[第1章] その1「未来の園」
では、まず初めに春奈が住んでいる「クローバー王国」の事から、話をしよう。
宇宙には、地球とはよく似た「アース」と言う名前の星が、地球の近くにある。
宇宙では、「双子の星」と呼ばれている程、地球と「アース」は、
似ている所が沢山あるのだが、違う所も多い。
たとえば、地球は、宇宙から見ると瑠璃色と言われているが、
「アース」は、全体的に濃い緑色をしている。
なぜ、濃い緑色なのかと言うと地球より大陸部分が広く、
草木や花、森林が多いからだ。
そして、物語の舞台となる「クローバー王国」は、その「アース」の中にある。
「クローバー王国」の周りの国の事は、後で話に出て来る事になるので、
今は、そっとしておく事にする。
「クローバー王国」の国土は、私達が住んでいる地球の日本より少し狭いが、
そのほとんどが、日本と同じで、海に浮かぶ4つの島国で形成されている。
それじゃあ、日本と違う所は、何?というと
季節は、日本と同じように春夏秋冬と四季が存在するのだが、
各都市には、綺麗な空気を作る「エアードーム」と言う物が、存在するのである。
その「エアードーム」」の天井は、かなり強固なガラスで覆われていて
全体的に丸い形になっている。その広さは、かなり広く、「クローバー王国」に
何かがあった時の避難所にもなっている。
そのドームの中では、四季も反映されるし、日の光も当たる。
天気のよい晴れた日は、決まった時間に天井も解放される。
しかし、ドームの中は、雨が、降らない。
外が雨の日は、雨になる前に天井が、自動的に天気を察知して閉じてしまうのだ。
雪の日もそうだ。晴れている時以外は、すべて閉じる仕組みになっている。
その代わりに天井では、晴れた日の映像が映し出されるので
雨の日のジメジメとした憂鬱な気分を感じる事が、ない。
そして、ドーム内の気温もクローバー人が、快適に過ごせるような気温に
常に設定されているから、寒さや暑さを感じる事は、ないのだ。
地面には、水が流れていて草木や花が咲き乱れ、野菜や果樹が、沢山実っている。
つまり、それらは、緊急時、避難時の非常食となる為だ。
だから、ドームの中は、空気がとても綺麗でとても快適で気持ちが良いw
川は、静かに優しい音を立てて流れているし、
水も透き通っているので魚も嬉しいらしく、
たまにはしゃいで飛び上がっている。
まぁ、簡単に言えば、とてつもなく大きい植物園みたいな所だと言える。
「エアードーム」は、「クローバー王国」の国籍を持つ者なら、
国民パスと顔、指紋認証で、自由に出入りができる。
ただし、滞在時間は、60分。
時間の単位は、地球と同じだ。
入り口でタイマーのような物を渡されて、
それを手首に巻く。
帰りは、そのタイマーを出口で
必ず返却すると言う仕組みになっている。
理由を言うと延長時間も確保できる。
それは、その混雑状況から、
安心と安らぎを求めて「エアードーム」の来る、
その理由を調査する為でもある。
入る時には、自動的に殺菌消毒をされるし、常に空気清浄機が、
回転しているので安心できる。
もし、その中にウイルス等の悪い菌が入り込んだ時は、
特別な光でその部分が赤く光るようになり、
管理職員がすぐにかけつけ、そこの部分を採取して
微生物研究所に検査に回すと言う、
徹底した管理をしている。
だから、「エアードーム」は、
仕事で疲れた時もそこを通り抜けるだけで、リフレッシュできて
又、頑張ろうと言う力が湧いてくる素敵な癒しの空間なのである。
そして、その「エアードーム」の中には、普通の人達や係の人達では、
絶対に入る事ができない「フューチャールーム」と言う所がある。
その「フューチャールーム」へ入る事ができる扉は、1つしかなく、
特殊な能力を持った者だけが、入る事ができる場所なのだが、
その1つしかない扉は、「クローバー王国」を守れる力があると
その扉自身が、認めた者にしか開いてくれないのである。
だから、その扉は、普段、姿を見せる事は、ない。
春奈は、春奈の持つ不思議な超能力で、今迄不思議な体験を沢山してきた。
そして、この普通の人にはない力は、いったい、いつ使うのかな?
