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キノコ採ろうぜ

 ギルドに登録を済ませた翌日。優とクロナはさっそく最初の依頼を受けにやって来た。アシュリーはどうしたかというと、「エクソシストとしての依頼を受けているが、冒険者ランクB相当だから優を連れていけない」と一人で出かけて行ってしまった。また、「エクソシストの修行をする前に、ギルドの依頼をこなしてこの世界のことについて勉強するといい」とも釘を刺されていた。

 エクソシストになるのは冒険者ランクをSまで上げるのが絶対条件であるので、依頼を受けるのはそのまま修行に繋がる。更に、依頼料(お小遣い)ももらえるので一石二鳥というわけだ。


「アシュリーさんから聞いているかもしれませんが、ギルドに所属している冒険者は、町の人たちから寄せられる依頼をこなし、その報酬を得ることで生計を立てています。ランクEですと、モンスターが出没する危険地帯に食材や武器の元となる鉱物を取りに行くといったいわゆるお使いがメインになります。ランクが上がればモンスターそのものを討伐する依頼も受けることができますが、それはしばらく経験を積んでからの方が無難でしょう」

 初めて依頼を受けるということで、優たちはルーニアから冒険者としてのガイダンスを受けていた。手っ取り早く高難易度の依頼を受けたいところだが、ギルドとしても未熟な冒険者を命の危機に晒すわけにはいかないという建前がある。アシュリーから指摘された通り、この世界のことをまだよく理解していないので、地道に簡単な依頼をクリアしていくのが賢明であろう。


「そして、Sランクまで到達すれば剣士や魔法使いなど様々な職業のエキスパートになるための試験を受けることができます」

「もちろん、エクソシストの試験もあるんですよね」

「ええ。でも、エクソシストは一番人気ですからね。試験の難易度も他の職業と比べると別格ですし。正直、冒険者から就職するのは厳しいですよ」

「無理ゲーってわけですか。でも、そういうこと言われると逆に燃えるんですよね」

 かつて、主人公がすぐ死ぬと評判のス〇ランカーを徹夜でクリアしたことがある優だ。人生とゲームを一緒にするのはよろしくないが、やる気を削ぐ必要性もないだろう。


 ルーニアは微笑みながら数枚の依頼書を机の上に並べる。ちらりとタイトルを一瞥する限り、すべてお使いクエストのようだ。

「現在、Eランクでも受諾可能の依頼はこちらになります。手軽に済ませられそうなものですと、これとかどうでしょう」

「ドラゴン退治とかあればやってみたいですけど、無理ですよね」

「もう、ユー君。最初から死ぬつもり満々の依頼を受けようとしないでよ」

 ゲームならばいきなり高難易度の依頼を受ける裏技がありそうだが、現実はそんなズルは許されないようだ。仕方なく、ルーニアが勧める依頼を受けることにした。


 依頼書には赤の斑模様のキノコの絵とともに、ずらりと説明文が書き記されていた。どうやら、このキノコを探すという依頼らしい。

「依頼主は町の料理屋を営むケリドさん。町郊外にある森で生息しているベニマダラオオダケを採集してくること。採集量で報酬は変わりますが、籠一杯まで採ることができれば100ネフスになります」

「キノコを採るだけで100ネフスなら安いものね」

「ただし、森には凶悪なモンスターが出ますので注意してください。と、言ってもこの森には危険度の低いモンスターしか報告されていないので、しっかり準備すれば危険はないはずですよ」

「心配することないよ、ユー君。危害を加える奴がいたら、私がやっつけちゃうもん」

「あまり出しゃばりすぎるなよ。俺だって経験値を稼ぎたいんだからな」

 雑魚しか出ないと分かり、二人はる気満々だ。顔を引きつかせながらも、ルーニアは依頼受諾の手続きを進める。キノコと一緒に依頼書を提出すればミッションクリアというわけだ。意気揚々と優たちは森へと出かけて行った。

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