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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界転生・転移の文芸・SF・その他関係

異世界転生した先から恨みを晴らすために元の世界に呪いを飛ばす

作者: よぎそーと

「さてと」

 準備をととのえたところで、呪いを発動させる。

 成功するかは分からないが、やるだけの事はやっていく。

「あいつらを潰さないと」

 今でもハラワタが煮えくりかえる思い。

 これを解消しないかぎり、死んでも死にきれない。

 実際、一度死んでも消える事はなかった。



 呪いをかけようとしてる者は異世界転生者である。

 前世で自殺して、なぜか別の世界に生まれた。

 そして、超越的な能力を持っていた。

 理由は分からない。

 しかし、この能力を使ってやりたい事をやっていった。



 前世でもそうだったが、周りはろくでなしが多かった。

 人を貶したり甚振るの好きな人間がほとんどだ。

 赤児の時点からそういう連中の姿が目に飛び込んできた。

 というか、嫌でも意識してしまった。

 そういう連中の思念が流れ込んでくるのだ。



 転生者がもってる能力の一つだった。

 周囲の人間の意識を読み取る。

 いわゆる超能力。

 それを生まれた直後から発揮していた。



 それどころか、赤児なのに意識がはっきりしていた。

 肉体は未成熟、脳の思考力もそれ相応のはずなのに。

 おそらく、霊魂の力が肉体を凌駕しているのだろうと思った。

 確証はないが。



 しかし、超常的な能力を持ってるのは確かだ。

 おかげで様々な事が分かったし、様々な事ができた。



 この力を使って、周りにある問題を解消していった。

 自分を中心にした直径30メートルの出来事は何でも意識に飛び込んでくる。

 壁を透視して様々な事を見聞き出来る。

 意識の力を見えない手にしてのばす事ができる。

 これで問題を起こす加害者共を根絶やしに出来た。



 のばした意識の手で加害者たる悪人・悪党を始末していく。

 意識の手で相手の霊魂に触れて引きちぎる。

 そうして霊魂ごと死滅させていく。



 引きちぎった霊魂は吸収する事ができた。

 そうする事で自分の能力が高まった。

 経験値を得てレベルが上がるように。

 これを繰り返して、転生者は能力を高めていった。



 能力が一定レベルを超えると、体を変化させられるようになった。

 とりあえず肉体を5歳児程度に変化させた。

 生まれた直後の赤児状態だと何も出来ないからだ。

 5歳児なら、少なくとも自分の足で立つ事はできる。

 おかげで行動範囲が拡がった。



 その体で近隣の村や町へと向かった。

 向かった先で、同じように悪人・悪党の霊魂を吸収していった。

 レベルが更に上がっていく。

 効果を及ぼす範囲が拡がっていく。

 近隣の村や町から、都市一つ分くらいの範囲に、更に市町村くらいの範囲に。

 それを超えたら都道府県。

 果ては地方、国全体を。

 最終的には複数の国にまたがるほどに効果を及ぼせるようになった。



 まともな人間以外を始末し、それ以外に人間を繁殖させていく。

 いくら巨大な力を持ってるといっても、食糧など必要なものはある。

 それらを生産する人間が必要だった。

 それに従事する人間が必要だった。

 食糧生産だけではない、あらゆる産業分野で。

 それらを担う人間は確保せねばならなかった。



 日常生活をこうして確保したところで、ふと思い出す。

 前世の事を。

「そういや、何の仕返しもしてなかったな」

 ロクでもない前世であった。

 家でも学校でも虐待。

 侮辱・罵倒・暴行・恐喝などなど。

 やられた事は様々だ。

 それらを苦にして自殺したのだが。



 今になって思う。

 なんで自殺なんかしたのかと。

 どうせ死ぬなら、一人くらい道連れにすれば良かったと。

 今更ではあるのだが。

 それでも、何とか復讐出来ないかと思ってしまう。



 幸い、力はあった。

 超能力を用いれば何かが出来るかもしれない。

 そう考えて転生者は自分の力を使って色々と試していった。



 方法はすぐに分かった。

 異世界であっても、力を及ぼす事はできる。

 気力を大量に消費してしまうが。

 それでも、何も出来ないわけではない。



