六日目 夢
翌朝、いつものように水を汲みに行き、母さんの手伝いをしていた。
『戦に出たいとばかり思っていたけど、出たところで、活躍できるとは限らないし、何より農民の出だ。相手にしてくれるはずがない。どうしよう。』
「心ここにあらずって感じね。」
「ごめん、母さん。少し考え事をね。」
「この頃ずっと悩む程大事なことなの?良かったら母さんに聞かせてみなさい!」
「実は俺未来から来たんだ。」なんて事、言えるはずもなく。少し間を空けて打ち明けてみた。
「俺、戦に出てみたい。」
母さんの横顔は少し悲しい顔をしていた。そして、俯いたままこう答えた。
「私は出て欲しくないな。だって、大切な息子が死んじゃうかもしれない所に行くなんて嫌だもの。」
ごもっともだ。昔、柔剣道を始めると前世の母さんに言った時も同じような事を言われた。
「でも、でもね!もし菊吉がとーっても強くて、沢山武功をあげてくれたら母さんとーっても嬉しいな!」
「ほんと?その時は応援してくれる?」
「もちろん!そのまま天下も統一しちゃえー!なんてw」
母さんは冗談で言ってそうだったが、俺の心に火がついた。
「母さん。俺、頑張るよ!」
俺は出来るだけ早く手伝いを終わらせて、すぐ森に向かった。もちろん特訓をするためだ。
『母さんに喜んで貰えるような武士になる!そして、天下に俺の名を轟かせてみたい!』
「よーし!頑張るぞーー!」
その日から俺の特訓は始まった。