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戦国立志伝・織田信長  作者: 意匠瑞
第三章 『桶狭間』
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【五】集結

午前八時


闇夜はすっかり明け、強い湿気を保ったまま気温はみるみる高まる。

深夜の強風は幾ばくか止み、正午には猛暑となる様相である。


味方の集結を待ちながら信長は熱田神宮に入り、戦勝を祈願した。

そして続々と現れる味方達に対し、大音声で叫んだ。


「今宵は我らの人生の転機となろう! すなわち義元の首を討ち取り、天下に織田の名を轟かす日になるのだ! 皆の者! 鬨の声をあげよ!」


信長は刀を頭上高く振り上げ、呼応した士卒は、「えい、えい、おぉぉぉーーー!」と喚声を上げた。


集まった兵士の士気は実に旺盛であった。

名目上は尾張を統一した信長であったが、尾張国内の全兵力は集まっていない。

義元の勢威に怯えた多くの土豪衆は、信長に勝ち目はないと積極的に参戦しなかった。


しかし、ここ熱田に集結する軍勢は信長と運命を共にすると決めた腹心の諸将である。

小勢であっても信長に不満は無かった。

裏切りの懸念のある者と行動は共に出来ない。

この戦に敗れれば織田家は破滅するのみなのである。

信頼置ける家臣に身命を預け、乾坤一擲の一戦に掛ける覚悟は出来た。


「義元め、見ておれよ」


信長は強く拳を握りしめた。


今川方の動向は、放った多数の間者(忍者)からぞくぞくと伝わってきている。

熱田を出発した信長は、その途中で丸根・鷲津両砦の落城の報を受けていた。


「丸根・鷲津の砦はご健闘むなしく落城し、佐久間盛重様他あまたも討死し、全滅との事にございます」


信長は使者の報告を聞くとゆっくりと目を閉じた。


(盛重よ、先に逝ったか……)


信長は唇を噛みしめると士卒に向かい声高に叫んだ。


「かの者どもは我らより先に冥途へ参ったぞ! 必ずや義元の首を取り勇将達を弔うのだ!」


信長は士卒を鼓舞しつつ、まずは前線基地である善照時砦に向かう事とし、軍備を整えた。

善照寺砦も丸根砦同様、今川方前線基地である鳴海城を監視する為に築かれた砦である。



善照寺砦に着くころには、信長に付き添い共に戦おうという総勢三,〇〇〇人の兵士が集結していた。


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