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(旧)天下一の向日葵  作者: 茶眼の竜
プロローグ
1/69

零日目 柔剣道

初投稿です。よろしくお願いいたします。

みなさんは、"柔剣道(じゅうけんどう)"という言葉を知っていますか?


一般的には柔道と剣道の総称で、中高生の体育でよく使われる。しかし、もう一つ意味がある。それはあまり表舞台で聞くことはなく、一部の間で知られている"スポーツのようなもの"である。

その名の通り柔道と剣道を合わせたような種目。黒い道着に黒い袴を身に付け、竹刀(しない)を片手に闘う。普通の剣道と違うところは、防具を身に付けないという所。そして、"競う"ではなく"闘う"だ。


"スポーツのようなもの"と言ったが厳密言えばスポーツでは無い。スポーツは走る速さを競う、技の美しさを競うもの。また、競うためにさまざまな厳しいルールがある。それに対して柔剣道(じゅうけんどう)のルールは簡単。相手を場外に出すか、相手を行動不能にすれば勝ち。竹刀(しない)での攻撃はもちろんのこと、殴る蹴るなど、素手の攻撃もありなのだ。

要するに基本なんでもありだ。その為、試合の中で死人が出ることを時々ある。それが表舞台で知られていない理由だ。


ある日、そんな危険な柔剣道(じゅうけんどう)の全国大会が行われていた。


「四国地方代表、高知県立坂本高等学校2年、天久(あまひさ) 日向(ひなた)君。同じく、香川県立...。」

パチパチパチ...

「おい、見ろよ。あいつが前回の優勝者だ」

「え、あの子が噂の?」


どこかの学校の顧問だろうか、中年の男がニ人、ヒソヒソと話している。前回の優勝者、天久(あまひさ) 日向(ひなた)この子が今回の主人公。漆黒のような黒髪にガラスのように透き通っている赤い瞳、特徴的なのはそのくらいで、身長などは平均的な男子高校生だ。日向の話をしているのは二人だけでは無い。観客の目線は普通の選手とは違い、とても鋭かった。


『視線が痛い。』


そう思いながら、長い開会式を終え、一回戦が始まろうとしていた。周りには前回の優勝者がどのようなものか、一目見ようとたくさんの選手が集まっていた。


「はじめ!!」


しかし、試合は一瞬だった。


「やめ!!」


審判員が相手に近寄り、試合が続けられるかの確認を行う。


「行動不能により、天久の勝利!!」

ザワザワザワ...。

「な、何が起こったんだ...?」

「よく分からないが...始まりの合図の瞬間、気がつけばあいつの竹刀(しない)の先が相手の首を突いていた...。」

「い、一撃...。」

「は、速すぎだろ。」

「あんなの勝てるわけがねぇ。」


その場にいる誰もが口を開け、唖然とした顔をしている。天久(あまひさ) 日向(ひなた)の強さはそれ程までに圧倒的だった。そのため、決勝戦まで難なく進むことが出来た。中には棄権し、不戦勝となる事もあったが、それ以外全ての試合が一撃で決まっていた。


そして、決勝戦。


「選手の紹介をします。審判向かって左、四国地方代表、高知県立坂本高等学校2年、天久(あまひさ) 日向(ひなた)君。対して右、北海道東北地方代表、北海道立旭川学園3年、北川(きたがわ) (とどろき)君。それでは審判の合図の元始めて下さい。」

「はじめ!!」


勝負はまた一瞬で終わるかに思えたが、今度の相手はそういかなかった。日向が毎回ものすごいスピードで相手の首を突いていたのを見ていた北川は、はじまりの合図とともに突きを流す姿勢を取った。そこから北川は守る事に専念し、防戦一方となった。


『見える。天久のスピードに着いていけてる。俺だって三年間何もしてこなかった訳じゃない。この日のために毎日努力してきたんだ。それをこんな化け物みたいな奴に踏み躙られてたまるか!一瞬でいい。一瞬でいいから隙を見つけることが出来れば...!!』


どれだけ時間がたっただろうか、北川には始まりの合図が数時間前に思える程試合が長く感じていた。しかし、周りからしたらものの5分程度だ。そんな時、日向は少し距離を置いた。


『今だ!!」

「うおおぉぉぉ!!!」


北川は竹刀(しない)を振ったが、そこに天久の姿はなかった。宙を舞い、頭上を飛び越え、天久の竹刀が北川の後頭部を叩いていた。北川は何が起こったのか理解する暇もなく、気を失った。


「やめ!!」

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