 そうと分かれば躊躇う理由は無い。

 早速、元の世界に向けて力を使っていく、

 消耗は大きいが、それは問題がない。

 休息して回復すれば良いだけの事だ。



 とはいえ、長時間の接触は出来ない。

 どうしても短時間、ほぼ一瞬の接触になる。

 そこで、相手に呪いをつける事にした。



 事前に相手につける継続的な効果のあるもの。

 痛みを与えるとか、能力を下げるとか。

 こういった効果を継続的に行う気の塊を作っておく。

 あとはこれを元の世界に届け、目標の人間に付けるだけ。

 転生者が直接手を下さなくても、勝手に効果を発揮してくれるようになる。



 この装着のために一度世界をまたぐ。

 気力を放出していく。



 霊魂の延長をのばして感じ取る元の世界。

 そこは転生者が自殺してから10年が経過していた。

 目標の連中はまだ生きてる。

 好都合だった、死んでいたら探しにくくなる。



 そんな生きてる連中に呪いを付けていく。

 取り付けた相手の霊魂を吸収していくものだ。

 最終的には霊魂そのものが消滅し、肉体もそれにつられて滅びる。

 死んで肉体から離れれば、転生者の所に戻ってくる。

 その時には、吸収した霊魂が転生者のエネルギーになる。



 前世の親兄弟に学校の教師、暴行を加えてきた連中。

 さらには暴行の加害者の親兄弟に配偶者などにも。

 それら全ての呪いという気の塊を付けていく。



 なお、肉体的に交わった相手、ようは性交でも呪いは感染していく。

 転生者を虐げた連中の血を残す事を許すつもりはない。

 その可能性を作った者達も同罪だ。

 交わった相手は漏れなく呪いのコピーがはりつく。

 新たに生まれた子供にも、同じように呪いのコピーが取り憑く。

 関係者は遅かれ早かれ死ぬ事になる。



 その成果は数年であらわれた。

 徐々に、しかし継続的に霊魂を吸われていった者達は5年を超える事無く死滅した。

 いずれも現代科学では解明できない衰弱によって。

 魔術や超能力がない、迷信ととらえられてる世界だ。

 転生者がした事が分かるわけがない。



 そうして死んだ者達は霊魂が呪いに吸収されて完全に崩壊していた。

 純然たるエネルギーとなって転生者の所に戻ってくる。

 それを吸収し、転生者は更なる力を得ていった。



 とはいえ、その力を使う機会がほとんどない。

 既に転生先の世界において、脅威になるような存在はいない。

 生まれてきて10年に満たない時間で全てを掌握したからだ。

 手に入れた力を用いる相手がいない。



 とはいえ、全く何もしないで良いというわけでもない。

 ろくでなしというのはどうしても生まれてくる。

 一定の確率でどうしても発生する。

 それを見つけて駆除していく必要はある。



 幸い、世界全体に気力や霊気を張り巡らせる事ができる。

 どこでどんな輩が生まれてるかも把握出来る。

 問題になる者を事前に見つけて、消滅させていく。

 それこそ母親の胎内にいる間に。

 生まれる前に問題を排除していく。



 そんな事を何百年も、何千年も繰り返していく。

 霊魂を吸い上げていったせいか、寿命も凄まじくのびた。

 おかげで継続的な監視が出来るようになった。

 他に特にする事もないので、延々と問題根絶を続けていった。



 おかげで転生後の世界は平和そのものだ。

 問題を起こす者がいないから無駄な騒動が起こらない。



 そんな平和な世界を見てると、転生者は穏やかな気持ちになれる。

 生まれる前の世界では決して味わえなかった。

 この世界が、自分が手を尽くして作った世界は、安息を与えてくれる。

 食欲・睡眠欲・性欲という三大欲求。

 飲む・打つ・買うといった悪い遊び。

 そういったものと無縁な、必要としないから興味も抱かない事。

 それらと縁の無い転生者にとって、この平穏な世界を見るのがほぼ唯一の娯楽だった。



「平和っていいなあ……」

 呟くその一言には喜びと楽しさの全てがこもっていた。

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あと、異世界転生・異世界転移のランキングはこちら

知らない人もいるかも知れないので↓


https://yomou.syosetu.com/rank/isekaitop/

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