死にたがりヒーロー
主人公→菊池芽依子
不死身男→本条安曇
人質
「あの、ずっと気になってたんですけど、人質の中に私がいるとかどうやって気付くんですか」
「人質のいる事件とか取り残された人間がいる事故は連絡が来るようになってる。あとは顔を見て確認するか、カン」
「見えるところに居なかったりカンが外れたりしたときは」
「残念だな」
「銀行の壁を壊したじゃないですか」
「おう」
「もしあの中に私がいなかったら……?」
「あのまま帰った」
*
色白
芽依子は頭を掴まれて、咄嗟にまた人質に選ばれたのかと思った。しかし聞こえたのは知った声、顔をあげると赤髪の強面。
「今日はびびってねえのか」
「こ、怖い、ですよ?」
「俺じゃねえ」
鋭い視線が、芽依子からついと動きその背後に向く。
「……?」
視線を追うも、そこにはなにも居ない。ぱちぱちと瞬く芽依子に男は「ああ」と納得したように声をあげた。
「見えてねえんだな」
「…………!?」
*
本条と芽依子が同級生だったら
1
「おい、……おい!お前だ菊池ィ!」
「ふぇあはいぃ!?」
「てめぇ何帰ろうとしてやがる」
「なにって、授業終わった……」
「待ってろって、なんべん言ったら記憶すんだよ!」
「だ、だって今日本条くん生徒会」
「待て」
「早く帰りた」
「待て」
「家でやることが」
「待て」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、毎日なんかあるわけじゃない」
バシャッ(水が掛けられる)
「……んだし」
「今のは何もなかった換算か?」
「い、命に別状ないし」
「昨日なにも無かったからって今日起きないとは限らんだろ、大人しく待て」
2
「本条くんはほんとに芽依子の番犬だよね。秋田犬あたり」
「ケルベロスじゃなくて?」
「騎士とかさあ、守ってくれる感じ。もう守り神だよね。」
「あっ蔵王権現に似てるよね、赤いけど」
「テメェ菊池随分好き勝手言うじゃねえか、なあおい厄病神」
「ひっ」
140620