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児玉華-6

「華、一緒に帰ろ」


 校門をくぐると、後ろから陽子ちゃんが駆け寄ってきた。


「うん。あれ、後ろ、バスケ部いるけど、ええの?」


「うん、ええの」


 学校から近い小さな商店街には、小さな商店が並んでいる。晶紀ちゃんの家でもある柴田商店や寝具店を抜けると、大きな公園があった。古い団地がその公園の先に佇んでいる。しばらく住宅街を歩くと、ぽつんとした小さな公園に出た。ちょっと寄り道しない? と、陽子ちゃんに連れられたのは、この小さな公園だった。優芽ちゃんとも来た公園。きっとこの公園には月島楓さんの匂いが残っているのだろう。


 陽子ちゃんとブランコに乗り、心地よく揺れていた。何か、話したいことがあるのだろう。真っ直ぐ前を見据えながら風を切る陽子ちゃんの姿には、それが感じられた。

 ぴょん、と陽子ちゃんはブランコを飛び降りた。


「楓ちゃん」


「……えっ?」


「華は、知ってるやろ?」


 真っ直ぐな瞳は、あたしを身体ごと吸い込んでいく。


「華、大丈夫。それだけ教えて」


 言ったら絶交やからね。優芽ちゃんの声が脳に残っている。でも、あたしと優芽ちゃんが絶交しても、三人の誤解が解ける方があたしは、嬉しい。


「……うん」


「あたしさ、その楓ちゃんって、親友やったんやけどな、色んなことに気づく子やってんよ。あたしには、ないもの。でも、楓ちゃんおらんなってから、あたしは楓ちゃんに頼らずに自分で気づくようにならなって……」


 ブランコの柵に腰掛け、長い足を伸ばしている。曲がることなく、矢印のように伸びる足は、ここから道を踏み外すことなど無いように思う。


「うん」


「やから、優芽と雄吾はもう、過ちを繰り返さんのも分かる。そっと、華には何かを打ち明けただろうなってのも薄々……。もう、あたしに嘘や隠し事を優芽と雄吾はせんと思う。華もそんなタイプやない。それでも、何かを隠してる。それは、あたしもその気持ちを汲んでさ、探ろうとは思ってへんの」


 あたしは全身に電気が走るのを感じた。陽子ちゃんは全てを分かっているのか……。陽子ちゃんには、光がある。その光は圧倒的すぎる。


「……陽子ちゃん、その通りやよ。あたしは約束してるから言えない。でも、決して……」


 陽子ちゃんは手のひらをゆっくりとこちらに向けた。


「うん、分かった。それで十分やよ。華が背負わなくていい。答え合わせをしたかっただけなの。二人には聞けなかったから。華、ごめんね」


 とんでもない、と頭を振る。あたしたちは近くの自販機で甘ったるい炭酸ジュースを買った。ブランコに乗って飲みながら、色んなことを話した。ふと、「こんなん帰りにジュース買ったらあかんのちゃう?」とあたしが言うと、「ええの」と陽子ちゃんは笑った。


 あと半年もすると、あたしたちは織笠中を卒業する。

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