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後編

収録作品の紹介


「ラーメン」「死体」「パンチラ」

作者・影之兎チャモ(W6270A)

「カレンダー」「緑」「映画館」

作者・マグロ頭

「女子高生」「十字架」「雨」

作者・yoshina(W6046A)

「黒」「窓」「ベッド」

作者・マグロ頭

「母ちゃん」「内緒」「休み」

作者・更紗ありさ(W3245A)

「扇子」「雪」「本」

作者・AKIRA(W7051A)

◇◇◇◇◇◇◇


「ラーメン」「死体」「パンチラ」

作者・影之兎チャモ

−−−−−−−


 主人は殺人鬼であり、裏世界でその名を知らぬ者はいない。殺した人間の数もさることながら、女性美を極限まで体現させたその美貌と挑発的な姿は、誰もが口にせざるおえない。

 今日も主人にひれ伏すように死体が山となる。ひっくり変えされたラーメンのように中身が撒き散らされ湯気を立てる屍達は、死して何を思おう。

 主人は天使のように微笑むと、短いスカートをつまみあげた。パンチラ、それが彼女から彼等への餞なのだ。

 さて、未来の屍諸君。死の淵でまた会おう。私の名はまだ言うまい。主人の前に這いつくばり首をあげれば見える、逆三角形のアイツ、とだけ伝えておこう。


◇◇◇◇◇◇◇


「カレンダー」「緑」「映画館」

作者・マグロ頭

−−−−−−−


 日曜の朝。平日より遅くに響きまくった目覚まし時計を蹴飛ばして止めた私は、上半身を起こしてぼーっとしていた。

 そのまま十五分、一向に目覚めを実感しないまま時間だけが流れていく。ふと、まるで糸を引かれたように私は壁にかかるカレンダーを見た。

 ん? 何か滅茶苦茶強調してある日がある……『映画館』……何の事だぁ?

 疑問だらけの思考。でも、それを見ているうちに、私の頭は妙にはっきりしてきて、同時に変な焦りが沸き上がってきた。

 『映画館』……確か誰かと行くつもりで……そう、緑だ。ずっと見たいって言ってた。……つまりあれは緑と映画を見に行こうって予定な訳で、その予定日と言うのが……

「今日じゃない!」

 思わず声をあげると、私は布団を跳ね飛ばし起床。準備に取り掛かった。

「あ〜〜〜〜っ、もう! 何で忘れてたのよ、このバカっ!」

 急いで服を着替えながら私は自分にダメ出しをした。いくら昨日彼氏に振られて自棄酒したからって、忘れちゃ駄目だろ!

 しばらくバタバタした後、私はトーストをかじりながらアパートのドアを開けた。旧友との久しぶりの再会に自然と笑顔になりながら。


◇◇◇◇◇◇◇


「女子高生」「十字架」「雨」

作者・yoshina

−−−−−−−


女子校というところには何か魔物が棲んでいる様に思える。

共学にはない何かがそこにはあるのだ。

男子校には縁が無いのではっきりとはいえないが、

同性ばかりで青春を過ごすということには非常に危うい面があるのかもしれない。


どしゃぶりの雨が振る夕方。

教職の件で久しぶりに母校の女子校に行くと、隣接した教会の門が少しだけ開いていた。

在学中ミサ等で使った所だったので足を伸ばしてみる。

しかしドアを開ききろうとしてその手を止めた。

中には女子高生が2人で長いすに座ってなにやら話していたからだ。

ただ話していただけ。

だがそこには共学の女子には無い曇った雰囲気があるように見えた。

十字架の前で仲良く談笑する少女達。

一見絵に描いたような光景にも関わらず、それはイエスからするとあまり歓迎できる場面ではないのが皮肉だ。


私は中へ入らず静かに教会を後にした。

そしてもう一度その建物を見上げる。

卒業したら彼女達も気付くだろう。

ここには少女を狂わす魔物が居ることを。


◇◇◇◇◇◇◇


「黒」「窓」「ベッド」

作者・マグロ頭

−−−−−−−


 夜は真っ暗な方がいい。人工の光で照らされるよりも、自然の光が生み出す闇の中でじっと息を潜める方が素晴らしい。

 確に初めは孤独で怖くて逃げ出したくなる。闇は自分の小ささと弱さを顕著に現すから。でも、見上げた夜空には、煌めく星たちと優しく光る月がある。同じ様に晴れた夜空なら、同じ景色を何処でも見る事ができる。

