ないものねだり
凄く久しぶりに前に途中だったの引っ張り出して書いてみた。リハビリ作。
彼が見ているのは私じゃない。
わかっている。
鏡にイヤな顔の女が映る。
彼に抱かれたあとの私。
ずるくてゆがんだ女の顔。
◇◇◇◇◇
最初から私の手元にあるものは多くはなくて。
全て諦めていた。
羨ましいと思っても。
貧しさのなか働く両親、兄。私はまだ幼いと、不自由はさせられないと。
そうして離れてしまった家族。
手に入れられない。
戻らない。
そんなもの、無かった。
彼は私が欲しかったものを何の苦労もなく持っているのに。
私が持っているほんの少しのものを欲しがる。
無邪気だった心を私という存在がくすませる。
◇◇◇◇◇
兄の一番は家族だから。
兄とよく似た顔。
幼い頃、二人で仕事で不在の両親の帰りを待った嵐の夜の思い出。
守ろうと隔離された私は蚊帳の外。
多くないものを寄せ集めると言えずにいた気持ちも引き寄せる。
もう埋めることのできない感情を気にしてもしかたないのに。
奪われたのは私。
だけど、彼の欲しいものは手に入らない。
どんなに彼が私を抱いても彼が持つのは虚しさだけ。
だけど私はそれを利用した。
設定はあるんだけど、続けるとしたら次は年齢上げた所で書かないとかな。