二章 和人
ミヅキに方法を提案してから三日後、俺は凶器の入手に成功していた。
とある知り合いから、十万円で譲って貰った注射器。
痛い出費だったが、これの中身が今回の殺人計画のカギとなるのだから仕方ない。
机の上に無造作に置くわけにもいかず、ケースを買ってきて正解だったと思う。
今、こうして眺めているだけでも割れたりしないか不安にからていれるのだ。
むき出しで持っていたら俺の心労は相当なものだっただろう。
ともかく、凶器を手に入れた事をミヅキに報告しておこう。
スマホを取り出し、ミヅキに電話をかけた。
『はい』
「あ、もしもし?津村だけど、注射器は入手できたよ」
『そうですか。中身は大丈夫ですか?』
「ああ、大丈夫だ。で、細かい打ち合わせをしたいんだけど」
『わかりました。では、明日の夕方四時に例の場所で会いましょう』
「例の場所……?あ、森のあそこか。わかった」
『一応、着信履歴は消してくださいね。あとで確認しますけど。それじゃ』
そう言って電話は切れた。
相変わらず情報が得られそうにはない。
俺が中学生だった頃の女子はもっと頭が悪かったような気がするが、今の子達はだいぶ賢いのかもしれない。
何にせよ、次に会うときに核心部分に触れることになるだろう。
殺害方法は決めた。凶器も手に入れた。
あと必要なのは、犯行場所とターゲットの情報だ。
誰を彼女が殺したがっているのかこれでわかる。
その時が、俺にとって形勢逆転の最後のチャンスとなるだろう。
必ず弱みを握ってみせる。