このままこの力を使わずに年をとって死んでしまうのかな?と
思っていた矢先に目の前が、一瞬真っ白になって、
気が付いたら、導かれたようにしてここにたどり着いていた。
そして、その扉は、春奈の目の前で開いたのである。
つまり、春奈は、「フューチャールーム」の扉が、選んだ一人なのだ。
春奈は、周りの空気の香りとそのすがすがしい感じから、おそらく
ここは、「エアードーム」の植物園の中のどこかだと思った。
春奈は、吸い込まれるように導かれるようにして中に入っていった。
そして、ふと後ろを振り返ると扉は、すぐに閉まり、その姿を消した。
周りには、木が、いくつもあり、まるでふんわりとした夢の中のようだった。
そしてそこには、蓮の上に杖を持って立っている一人の老人と
その横には、2匹の猫が、いた。
その老人は、優しい感じでにっこりと笑って春奈を見ていた。
あっ!そこで春奈は、気が付いた。
その老人は、春奈が迷うと出てきて、進む道を教えてくれていたし、
春奈が危ない時は、守ってくれていた老人だった。
そしてその老人の隣にいたのは、
今迄、春奈が飼っていた「みー」と「くぅ」と言う名の猫だった。
「みー」は、全体がシルバーグレーの色をした猫、
「くぅ」は、まっ黒の猫で「みー」よりも先に
飼っていた猫だった。
しかし、2匹は、長い間生きていた為、
おばあちゃんになりすぎて、
すでに天国に行ってしまっていたのである。
「みー」は、春奈を見ると嬉しそうに「お姉ちゃん!」と叫び、
走って駆け寄ってきたので、春奈は、抱きあげて思いっきり、抱きしめた。
「みー、元気だった?いつもありがとう!。」
「くぅ」は、おとなしくゆっくりと春奈に近づいてきた。
そして「お姉ちゃん!」と言うと頭を擦り付けてきたのである。
「くぅ、久しぶり!元気だった?いつもありがとう!」
春奈は、「くぅ」の頭を懐かしそうになでてそう言った。
そう、猫の「みー」も「くぅ」も春奈を守っていたのである。
そして、春奈が周りを見渡すと沢山の木が、綺麗に並んで植えられていた。
そしてその蓮の上で杖を持った老人は、静かに話を始めた。
「ここは、「未来の園」と言う所だ。
そして、ここにある、いくつかの木には、すべて名前がある。」
老人は、そう言い始めると目の前の木を見上げた。
「これは、
・「政」と言う名の木。
これは、「クローバー王国」の政治の状態を表す木だ。
今の所、問題はなさそうに見えるが、
所々虫に食べられているのは、おそらく、何かが欠けている。
例えば、政治をする人々の常識やモラル等、
欠けているのは、人として大事な物かもしれない。
しかし、すべての政治に係わる人達が、それを埋めてしまうと
修業にはならないので、欠けていてよいと思う事にしている。
完璧な政治をしようと思うのは、むずかしい。
元々、完璧な政治等無いとも言えよう。
それは、常に時代が変化をしているからだ。」
そう言うと老人は、顎に手をあてて、その顎をさすりながら、こう言った。
「いずれにしても、大勢の国民の願いを一つにまとめると言う事は、
なかなか難しい事だな・・。」
老人が、次に話をしたのは、その隣にあった木だった。
「これは、
・「災」の木だ。
「クローバー王国」で起こる災害を教える木となっている。
地震、津波等、大きな災害が来そうな時は、この木の一部が、枯れてくる。
その枯れたり、地面が濡れていたりする等、木が痛む場所によって、
何の災害が起こるのかが、大体わかるのだが、
災害が、来るほんの少し前にその症状が出てくるので、
気がついた時には、すでに手遅れとなる。
つまり、災害は、いつ起こるかわからないので止める事ができないのだ。
だから。。この木は、あまり、意味がないように思うかもしれないが、
この木が教える事は、災害よりもその後の事かもしれない。
目の前に起こった災害を乗り越えてこそ、
得るものもあるのではないかなと思うのだ。
