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お誕生日会-3

 星の家を後にするのは寂しかった。たった数時間過ごしただけのあたしに、子供たちは見えなくなるまで手を振ってくれた。

 華は素晴らしい仕事を選んだな、と感心した。華らしくて、華にしかできないこと。華はいつか、あたしと優芽を前にして、こんなことを言った。


「あたしみたいなサブキャラから見たら、二人は眩し過ぎるくらいやわ」


 いや、華、あんたは眩しいよ。ずっと昔から、あたしは華を眩しく思っていた。中学の頃、あなたがいたことで、あたしも優芽も雄吾も救われたと思う。

 

 楓ちゃんが最後まで、背伸びして手を振っていた。

 楓ちゃんの傷は癒えただろうか。いや、そんな質問は野暮だ。消えたのか、薄まったのか、それともやはり傷はそのまま残るのか。それは楓ちゃんにしか分からない。でも、里菜ちゃんの笑顔を見た。その後ろで幸せそうな楓ちゃんを見た。

 良かったんじゃないかな。

 里菜ちゃんをはじめとして、おもちゃでワイワイと遊ぶ子供たちを見て、あたしなりにそう結論づけることにした。どうかこの子たちが清らかに育ちますように。バイバーイ!



「ただいま」


「おかえり」


 雄吾が荷物を持ってくれて、ぐいっとあたしを引き寄せた。


「月島、会えたか?」


「うん。なんだろう。なんて言えば良いか……とにかく素敵な夜だった」


「そっか、良かった」


 バルコニーに出て、雄吾と星を見た。


「みんな、いつか幸せになると思う。そんなってるんだと、思うわ」


 ほんのり浮かんできた星空を見ながらそんなことを言った。炭酸飲料のプルタブを押した。泡が飛び出る。後ろに立っていた雄吾が「俺はビール飲もう」と冷蔵庫へ向かう。あたしはその背中を全力で叩いた。


「いって! 何すんだ、おまえ」


「頑張れよ、雄吾! な!」


 雄吾は明日から警視庁のいじめ撲滅対策班所属となる。その準備で床にはスーツケースが広げてあり、荷詰めの真っ最中だ。雄吾とあたしはまた、しばらく離ればなれになる。


「あぁ、頑張ってくる」


 雄吾はあたしに向かって敬礼した。立派な表情をしてやがる。あたしは少し誇らしくなった。お腹が動いた。いってらっしゃい。そうパパに伝えたいようだ。

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