仕えられた経験はあるので、それを見ておおよそ仕事を覚えたらしい。信じられない能力値なので、今からでも男爵領をより良くしたり世界に貢献すべきだとセリーは思う。もしも口に出したとしても「世界よりセラフィーナ様のお役に立ちたい」と言うだけなので、口に出さなくて正解である。

特に彼が好むのが、茶を淹れたり、菓子の用意をすることだった。セラフィーナ様の可愛らしいお口に入るものを自分が用意している、ということが恍惚ポイントらしい。セリーは聞かなかったことにした。

なので今日も、紅茶を飲むだけに異常な視線を感じても無視して味わう。


「ありがとう、おいしいです」

「勿体無いお言葉です。」


にこにこと笑う顔は本当に天使なんだけどなあ!

頭が痛くなりそうなので、セリーはあまり深く考えないことにして、のけておいた刺繍を再度手にとる。ネヴィルの視線はぶれないのに、あまり煩わしく感じないのも不思議だったが、考えなくて済むならそれで良しとすることにした。







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