それは、同じ事を二度と繰り返さないようにする対策であったり、
深い悲しみを覆える程の人の優しさだったり、ぬくもりだったり。
大切な人を失っても、なお、その悲しみを乗り越える事が、できる
前向きの力。
それは、目の前にある未来へと進むべき勇気と希望に変わる。
それを知る為に災害と言う物は、あるのかもしれない。
だから、災害と言う物は、お金では、買えない大事な何かを人々に
悟らせる為に起こるかもしれない。
悲しみは、時が立てば思い出に変える事もできる。
思い出にしても、思い出したくない思い出もあるかもしれないが、
それは、乗り越える事ができた試練と言う物なのかもしれない。」と
老人は、言う。
※ここで注意をしていただきたい。この老人は、宗教家ではない。
老人が話す話は、宗教とは、全く関係がないので誤解しないでいただきたい。
そして、老人は、3つめの木と4つめの木の間に立った。
春奈は、老人と向かい合わせになるようにとその4つめの木の前に立ち、
猫の「みー」は、春奈の腕の中、「くぅ」は、春奈の横についてきた。
「これは、
・「病」の木だ。
これは、病気の根源となるウイルス等が、広がると枯れてくる。
「クローバー王国」の医療は、地球よりもはるかに発展している。
しかし、その発展している医療でも治しにくい病気は、常にある。
ウイルスと言う生物も生き物だから、仲間を増やす為に
常に形を変えて抵抗力をつけている。
そして、私達、クローバー人を差別なく攻撃してくる。
だから、医学や医療の発展は、国の発展とも言えるのかもしれない。」
老人は、話を続けた。
「この隣にあるのが、
・「薬」の木だ。
この木は、隣にある「病」の木を治す役目をしている。
もちろん、薬だけでは、治らない病気もある。それが、日々の生活習慣だ。」
そういうと老人は、春奈を見てこう言った。
「この木を見て何か気が付いた事は、ないか?」
春奈は、その木をじっと見た。
そうすると他の木は、まっすぐ上に向かって伸びているのだが、
その木は、途中で二つに分かれていて、その両方の枝には、沢山の葉を
茂らせている。
しかし「病」の木の方、つまり右側に伸びている枝は、少し黄色くなっていて、
左側に伸びている枝の葉は、茂っているのだが、全部不気味な紫色を
しているのだ。
老人は、そう言うと春奈の答えを待たずにその隣の木を見て言った。
5つ目の木だ。
「この木は、早く切り落とせばよかった。
しかし、その時の判断は、とてもむずかしい。」
老人は、初めて後悔の言葉を口にした。
その5つめの木となるのが、この
・「戦」の木。
「この戦の木は、戦争がはじまると燃え始める。
その燃えている場所は、今、戦争をしている国が、その場所にあると
言う事である。
だから、この木を見ると今、どこで戦争が起こっているかが、わかる。
今は、「クローバー王国」から見ると左上の真ん中あたりが、燃えている。
ここは、ずっと前から燃えているのだ。
水をかけた事もあるが、それでもその火は、消えない。
しかも、その燃えている火は、たまに他の場所に飛び火となって飛んで
いくのだ。」
沈黙の時間が少し流れた。
そして、「少し、疲れたな・・。今日は、このぐらいにしておこう。」
そう言うと老人は、元の場所に戻る為にゆっくり後ろを向いた。
「そうだ!これは、絶対に言わねばならん!」
老人は、その振り向いた前を見て、回りの木よりも一段と大きな木を
見上げて言った。
「あれは、「希望」と言う名の木だ。」春奈と2匹の猫もその木を見上げた。
「希望の木」は、この部屋の一番奥にあるとても大きな木で他のすべての木の
上に迄、若緑の葉が沢山ついた枝を元気よく伸ばし、
まるで他の木を守っているかのようにずっしりとした感じでその奥にいた。
そしてたまにその緑の若葉が、他の木の上に落ちているのである。
老人は、ゆっくりと前に進み、春奈と2匹の猫は、
その後をついて行った。
老人は、一番奥にある「希望」の木の前にたどり着くとそのとても大きな