 それに気づければ、案外闇は優しい。

 町の街灯が消え切る頃、僕は二階の窓から外の様子を見た。真っ黒に染まりつつある町並は、月明かりに照らされて原始の夜となっている。

 暫くして、遠くの夜空に一筋の光が走った。

「始まったぞ!」

 何処からともなくそんな声が聞こえた。言葉の通り、始めの一つを皮切りに次々と星が流れてく。僕は近くにあったベッドに腰かけた。

 君もこの空を見てるのかなぁ?

 知らない誰かが、知っているあの人が、同じ空を違う場所で見ている。誰かは笑っているのかもしれない。あの人が泣いているかもしれない。でも、みんな同じ空を見ている。

 独りじゃない、そうなんだろ?

 もう会えないあの人にそっと微笑んだ。


◇◇◇◇◇◇◇


「母ちゃん」「内緒」「休み」

作者・更紗ありさ

−−−−−−−


僕の母は、常に機嫌が悪い。大好きな韓国人俳優がテレビに出てこなかっただとか、大抵ろくでもない理由で怒っている。

「ねぇ」

そして今日も母は大層機嫌が悪かった。

僕はゲーム画面から視線を外さないまま、黙って母の次の言葉を待つ。

「今日も学校休んだの?」

「うん」

「また内緒でカラオケ行ったの?」

「そう」

僕が学校に行かない事なんて、もう一年前から当たり前の事だった筈なのに。

僕はゲーム機をテーブルに置いて、ちらりと母を見た。

母の目には涙が浮かんでいる。

「田中さんの奥さんから、聞いたのよ……」

田中さんは、今朝井戸端会議に混ざった時にいたおばさんだ。僕が学校をさぼったのも、彼女から聞いたに違いない。

他に何を伝えたのだろう。

気丈でプライドの高い母が涙を浮かべる事は珍しく、僕は急に不安になった。

「母さん、田中さんから何聞いたんだよ?」

「――お母ちゃん」

「は?」

「あんた、私の事お母ちゃんって呼んだのね! 今時お母ちゃんなんて呼ばれたら、恥ずかしいでしょ!!」

……ほら、母さんは大抵ろくでもない理由で怒っている。

僕はがっくり肩を落とした。


◇◇◇◇◇◇◇


「扇子」「雪」「本」

作者・AKIRA

−−−−−−−


 あれは小学生の頃の話。

 ある雪の降る日、掃除を終え、一人家路についていた時、

「寒いなぁ。早く帰ってコタツで寝よ」

 そんな事を言いながら、公園の前を通りかかった時、公園の真ん中に誰かがいるのに気付いた。

「ん?なんだあれ」

 その格好は長い黒髪に白い着物を着て、素足で佇んでいる女性がいた。

 あんな格好で大丈夫なのかと思っていると、着物から取り出した扇子を持ち、踊り出したのだ。

 まるで楽しむ様に、そして優雅に踊っていた。これは多分『舞』と言うやつだろうとわかった。ついこの前に国語でこんなのをビデオを見たからだ。

 見とれていると、ふいにこちらを見た。

 すると次の瞬間にはその女性はいなくなった。

 あの時見た女性は何者だったのだろうか。もしかしたら雪を降らせていたねかもしれない。

 即興小説傑作集第一弾、いかがだったでしょうか? 心に残る作品があった、という方は作者様の名前を添えて感想を送ってくださいね。もし作者様が小説家になろう登録済みでしたら、作者様個人のメールフォームなどにどうぞ。


 また、即興小説の活動は現在も「小説家になろう〜秘密基地〜」のみんなの掲示板にて行われています。傑作集には収録されていない作品もありますので、ぜひご覧下さい。参加もお待ちしております。


 それでは、今回参加していただいた方々のご紹介を最後に添えさせて頂きます。


■マグロ頭さま

■AKIRAさま(W7051A)

■yoshinaさま(W6046A)

■更紗ありさ様(W3245A)

■影乃兎チャモさま(W6270A)


 ご協力、ありがとうございました!


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