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笑顔でいたい  作者: すのーきゃっと
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婚約解消とその代償

私は帰りの馬車の中で涙が止まらなくなってしまった。

なんとなくそんな気はしてたが実際目にしてしまうとたまらなく悲しかった。

今までのフィリップ様との事が走馬灯のように蘇ってきた。


ここ半年ほどだろうか…。

フィリップ様とマリアの距離が近づいたのは。

マリアがフィリップ様に

「フィリップ様とお姉様まだなのですか!?」


私が少し席をたっていて部屋に戻ろうと思ったときそんな声が聞こえてきた。

私が戻ると慌てた様子の2人がいたときがあった。

あの頃からだったかな…?


フィリップ様は私が目を合わせても笑顔は向けてくれるけど蕩けるような笑顔を向けてくれなくなった。

代わりにマリアに向ける笑顔にそういった表情が増えていった。


もぅあの笑顔は見られない。

大好きだったあの笑顔。

マリアのものなんだとわかっていた。

だけど悲しい。

あんな浮気者なんていらない!って言えたらどんなにいいんだろう。


とめどなく流れてくる涙を止めるすべがわからず、お兄様の胸をかりてずっと泣いていた。


「お嬢様!どうなさいましたか!?」


玄関に入ると慌ててメイド長のメイベルがやってきた。


「メイベル。リシェルを部屋に連れて行ってくれ。そばにいてやってくれ。あとリシェルに誰か訪ねてきてもドアを開けるな。マリアでもな。私は父のところにいく。私がくるまで誰もリシェルの部屋にいれるな。」


「かしこまりました。サーシャ、イリーお嬢様にホットミルクとタオルと冷たい水をご用意して。リシェルお嬢様お部屋へ行きましょう。」


メイベルは指示をだして、私を部屋まで連れて行ってくれた。

部屋着に着替えを手伝ってくれてひどい顔の私に冷たいタオルをくれた。


「少しお休みください。扉の前に控えておりますので何かございましたらお呼びください。」


メイベルの優しい声に余計に泣けてきた。


メイベルがいなくなった後、少し冷めたホットミルクを飲む。

身体中に優しいあたたかさが広がっていく感じでまた涙が出てくる。

涙ってかれないのかな…。

そんな事を考えながら目に冷たいタオルをおいていつの間にかウトウトしていた。


「いやー!!」


そのびっくりするような大きな声で目が覚めた。

今のは何?


私は慌てて扉を出ようとすると


マリアがこっちに向かって走ってきていた。

反射的に部屋の中に入り、鍵をしめていた。


「お姉様!お姉様!お願い!出てきて!!」


「マリア様、リシェル様は誰ともお会いしません。どうぞ執務室へお戻りください。まだお話の途中なのでは?」


メイベルの冷たい声が聞こえてくる。


「お姉様!?嘘よね?私がお姉の妹でなく従姉妹なんて。しかも伯爵家の娘だなんて。私は公爵家の娘でお姉様の実の妹ですよね?」


「あなたは父の妹の娘で私の従姉妹よ。お父様とお兄様が待ってるわ。戻りなさい。私はフィリップ様との婚約はなしにします。従姉妹に手を出すような人とは一緒になれませんから。フィリップ様と婚約されるのが良いかと思いますよ。良かったですね。早く戻りなさい。」


「そんな…。」


マリアの小さな声が聞こえてきた。


やっとマリアがいなくなったと思ったらお兄様がきた。


「リシェル、父上には話しておいた。婚約は解消で動く。マリアに関してだが父上が後見人だが養子縁組はしていないらしい。だから実際は公爵家とは関係ないということだ。だが父も母も良い嫁ぎ先を見つけてあげようと思っていたらしい。公爵令嬢としてではないがそれなりの嫁ぎ先で幸せに暮らしていけるようにと。ただ、マリアとフィリップはどうやら一線も超えてるらしい。」


「え?」


「なのでフィリップには責任は取らせるつもりだと父上は言っている。スペンサー公爵家にはもう一人息子がいるからな。爵位は弟になるかもしれないと父上はおっしゃっていた。スペンサー公爵は公爵家の汚点となる者は許さない人らしい。」


「そうですか。」


「二人にとっては茨の道になることは間違いないだろう。父上はスペンサー公爵に怒号の手紙を送った。マリアに関しては部屋で監視つきの軟禁状態になる。スペンサー公爵家が引き取りにくるまでな。だから屋敷の中を歩き回っても大丈夫だ。マリアは別宅の南の外から鍵付きの部屋に閉じ込めているから。」


「はい。」


「リシェル悪かった。」


お兄様に再度謝られた。

自分たちが可哀想だからとマリアを甘やかした責任だと思ってるんだろう。


私は首をふって

「私も同罪です。」

そう言って笑うとお兄様も悲しそうな笑顔を向けてくれた。



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