「希望」の木の太い幹をなでながら、こう言った。
「何があってもこの「希望」の木だけは、絶対に枯れない。」
「枯れさせてはいけない。」と。
春奈は、その老人の手の先にある「希望」の木の太い幹から、
目線を上にあげると体中に元気が湧いてくる気がした。
そしてなぜか懐かしい気持ちになり、遠い昔を思い出すような気持になった。
そして老人は、静かに言った。
「そうだな。なぜ、ここに来たのか、その理由をおしえてやろう。」
蓮の上に乗り、杖を持った老人は、
その「希望」と言う名の木を見上げながら静かに話始めた。
「この世で一番難しいのは、人間関係だ。
それを修業する為にみんなは、人の姿を借りて現世に降りてきている。
しかし、修業ばかりでは面白くないので笑ったり、泣いたり、悲しんだり、
遊んだりしているのだ。温泉に行ったり、旅行をするのもそうだ。」
春奈は、その修業の話をその老人が、春奈を守ってくれていた時に
すでに聞いていた。
そして再びその話を聞いた春奈は、ふと思いだした。
そう言えばよくネット等で生まれる前の事を話している子供がいると
見た事がある。
雲のような所から下を見て、あのお母さんにしようと降りてきたと。
もしかしたら、その老人のその話は本当で、みんな何かの理由があって、
何かを得る為に生まれてきたのかもしれない。
だから、そのネットで見た子供の生まれる前の話は、本当なのかもしれない。
老人は、優しい眼差しで春奈を見ていた。
そして、又、ゆっくり話始めた。
「我々が住む天界とは、別に地獄と言う所がある。
そして、そこにはいつも煮えたぎっている火鍋がある。
その火鍋には、現世で悪い事をした奴らが、入れられる。」
老人は、そう言うと春奈の肩に手をまわした。
すると春奈の体が、老人と一緒にふっと浮いたのを感じた。
そして気が付くとその斜め下の方には、その地獄の火釜が、あった。
何人かの人が、火鍋の熱湯の中で苦しみもがいていた。
たまにその苦しみから逃げ出す者もいたが、
火鍋の淵にたっている長い棒を持った火釜の番人が、その棒を使って
又、火鍋の中に戻していた。
「火釜の中にいる奴らは、もう二度と生まれ変われる事は、できない。」
ふと気が付くと春奈と老人は、元の場所に戻っていた。
老人は、言った。
「今回は、その火釜の番人が、ちょっと目を離したすきに逃げ出した奴らがいる。
本来なら、現世に生まれ変われる事はないのだが・・・。」
そして、老人は、大きく息をすい、何かの覚悟をした様子で
「その逃げ出した奴らが、現世で悪さをすると
考えるだけでも恐ろしい事になるかもしれない。
だから、急いで捕まえてきてほしい。」
「えっ!私が!?」と春奈はその話を聞いて、少しびっくりしたのだが、
すぐその意味が飲み込めた。
それは・・・
春奈は、大きな白い柱が立ち、白い雲の上のような所にいた。
そこは、「天空」という所だった。
そこには、春奈が住んでいる家もあり、春奈の父と母が、いた。
ある日春奈は、その上の人から、「あとでこちらに来るように。」と
言われていたが、結婚式も近く、婚約者である紀人と少しでも
長くいたかったので、仲良く話をしてなかなか行かなかった。
そうすると
「何をしている!早く来い!」と怒った声が聞こえてきたので
「あ・・・紀人。。私、呼ばれているから、早く行かないと・・。」
「行ってくる。又、明日ね。」と春奈は、
紀人に軽く手を振り、少し泣きながら、呼ばれ場場所に行くと
その「天空」での一番偉い人がいて、春奈に「すぐに下に降りろ!」と言われた。
春奈は、びっくりして、じゃあ、紀人に言わないと・・と思って、
言いに行こうと戻りかけたら、「何をしている!早く行け!」と言われ、
あっ!と思って気が付いたら、すでに現世に降りる所にいた。
そして、雲のような所から、下をのぞいていると
一人の男の人が近寄ってきた。
その人は、春奈と紀人の事を知っていた人だったので
