25歳ですけども青春です
人間って不思議なものだよ。
理性の中に自由を見出せる。
だけど、籠の鳥という看板をだしては。
決まったレールを走ったり。
水のないところでは魚は生きられない。
そんな世界にあって、
籠を壊した鳥は?
新しいレールを作った先は?
水槽を持ち出された魚は?
さて。
僕はどうしよう?
人間は空気と食い物があればとりあえず死にません。
お金があればさらによし。
今は25歳。
今しかできない。
そうだ。
自由に生きろ。
って自分に言い聞かせては、いつも眠りについた。
そして、本日はそれを実行しようと思う。
仕事を辞めて。
携帯電話を解約した。
なんとなく。
携帯は不必要だと思ったから。
誰にも何も言わなかった。
ただ、家族だけには毎月手紙を書く約束。
そろだけ。
あとは全てを切った。
名前は変えれないからそのままで。
朝日が上る春先に。
古びれた鞄を転がした。
新しい鞄よりも母のおさがりを使いたかった。
母は不思議そうに笑みをこぼして、僕に鞄と茶色い封筒を差し出す。
瞬時に涙は出なかった。
だが、今の僕の瞳は確実に潤んでいる。
気持ちばかりの封筒が重くて、鞄の中身がそれしか入ってはいない気がした。
あとは何を詰めたかなんて覚えてはいない。
電車の通過する音がやけに静かに感じた。
ゼロからのスタートがこれほど、五感に響くものだろうか?
何を見ても焦らずに音を聴き、ゆっくりと深呼吸をする。
メンタルがなんとも充実していた。
その証拠に僕の舌はおとなしく、いいこにしている。
いつもなら、パチンと弾くように音をたてては僕を困惑させていた。
無意識の行動とは理性なんて関係ない。
今ならたとえ何をされても許せる。
電車の遅延。
満員電車。
許せるな。
たぶんね。
そんなゆとりを抱えて僕は上り電車に飛び移った。
正確には乗り込んだだが、今の僕の足どりは軽く。
プカプカであるから。
いい意味で地に足はついてない。
期待で満腹。
おかげさまで、少し幸せを体の外には出さずにはいられなかった。
深く二酸化炭素が吐き出される。
「いってきます。」
その言葉と同時にドアは閉まり電車は動き出した。
僕はフラフラと鶯色の席に座った。
優先席と書かれた黄色いつり革がブラブラ。
朝の電車はガラガラ。
なんとなく、そこに座りたかった。
僕は自然と瞳を閉じては、電車の横揺れに身を預ける。
気持ちいい。
次に瞼を開けるのは、もう少ししてから。
それまでは、少しばかり僕の今までの世界の話しでもしよう。
そう、夢の中でね。