五十七日目 八流の戦い6
「親政様、重俊様お話があります。」
「なんじゃ、貴様!」
「何か、策でも思いついたのか?!」
「はい。野戦にて、敵兵を大分削り、残るは500程かと思います。ならば、包囲は2000も居れば出来ましょう。そして、残りの3000を殿の援軍へと向かわせるのです。」
「ならん!3000より、5000で行った方が良いでは無いか!!」
「いえ、最終的には5000になります。」
「どういう事じゃ?!」
「朝倉城には2000の兵が集まったと聞いております。そこと合流した後、援軍に向かわれるのです。」
「しかし、菊之助、そうすれば一条が出てくるかもしれぬぞ?」
「お二人は城一つと殿の命どちらが大切ですか?」
「「な....。」」
「どうでしょうか。今は一刻を争う時、ご決断を。」
「儂は賛成じゃ!....親政殿は?」
「.....。」
親政が俺の目を一直線に見つめた。
ゴクリ....。
「....儂はお主を監視する様に、殿から承っていた。」
「「?!!」」
「ち、親政殿、それは...!!」
「この重俊殿も同じじゃ。」
はぁ...、と重俊。
「菊之助、すまなかった。殿の命令でな...。し、しかし、勘違いはしないでくれ。殿はお主を疑ってはいなかった。兄上が、何かあっては遅いと申されたので仕方なくじゃ。だから...。」
「分かっております。まぁ、ここまで出世が早いと、どこかの諜報員ではないかと疑うのも仕方ないです。」
「面目ない...。」
「して、親政様。ご決断の方は?」
親政は先程とは違い落ち着いていた。
「この二年お主を見てきたが、特に変な動きはなかった。だが、儂はまだ貴様を信用してはおらん。じゃが、お主の策は常に最善の手だと思う。」
「ということは。」
「お主の策にのってやろう。」
「ありがとうございま...!」
「しかし!!貴様も殿の方へと行くのだ。」
「え?も、もちろん初めからそのつもりでしたが。」
「ふん、儂は貴様を目から離さんからな。少しでも変な素振りを見せた時にはその首、飛んでいるものと思え。」
「なるほど、承知しました。」
「では、重俊、ここの事は頼んだぞ。」
「は?!」
「2000もの兵を纏められる者などお主しか居らぬだろう。」
「い、いや、出雲殿がおるではないか!」
「そ、某にございますか?!某は菊之助殿と一緒に参りまする!これだけは絶対に譲れませぬ!!」
「だ、そうだからな。まぁお主しか居らぬわけよ。」
「親政殿、図りましたね!」
「はっはっは!まぁ良いでは無いか!儂が行けば、必ず殿を助けて見せる。だから安心しておれ。」
「それもそうですね。某が行くより断然良い。それに菊之助もおるしな!頼んだぞ、菊之助!」
「はっ!」
「では参るぞ!!」
「「おおっ!」」
こうして俺はパワハラ上司に少しは認めてもらうことが出来たのかな?