「紀人に私は、下に降りたと言ってください。必ず!お願いします!」
そう言うとその男は、「いいよ。」と言ってにやりと笑った。
その男の笑みを見て春奈は、かなり不安になったのだが、
「何をしている!早く行け!」と言う声がしたと思うと
後ろから軽くポンと押されたのである。
「あっ!えいっ!」と現世に降りた春奈は、
そこで記憶が途切れた。。
だから、あせって早く下に降りろと言ってきたのか・・。
それが、春奈が現世に降りて来た理由だった。
この様子もその老人が、以前に見せてくれていたが、やっと話がつながった。
春奈は、その時の不安が残っているのか、
物事を人に頼む事は、しない。まず、人を信用していないからだ。
そう思うようになったのは、そういう事が、あったからなのかと
納得が、できた。
自分が納得をする為にその理由を知り、
話をつなげると言う事は、大事な事だなと思った。
その老人は、春奈がこの現世と言われる世界に生まれて来た理由の他にも
教えてくれた事がまだある。それは、天空に残してきた春奈の婚約者、
紀人の事だ。
しかし、のちに春奈は、普通の人にはできない不思議な出会いで
春奈を追って、現世に降りて来た紀人と出会う事になる。
それは、私達が住んでいる地球で言うと
縁と言う物なのかもしれない。
でもそれは、後程ゆっくり話すとしよう。
そんな春奈が、社会人として初めて社会に出て、
初めて務めた会社を辞めた時は、
「これからは、自分の好きな事ができる!自分のできる範囲で出来る
すべての事をしてみよう!」と思ったのだが、
「でも、この先は、何をしたらいいのかな?」
「このままでいいのかな?」と思った矢先に
その蓮の上に杖を持って立っていた老人が、
台所に立っていた春奈の左肩の方から煙と共に出てきて
「色々な人に会って、色々な人の話を聞きなさい。」
「いいな!それを絶対に忘れるな!」と言って
その老人は、消えて行った。
「あれ?今のは、気のせいかな?」
春奈は、少し首を傾げたが、「よくわからないけど・・まぁ、いいやw」
そして少し上の方を向いて
「そしたら、う~ん・・よし!じゃあ、もし、暗闇の中で目の前が
全然見えなくなっても一筋の光を探し出して前に進む!
これを目標にして前に進もう!」春奈は、そう心に誓ったのだった。
そして、老人の言葉通りに前に進んで行くと言うより、
進まざるを得ない状態になった事もあった。
でも、色々な人に出会って、聞いた話、教えてもらった話のすべてが、
今、こんなに役に立つとは、思ってもみなかった。
その話は、後程役に立った時に話をする事にする。
そして月日が過ぎ、
自分自身で出来るやりたい事のすべてを終えた時、
もう、やりたい事は、すべて終わった!
次は、何をしようかな・・何もない・・暇だなぁ・と思った時に
蓮の上に乗って杖を持った老人が、春奈の前に姿を現し、
「そうか!終わったか!もういいな。そうしたら、次に進むとするか!
早くしろ!行くぞ!」と言われ、
えっ!?今のは、何かなと思ったが、その後、少しの月日が流れた中で
春奈は、自分が持っているいくつかの不思議な力に気が付いた。
私が持つこの不思議な力は、
いつ使うのかな?と思っていたら、
この「未来の園」の扉の前に立っていたのである。
そして、春奈は、思った。
「未来の園」と言う所は、、
名前の通り未来を予言する木が、沢山生えている所なので
その木が、枯れた時は、日の光が足りないとか、水や養分等の関係ではない。
「クローバー王国」の国を守る為の何かが、危機に陥っていると言う事だ。
だから、「希望」の木は絶対に枯れさせては、いけないし、枯れる事はない。
もし、枯れたとしたら、それは、「クローバー王国」が、なくなると言う事で
その前にいくつかの木、そのどれかが先に枯れて行く。
今の所、どの木も大丈夫そうに見えたが、
おかしいなと思っていた「薬」の木。
あの葉は、なぜ不気味な紫色をしているのだろう?
