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短編集 冬花火

母の口癖

作者: 春風 月葉

 こんな子に産んだ覚えはない。

 こんな子に育てたつもりはない。

 早くに父を失くし、女手ひとつで私を育ててくれた母の口癖だった。

 幼い頃はその言葉を聞くと堪らなく胸が痛くなって、もう言われないようにと努力した。

 反抗期になるとその言葉に苛立ち、その度に同じ言葉の雨を浴びた。

 ある程度大人になるとその言葉に、そして母本人に呆れ、胸にはぽっかりと穴が開いてしまった。

 そこそこの歳をとった頃には、もう母の言葉を聞くことなかった。

 そして今になってようやく母の言葉に嬉しさと哀しさを感じる。

 こんな私に期待してくれてありがとう。

 こんな私のままでごめんなさい。

 空から見てくれていますか?

 こんな私にも好きな人ができました。

 子供も、孫もできました。

 私はあなたの理想に近づけましたか?

 父のようにはなれましたか?

 もうすぐ私もそちらに逝きます。

 教えてくれますか?

 私の知らない父の話を…。

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