都会の昨夜
「もしこれが世界の終わりであるならさ、付き合おうって言ったよね?」
俺は細々と真衣に話しかける
「そうね。でも私達が付き合ってどうするの?」
真衣の言葉が沈黙を再び印象付ける
俺の言葉は真衣に響かないかもしれない
「佐藤と私が付き合う事はあまり重要じゃないんだよ。それは分かってる?」
木々のなびきが何処となく寂しい感じを装わせる
ここの地域では風通しが良いせいか、人がちらほら集まりやすい傾向にはある。
「ベンチに座らないか?立ってても仕方ないし」
俺たちは無言のままベンチに腰をかける
陰と陽は世界の基本構造であり
互いに引き合う性質のはずなんだけど
その世界の基本がここでは成り立たない
そんな事ってあるのかな?
「この前に真衣が言ってたさ、YouTube見てみたよ。あれは中々面白いね。」
「そう?私はそこまで好きじゃないけど」
………
東京の郊外は意外と寂れている
先進国の都会と言ってもピンからキリだ。
俺は日本の都会に相応しくないのかもしれない。