そう言えば、「病」の木も元気がなかった。
そして、何気なく目をやった先に見た
「戦」の木の一部の葉の色がどうもおかしい。
近くにいた時は、わからなかったのに。。
そう言えばそこは、確か、「クローバー王国」が、ある位置だ・・。
そして、老人は、その「希望の木」の右側を見てこう言った。
「よいか、現世では、嫌な事ばかりではない。
良い事も楽しい事も沢山ある。」
その希望の言う名の木の右側には、3つの木があった。
その3つの木は、
とても沢山の綺麗な花を綺麗に咲かせては、下に落ち、
その落ちた花は、輝いたまま、地面に消えて行く。
その繰り返しで枯れる事なく、常に綺麗な花を咲かせていた。
そしてその木は、春のような日差しをまとい、
その3本の木の前に立った時には、
老人と春奈と2匹の猫の体と気持ちを
とても温かく優しく包み込んでくれた。
それが、
・「心」の木。
その3つの木は、「優しさ」「愛」「思いやり」の言う名の木だった。
その温かいほっこりとした中で老人は、言った。
「人や生きている者の中には、必ず「心」と言う物が、存在する。
そして、その心の中には、必ずこの3つの木があるのだが、
この3つの木は、自分自身だけではなく、他の人や動物をも、
つまり命がある者のすべてを助ける事ができる。
だが、人には、天命と言う物があるから、
たとえ、その3つの木が輝いていたとしても、
それには、勝てないので助ける事は、できない。
地球で言うと寿命と言うものだな。。。
それに人によっては、この木以外にも人を助ける事ができる
他の木があるかもしれない。
しかしだ。。何かがあってその3つの木が
すでに枯れかけている者もいれば、
その木にすがっているだけの者もいる。
その「心」の木の形は、人それぞれ違うのだが、
ここにある「心」の木は、その多くの人達の「願い」だとも言える。
思いやりや優しさ、愛だけでは、生きていく事の
むずかしさにぶち当たり、困難な時もあるが、
それも修行の1つなのだから、必ず乗り越える事ができる。
そしてその困難な時に助けてくれるのが、
人の優しさや愛、思いやりなのかもしれない。」
そして、老人は、続けてこう言った。
「もし、現世でその3つの力が弱った時は、
その3つを回復させる何かを見つける事が大事だ。
たとえば。。
何か1つの楽しいと思える何かを作る事だ。」
そう言われると・・
もしかしたら、春奈は、
それさえもできなくなる忙しさに
なるかもしれないと思った。
すると春奈を見ていた老人は、その事に気が付いた。
「もし、忙しくなって心も体も疲れてしまった時は、
ゆっくり休むがよい。
そして、ここに来てその3つの内のほしいと思う
どれかの花を1輪を摘み取り、胸にあててみるがよい。」
「はい。」春奈は、素直に返事をした。
すると老人は、思い出したように言った。
「だが、その時に決して忘れては、いけない事がある。
それは、「ありがとう。」と言う感謝の言葉とその気持ちだ。」
「よいか、何があってもその言葉を忘れるでないぞ。」
そして、その先にあったのが、
・「行動力」と言う名の木。
この木は、とても生き生きとしていて沢山の若葉をつけていた。
「この木は、枝先が、色んな所に伸びているのだが、
すぐに消えて行く枝先もあれば、そこから新しい芽がでる木もある。
行動力とは、判断力を養う事かもしれないな。」と
老人は、その木の幹をポンポンと軽くたたきながらそう、言った。
そして、最後にあったのは、
・「平和」と言う名の木。
「これは、また今度、説明をする事にしよう。」
老人は、
「何かあるとこの木を見に来るがいい。しかし、見に来なくとも、
木は、自から自分の危険を知らせに来るはずだ。
そしてそれを解決する知恵を授けるだろう。
味方になってくれる仲間は、そのうち増えてくる。
その仲間は、平和を守る為、戦争を止める為なら、
力を貸してくれるはずだ。」
そう言うと周りがだんだんぼやけて行き、
「み-」は、春奈の腕の中から、飛び出し、2匹の猫は、その場に残った。
その時、「病」の木から、「助けて・・」と
叫んでいる声がしたのだ。
あたりが、真っ白になった。
・・・春奈は、気が付くと部屋の中で眠っていた。
部屋の窓は空いていたので、心地よい風が、入ってきて
風は、春奈のほほをそっと撫でた。
とりあえず、継ぎ足しを投稿してみました。読みにくい所があれば、ごめんなさい。m(_ _)m