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ピーチク村  作者: ゆう
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ピーチク村

ピーチク村の完璧な畑』

むかしむかし、あるところに、とても大きな畑を持つ農家さんがいました。名前はタロウさん。タロウさんの畑は、世界で一番美しく、美味しい野菜ができると評判でした。トマトは真っ赤に、ナスはつやつや、キャベツはまんまる。タタロウさんは、毎日、土と野菜と、そして自分のおしゃべりな仲間たちと話すのが大好きでした。

でも、タロウさんの畑には、一つだけ困ったことがありました。それは、いつも空からやってくる**「ピーチク鳥」**たちでした。

ピーチク鳥たちは、小さな体で、いつも「ピーチク、ピーチク!」と、とても大きな声で鳴きます。

「タロウさんのトマトは、きっと美味しくないピー!」

「タロウさんの畑の土は、もっと硬い方がいいピー!」

「あのカカシは、全然役に立たないピー!」

野菜をつつくことはあまりないけれど、タロウさんが一生懸命働く間も、ずーっと、ずーっと、大きな声で文句を言ったり、誰かの悪口を言ったりするのです。

タロウさんは、最初、「話せばわかるはず」と優しく声をかけました。「ピーチク鳥さん、静かにしてくれたら、もっと美味しいトマトをあげるよ」。でも、ピーチク鳥たちは「ピーチク!」「ピーチク!」と、もっと大きな声で鳴き続けるだけでした。タロウさんの頭は、ピーチク鳥たちの鳴き声でいっぱいになって、大事な野菜の育ち方を考えることができません。

「どうしてピーチク鳥たちは、僕の言葉を聞いてくれないんだろう……」タロウさんは悲しくなりました。

ある日、タロウさんは考えました。「そうだ、ピーチク鳥たちは、ピーチク鳴くのが一番好きなんだな」。タロウさんは、畑の隅に、小さくてかわいらしい**「ピーチクの森」**を作りました。そこには、ピーチク鳥たちの大好きな赤い木の実をたくさん植え、みんなが集まって思いっきり鳴ける、特別な場所です。

「ピーチク鳥さん、ここなら誰にも邪魔されずに、ずーっと鳴いていられるよ。ここで元気でね」

タロウさんがそう言うと、ピーチク鳥たちは大喜びで「ピーチクの森」へ飛んでいきました。タロウさんは、森の周りに、ピーチク鳥たちの声が聞こえなくなるような、高い木の壁を作りました。

畑は、しんと静まり返りました。タロウさんは、もうピーチク鳥たちの声に悩まされることなく、トマトやナスやキャベツに、心を込めて話しかけることができました。畑の野菜たちは、どんどん大きく、美味しそうに育っていきました。

タロウさんは、静かな畑の真ん中で、ホッと一息。温かいコーヒーを淹れて、夕焼け空を見上げました。「ピーチク鳥たちは、きっと今も『ピーチクの森』で、楽しそうに鳴いているだろうな」

でも、タロウさんの心の中には、もう一つ、静かな決意がありました。

夕焼けが沈み、やがて空には、きらきらと星が輝き始めます。

タロウさんは、コーヒーカップを置いて、ただ静かに星空を眺めました。

ピーチク鳥たちの声が聞こえない畑は、宇宙のように穏やかで、タロウさんはその静けさの中で、深い安らぎを感じていました。


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