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レッドラム  作者: シバドッグ
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二章 ミヅキ

 家に帰ってくると、中は真っ暗だった。外はまだ日が照っているが、恐らく父がカーテンを締め切っているのだろう。

 鍵を閉めた後、スマホの明かりを頼りに廊下を進んでいく。

 居間のドアを開けると、父が酒を飲みながらテレビを観ていた。

 「ただいま」

 声をかけても父の返事はない。芸能人のゲラゲラと笑う声だけが響いている。

 父がテレビを観ている時はいつもこうだ。

 「おかえり」ぐらい言えばいいのにとは思うが、今さら言うことはない。

 こちらも後で何か言われるのが嫌なので、義理で挨拶をしているだけだ。

 そそくさとアタシは自分の部屋へ行き、今日の計画内容をまとめにかかった。

 まず、実行犯である津村に変装道具は必要だろう。

 これは犯行時に必要なのではなく、アタシが彼に会うときに使うものだ。

 本人の年齢や容姿がでたらめな情報になれば、仮に誰かに会っているのを見られたとしても大丈夫だろうという考えがあった。

 まあ、ジョークグッズの付け髭と眼鏡で十分だろう。どうやっても見た目の不自然さは多少は仕方ないのだ。

 根本的に会わなければいいのではないか?そう考えたりもしたが、通信記録が残る方が怖かった。

 アタシは随時削除していくつもりだが、津村はどうか分からない。連絡して会って、目の前で削除してもらった方が安心できる。

 電話番号が入っている事に関しては、対策している。

 一度、わざとアタシがスマホを紛失したことにする。

 実際に警察に届け出をして、あとで見つかったと連絡すればいい。

 落として見つけるまでの間に、津村がスマホ拾って勝手に番号を登録していたのだと主張すれば問題ないはずだ。

 あとでこれは本人に伝えて、口裏を合わせてもらわなければならない。

 ともかく、実行計画は凶器を津村が入手してから練っていくことにしよう。

 ちらっとカレンダーを見る。あと二週間で、アタシは夏休みだ。

 中学生最後の夏休み。これがアタシの人生最後の夏休みにならないことを祈る。

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