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俺は少女と広間へと戻ってきた。
あのまま一人でクリスタルの部屋にいてもどうしようもなかったからだ。
アニメもゲームもない。
何もない所に一人ぼっちは嫌だった。多分気が狂う。
まだ怪獣達に囲まれていた方がマシだ。
「さて、この領域は私の支配下に入ったわけだけど、そのスケルトンはどうするといいかしらね? 四天王とかと違って自然消滅はしないみたいだし」
「マスター。でしたら殺してしまうのが吉かと。マスターを失ったモンスターは忠誠心から復讐に駆られることがあると聞きます。不要なリスクを抱えるのは避けるべきです」
白虎が淡々と言った。なんて物騒なことを言うんだ。
俺はまだ死にたくない。
骨だから生きてるのか分からないけど。
「でも、そのスケルトン。あのバカに忠誠心なさそうなのよね。私でもあのバカに呼ばれたら意地でも命令聞きたくないわ。むしろ同情すらおぼえるわね」
「だったら、このままこのダンジョンでこき使えばいいではないか。派生ダンジョンとは言えどうせここも我らの支配領域になる。そうせ支配領域を守るためにも早急にモンスターを送り込む事になるのではないか? だったら送り込んだモンスターに処遇の采配を任せればいいかと。我としては使える物は使っておいた方が得ではないかと思うぞ。反抗する気力がなくなるほどにこき使ってやればいい」
青い龍が偉そうな口調で言った。
なんてブラック社長みたいな発言なんだ。
俺は働きたくない。
「それも一理あるわね。ボスモンスターを送り込む方向で行きましょうか」
「俺としてはどっちでもいいぜ。スケルトンの一体や二体いたところで大勢には影響しねぇよ。味方になっても役に立たねぇ。寝返ったところで全く問題にならねぇ。それよりこのダンジョンでやること終わったんならとっとと次のダンジョンの制圧に行こうぜ」
紅蓮の鳥が捲し立てるように言った。
俺のことは眼中に無しだ。
……うん、確かに俺はお前に勝てないだろうよ。刃向かうつもりもないし。
「え~、もう次の仕事なの~? 帰ってのんびりしようよ~」
岩亀が間延びした口調で言った。
俺と何だかタイプが似ている気がする。
でも、仕事をしているから俺より偉い。
どうやらこの四天王、それなりの個性があるらしい。
図体ばかりでかい化け物と思ったがどうやら違うようだ。
俺の今後、どうなるんだ?