二日目 新たな場所
夢を見ていた。とても長くリアルな夢だ。誰かの葬式に参列している。ただ、並んでいるのではなく、一つの席に座って眺めているだけだ。
『誰の葬式なんだろう。父さん、母さんが泣きじゃくっている。あれ、じいちゃん、ばあちゃんまで来た。俺も行かないといけないのかな。』
そう思い立ち上がろうとしたが体が動かない。ふと視界に遺影が入った。そこに写っていたのはーー。
『え、俺じゃん。俺の葬式かよ。』
その瞬間、視界が真っ暗になり、虫の鳴き声が聞こえ出す。
「んん〜。」
『あれ、声が出る。体も動かせるぞ。なんだ夢だったのか。』
目を開けたが、そこには知らない天井が映っていた。
「ここは..?ぬぁ!手が小さくなってる!」
そこはとても古臭い物置のような所で、窓のような穴から月日が差し込んでいる。俺は自身の体をよく見た。
『手だけじゃない、体が小さくなってるんだ。それになんだよこの布切れ。小袖かな?こんなの着た覚えないぞ。』
俺が慌てふためくすぐ側には一人の幼い子供が眠っていた。その子の先には扉があり、明かりが漏れている。
『お、起こさないように...。誰か居るのかな?』
そっと扉を少し開けて覗いて見た。そこには一人の妊婦がいた。小袖を着て囲炉裏の側で藁を編んでいる。
「菊吉、目が覚めたのかい?」
『菊吉?誰のことだ?』
「ちょいと、隠れてたってわかるんだよ。」
『この子のことか。』
俺は扉を開け、目を擦りながら言った。
「昼間寝たから眠たくないんだ。」
「何言ってんの。昼間はとても元気に走り回っていたじゃない。」
そんな記憶はない。夏休みに部活で学校に行き、昼間の休憩中はほとんど寝て過ごした事しか覚えていない。
俺はある事に気づいた。
『この人日本語が通じる。ってことはここは日本なのか。』
「それよりあなたは誰?」
妊婦は首を傾げ、クスクスと笑いながら言った。
「全くさっきから何言っているの?私はあなたのお母さんよwさては変な夢でも見たのね!」
『いや、ほんとに記憶が無いんだが。...夢を見ていた?あの長い17年間が夢だったのか?いや、こっちが夢だろう。』
そう思い、自分の頬を抓ってみた。痛みがある。これは夢ではない。そう思った俺は一つの結論を出した。
『俺はなぜか死んで生まれ変わった...のか?もし、そうだとしても情報が少なすぎる。この子のことが菊吉ということしか...。』
俺は悩みながら扉を閉めて、元いた場所へと戻った。昼寝のせいか目を閉じても寝ることが出来ない。いや、それだけでは無いだろう。悩みと不安で頭がいっぱいだ。
『あぁ!!寝れん!!朝までどれぐらいかかるんだよ!時計がないと分からん!まぁのんびり待つか...。朝になったらまずは情報収集かな。』
朝日は俺の気持ちも考えずに、すぐに登ってきた。朝になるとすぐに外へ出た。
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